アメリカの小説家、ラルフ・エリソンのオメガ「スピードマスター」がフィリップスに出品

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2021.12.10

アメリカの小説家、ラルフ・エリソンが25年間にわたって愛用していたオメガ「スピードマスター」がフィリップスのオークションに出品される。この個体は、コレクターやジャーナリストの尽力によってラルフ・エリソンのものであったことが証明された貴重な1本である。

スピードマスター

Photographs by Phillips Auction House


ラルフ・エリソンが約25年間愛用した貴重なタイムピース

 1952年に出版された『見えない人間』で有名なアメリカの小説家、ラルフ・エリソン。氏が愛用していた第四世代の「スピードマスター」Ref.ST145.012が、フィリップスのオークションに出品される。

スピードマスター

ラルフ・エリソンが愛用したオメガのスピードマスター。各部品はオリジナルながら、状態は非常に良好だ。90に振られているドットが0の右上に配されている、通称“ドット オーバー 90”または“DON”仕様のタキメータースケールが採用されている。

 この個体は68年3月15日に製造され、その後ニューヨークの代理店に入荷後、どのような経緯かでラルフ・エリソンの手に渡り、氏が亡くなる94年までの約25年間愛用され続けてきたものであり、ダイアルに塗布されたトリチウム、針、ベゼル、ブレスレットに至るまでオリジナルの状態を保った貴重な一本である。

スピードマスター

伝説的なムーブメント、キャリバー321を搭載している。第4世代のスピードマスターは、実際に月面でも使用された、今なお多くの人々を魅了するリファレンスである。クリーニングと調整を受けているとはいえ、内部はきれいな状態を保っており、大切に使用されてきたことが分かる。ブレスレットもオリジナル(Ref.1039)が装着されている。

 この時計は氏の妻が逝去された後、2016年にロング・アイランド・シティの小さなオークションハウスで販売されコレクターの手に渡ったが、その時点ではあくまでも“オリジナルの状態を保ったスピードマスター”として認識されていた。

 ラルフ・エリソンが愛用していた個体であることが確たることとなったのは、著名なジャーナリストであるマイケル・クレリゾの助けを得て、アメリカ議会図書館の奥深くでその証拠を発見できたためだ。文学的にも貴重と言えるタイムピースを歴史の波から救い出したことに敬意を表したい。

ラルフ・エリソン

ラルフ・エリソンがスピードマスターを着用している写真。クロノグラフ用のプッシャーを紛失するほど日常的に愛用していたことが分かる。氏の写真では、このスピードマスターを着用したものが多く見られる。

 こうして「ラルフ・エリソンのスピードマスター」としてフィリップスのオークションに出品されることとなった個体は、欠損していたプッシュボタンの取り付け、ガスケットとクリスタルの交換、ムーブメントのクリーニングと調整という、状態を損なわない最低限の整備を施された。奇跡的とも言える経緯を辿って日の目を見るに至ったこの貴重な1本が、どのようにオークションを賑わせていくのか楽しみである。




Contact info:オメガお客様センター Tel.03-5952-4400


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