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第10回「ケースと外装、何が理想的な素材なのか?」(1/2)

ブルガリ「オクト フィニッシモ  オートマティック」
現行の腕時計で、珍しく純チタン素材を外装に採用するのがブルガリの「オクト フィニッシモ  オートマティック」だ。いわゆる高級な仕上げは与えにくいが、代わりにざらざらしたサンドブラスト処理を施し、マットな印象を強めた。チタンのうまい使い方だ。
広田雅将(クロノス日本版):文
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)

腕時計の良し悪しを決めるポイントのひとつがケースである。いくら見た目の良い腕時計でも、ケースの出来が悪かったら、やがて使わなくなるだろう。では何がケースの良し悪しを決めるのか。今回は、ケースの素材について触れたい。まず見るべきは、高級感以前にアレルギーを起こすか否か、だ。

●アレルギーを起こさない素材は何か?

 しばしば、金属製品を使っているとアレルギーを起こす場合がある。アレルギーを起こしやすい素材は、ニッケル、鉛、コバルト、クロム(6価クロム)などである。これらの素材(特にニッケル)は、現在の腕時計にはほぼ使われていない。しかし、安価なメッキ仕上げのケースには採用されている場合もある。

 対して、金や銀はアレルギーを起こしにくく、純度100%のプラチナはほぼアレルギーを起こさない。しかし、時計のケースに使われる金、銀、プラチナは、硬さを増したり色を変えるために混ぜ物をしている。金や銀、プラチナケースの腕時計が、しばしばアレルギーを起こす理由だ。

 広く時計産業で使われるステンレススティールもアレルギーを起こしにくいが、種類によって起こりやすさが違う。起こりにくさで言うと、ロレックスと一部のジラール・ぺルゴが採用する904Lが最もアレルギーの心配がなく、次いで316L、304Lの順となる。つまりアレルギーが心配な人は、SSでも、316L以上の素材を選ぶべきだろう。なお、安価な時計の中には、ケースは316Lだが、ブレスレットには304Lを使っているものもある。アレルギー体質の人は注意すること。

 現時点で、ほぼアレルギーフリーな素材は純チタンとタンタルである。しかし、このふたつの素材は色味が暗い上、加工が困難なため、高級感を与えにくい。そのためほとんどのメーカーは、時計ケースやブレスレットに混ぜ物をしたチタン合金を使っている。好例が、IWCやパネライ、グランドセイコーの採用する「ブライトチタン」などだろう。混ぜ物をしているため純チタンよりアレルギーを起こしやすいが、可能性はほかの金属に比べてはるかに小さい。

 また金属以外の素材は、当然ながら金属アレルギーを起こさない。セラミックス、人工サファイア、そしてカーボン、プラスチックなどはアレルギーを起こしやすい人でも、安心して使える素材といえるだろう。

・アレルギーを起こしやすい素材
ニッケル、鉛、コバルト、クロム(6価クロム)ほか

・アレルギーを起こしにくい素材
金、銀、プラチナ、316L以上のステンレススティール、純チタン、タンタルほか

・アレルギーをほぼ起こさない素材
セラミックス、人工サファイア、カーボン、プラスチックなど

※補足:要注意! 革ベルトでもアレルギーが起こる場合がある

 現在、多くの革ベルトはクロムという薬剤でなめしている。しかし、現在のクロムはアレルギーを起こしやすい6価クロムではなく、起こさない3価クロム(ただしヨーロッパや日本製のものに限る)のため、今の革ベルトは、基本的にアレルギーフリーだ。クロムなめしだからアレルギーを起こすというのは間違いである。しかし、紫外線や汗などの影響により、長期間革ベルトを使っていると、3価クロムが6価クロムへと変化し、アレルギーを起こす場合がある。

 つまり、革ベルトの時計でアレルギーを起こす人は、痛んだ革ベルトを替えることをお勧めしたい。劣化した革ベルトは、クロムが3価から6価に変わっている可能性が高いからだ。ちなみに、シチズンが採用する革ベルトは、6価クロムを3価クロムに戻す特殊処理が施されている。そのため、理論上はアレルギーを起こさない。アレルギー体質で、しかし革ベルトの時計を使いたい人は、シチズンの腕時計を選ぶのはありだろう。

シチズン「ザ・シチズン AQ1010-03A」
現在、多くの時計メーカーがアレルギー対策に力を入れている。中でも日本のシチズンは、アレルギー対策が進んでいるメーカーのひとつだ。シチズンの使うレザーストラップは、アレルギーを起こす6価クロムでなめしていないだけでなく、3価クロムが6価クロムにならない処理が施されている。
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