MEMBERS SALON

ロレックス/オイスター パーペチュアル 39(1/1) 2016年03月号(No.63)

ROLEX
Oyster Perpetual 39

もしも時計をたった1本持つならば、どれを選ぶか。
それは永遠のテーマに違いない。
各人各様に時計遍歴を経て、気持ちに決着が付いた末にたどり着くのが、
いわゆる“上がり時計”である。
その“上がり時計”にふさわしいものが、またひとつ登場した。

イェンス・コッホ: 文
Text by Jens Koch
ニック・シェルツェル: 写真
Photographs by Nik Schölzel
市川章子: 翻訳
Translation by Akiko Ichikawa

point

・考え抜かれたデザイン
・素晴らしいレベルの仕上げ加工
・巧みな設計の自社製ムーブメント

point

・日付表示がない

ゴールに選ぶべきものは何か?

として人は、いつも着けていられる時計を欲しくなるものだ。これは読者諸氏にも経験があるかと思う。どんなシーンにも合う時計が欲しい。変に人目を引かず、それでいて個性がしっかりしているものがいい。ほかのさまざまな時計を吟味しても、心の中に取りあえずリストアップしたものを忘れさせ、次々と現れる魅力的なものを見ても、最終的に記憶にとどまるだけの存在が望ましい。ロレックスのオイスター パーペチュアルは、そういう〝上がり時計〟のひとつではないだろうか。
 そのデザインはかなり理想像に近い。スポーティーでエレガントな佇まいは、ポロシャツにも似合う。さらに、ケース径39㎜という新たなサイズもパーフェクトだ。ほとんどどんな手首の太さにも合うし、悪目立ちはしない。
 針の形状とケースは人気の高いデイトジャストと同様のデザイン。アワーインデックスに小さな青いポイントをあしらっているのも心憎い。ダークロジウムカラーのダイアルはサンレイ仕上げで、色彩のコンビネーションがよく考えられている。モダンさと気品を感じさせるこの風格は、やはり特別なものだろう。

 

搭載ムーブメントは、評価の高い自社既存の自動巻きをアップデイトした自社キャリバー3132。頑強さと精密さを誇る。

〝上がり時計〟に求められる要素
 緩やかなカーブを描くラグと、風防を取り巻く幅広のベゼルも、調和が取れている。ベゼル上面とケース側面には鏡面仕上げが施され、ラグ上面のヘアライン仕上げと見事な調和を成す。サファイアクリスタル製の平らな風防は、ロレックスのほとんどのモデルに共通しているように、ケースの上に突き出たように設計されているものの、その縁は斜めに面取りされている。そのため、少し横から見ると、サファイアクリスタル製風防がやや屈折して見えるのも特徴のひとつだ。

 反射防止加工が施されていないフラットなサファイアクリスタル製風防は、視認性の面からは良好とまでは言えないが、暗がりでは時分針と3時および6時、そして9時位置のインデックスに施された夜光塗料が役立ってくれる。また、日付表示が備わっていないため、ダイアルはすっきり整ってはいるものの、なんとなく寂しいと感じる人もいるかもしれない。そんな人には、大きな日付表示がもはやアイコンとなっているデイトジャストがいいだろう。サイズは直径36㎜と41㎜(デイトジャストⅡ)の2種類で、日付表示と典型的なサイクロップレンズを備えているが、価格がだいぶ異なるのも事実だ。

 時計収集遍歴で、充実感をもって帰着する、いわゆる〝上がり時計〟には、外観のディテール同様に、使用感も大事な要素である。オイスター パーペチュアルは、日付表示がないだけに、使い方はとりわけ簡単だ。ねじ込み式のリュウズは一段引き式で、緩めて引き出したら、すぐに時刻設定ができるのが助かるところである。その場合、ストップセコンド仕様なのでテンプの停止とともに針の動きも止まって、秒単位で正確な時刻に合わせることができる。
 リュウズのヘッドにかたどられた王冠マークの下の1本のラインは、トゥインロック式であることを示す印だ。100m防水というのは、スポーティーかつエレガントな時計としては十分で、上がり時計としては望ましい性能である。
 ケースの裏蓋はねじ込み式で、その内側にはキャリバー3132が鎮座している。ケース径34㎜と36㎜の既存モデルに搭載されている先行キャリバー3130と異なるのは、耐震軸受けにパラフレックス ショック・アブソーバを採用していることだ。そして、このキャリバー3130は、サブマリーナーとデイトジャストに搭載されていることで知られている、日付表示付きのキャリバー3135がベースになっている。ロレックスが自社開発キャリバーである3132を新型のオイスター パーペチュアルに搭載したのは、よい選択であろう。この自動巻きムーブメントは、時計師の間でも名機と誉れ高い。頑丈で長持ち、考え抜かれた構造で、精度の追い込みをかなり正確に行うことができるという。自動巻き機構の切り替え車は赤くアルマイト加工が施され、磨耗を最小限に抑えられる。テンプ受けにはよくある片持ちではなく、両持ち式を採用。テンプを両側からしっかりと支え、かつビス留めされている。テンワにはマイクロステラナットが備えられ、エンドカーブ付きのヘアスプリングとともにあらゆる姿勢においても、正確さを導き出していく。このモデルに使われている独自のブルー パラクロム・ヘアスプリングは、ニオブとジルコニウムの合金で、磁気の影響を受けにくいのが特徴だ。衝撃に対しても、通常のヘアスプリングより10倍も優れている。また、衝撃に対しては、ロレックスが独自に開発した耐震軸受けのパラフレックス ショック・アブソーバの働きも大きい。

