アーミン・シュトロームが開発した新コンスタントフォース・バレル搭載「グラヴィティ・イークォル・フォース」

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2020.02.29

アーミン・シュトロームからまた一つ革新的な機構を持つ新作が発表された。通常のメインスプリングバレルを逆さまにセットし、クラッチ分離による作動停止機構とテンプにコンスタントなパワーを伝達する自動巻機構を組み合わせた装置が加えられている。

「グラヴィティ・イークォル・フォース」は、競争力のある価格で革新的な時計づくりを目指すアーミン・シュトロームのエントリーライン、システム78 コレクションの第一弾となる。2人の創業者が1978年生まれだったことからシステム78 コレクションと名付けられた。
通常のメインスプリングバレルを逆さまにして輪列をバレル軸を介して駆動させることと、バレルボックスを巻き上げることにより、機能が向上し磨耗を減らすことができる。
この最新の設計で、より安定して摩擦が少ないメインスプリングの回転軸と、精密なジュエルベアリングに支えられたバレル軸からパワーが伝達される。完全に巻き戻らないよう、メインスプリングの一部しか使わないが、72時間のパワーリザーブが得られた。
ダイヤルから見える片巻き上げのマイクロローターで巻き上げるメインスプリングのパワーリザーブはバレルカバーに表示される。
以前のモデルとは異なる新しいオフセンターダイヤル、サイズが小さく薄いケースを採用。最も目立つハイライトは、懐中時計にインスパイアされたトリプルブリッジである。
新モデルの開発は、調速機構に均一なパワーを伝達することを目標として始まった。その結果、クラッチ分離による作動停止メカニズムをバレルボックスに組み込むことにより、テンプとエスケープメントにコンスタント（恒常的）なパワーを伝達することができた。
ジュネーブ・ホイールをバレルボックスカバーに組みつけ、メインスプリングの回転を可能な12.5回転のうち9回のフル回転に制限する。これはメインスプリングの潜在トルク曲線の72％にあたり、最も平らで最も均一な部位となる。バレルボックスが軸から巻き戻されてゆくにつれ、ジュネーブ・ホイールの回転状態をピンが数え、ロック位置に来るとそれ以上の巻き戻しを止める。これによってテンプへのパワー伝達が最も均一で、振幅も最大効率の状態のまま制限される。
巻き上げ最大リミットに達するとクラッチ分離メカニズムがメインスプリングをスリップさせ、マイクロローターは巻上げ最大時も均一に回転する。
通常の香箱車と香箱真の断面図。通常の設計ではセンター軸がジュエルベアリングによりバレルの中で回転しメインスプリングを巻上げる。完全に巻き上がった時、軸はそのまま固定されているので、メインスプリングはバレルボックスを押し、そのまま輪列を駆動させ続ける。
新設計されたモーター・バレルの断面図。通常のメインスプリングバレルは精度の高いジュエルベアリングに支えられて回転するのではなく、軸の回りを回転するので摩擦が多く、回転精度が劣ってしまう。アーミン・シュトロームのモーターバレルの設計ではこれを逆転させ、バレルボックスは巻上げの後ロックし、より正しく精度高くサポートされた軸が回転して輪列を駆動させるようにしている。
キャリバーASB19 - ダイアル側。キャリバーASB19は、新たなレイアウト及び向上した歯車の形状と確かな調整により、作動が滑らかになり機能の信頼性が高まっている。
文字盤はオフセットされ時刻表示は読みやすい。香箱とマイクロローターが見えるスケルトン構造で、昔の懐中時計にヒントを得たトリプルブリッジがクラシックな趣を演出している。
システム78コレクションの第一弾となる「グラヴィティ・イークォル・フォース」は、完璧な仕上げと技術革新を体現し、手頃な価格でお届けするアーミン・シュトロームへのエントリーラインとなる。

新開発のジュネーブ駆動コンスタントフォース・バレル

　「グラヴィティ・イークォル・フォース」のコンセプトは、テンプに均等なパワーを伝達し、それにより一定した歩度を保つことにある。従来の作動停止機構を進化させたアーミン・シュトロームの画期的なクラッチ分離による作動停止システムは、メインスプリングバレルの中で機能しテンプに伝達されるトルクを制限してなめらかなパワー伝達を行う。クラッチ分離による作動停止システムが自動巻ムーブメントの中に組み込まれたのは初めてで、コンスタントフォース・バレルと名付けられた。