肌当たりも快適なブレスレットは、バランスの良いクラスプ付き。ここにもロレックスの象徴たる王冠が輝いている。

 

慎ましやかに姿は見せず

 このムーブメントは構造的に優れているだけではない。装飾もなかなかの見どころである。ローターは自動巻きブリッジと同じくサンレイ仕上げ、ほかのブリッジもペルラージュで飾られている。ブリッジや地板はすべてロジウムメッキされ、エッジは面取りされている。艶やかに磨かれたネジ頭も美しい。ケースバックがトランスパレント仕様になっていないのが残念なほどだ。しかし、このモデルがメカニズムを鑑賞できるスタイルを選んでしまったなら、全体的に外観のバランスがやや整わないはずだ。ムーブメント鑑賞という愉悦を断念せざるを得ないものを、上がり時計に選出するか否かは、各人悩むところだろう。
 精度については、5姿勢で調整済みなだけあって非常に良い。3時左の姿勢だけは、ほかの姿勢より数値が大きめではあるが、ほぼパーフェクトと言っていい。実用上、3時が左側の位置に来ることはほとんどないはずなので、我々編集部はいつもそこがもったいないなと感じるほどだ。しかし、このポジションの数値があったからこそ、平均日差が結果的にプラスマイナスゼロになっているとも言える。いずれにせよ、悩みつつ選び抜いてたどり着く時計としては、十分な精度である。
 さて、オイスター パーペチュアル 39の価格はどうだろうか? この面でも上がり時計として堂々の主張が感じられる。54万円という金額は、ロレックスのメンズウォッチとしてはかなりお買い得だ。それは、日付表示付きで直径41㎜のデイトジャストⅡと比較しても明らかだ。モデルの完成度と価格のバランスは、ロレックスの全モデルの中で最良だろう。

 しかし〝上がり時計〟という存在そのものは、ひとつの金字塔のようなものである。実際には、その定義すら危うい。完璧な時計など存在し得ないからというわけではなく、人はいつだって別の時計に目移りして、手に入れるまで惚れ込み、心奪われ続けるものだからだ。それでも究極の1本とするならば、日付表示とトランスパレントバックに踏ん切りを付けられさえすれば、やはりオイスター パーペチュアル 39は良い選択だろう。時代を超えて通用するデザイン、控えめなサイズ、そして優良に組み立てられた頑丈な自動巻きムーブメントは、毎日の装備品として頼もしい限りである。

技術仕様

ロレックス/オイスター パーペチュアル 39

製造者: ロレックスSA
Ref.: Ref.114300
機能: 時、分、秒(センターセコンド)
ムーブメント: 自社製キャリバー3132、自動巻き、C.O.S.C.認定クロノメーター、2万8800振動/時、31石、ストップセコンド仕様、耐震軸受け(パラフレックス ショック・アブソーバ使用)、エンドカーブ付きパラクロム・ヘアスプリング、グリュシデュール製テンワ(調整用マイクロステラナット装備)、パワーリザーブ約48時間、直径30.97mm、厚さ5.87mm
ケース: 904Lステンレススティール製、フラット型サファイアクリスタル製風防、ねじ込み式トゥインロックリュウズ、ねじ込み式裏蓋、100m防水
ブレスレットとクラスプ: 904Lステンレススティール製オイスターブレスレットおよびオイスタークラスプ
サイズ: 直径39mm、厚さ11mm、総重量131g(実測値)
バリエーション:
価格: 54万円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

精度安定試験 (T24の日差 秒/日、振り角)

平常時
文字盤上 +2
文字盤下 +2
3時上 0
3時下 -1
3時左 -5
3時右 +2
最大姿勢差: 7
平均日差: 0
平均振り角:
水平姿勢 293°
垂直姿勢 263°


評価

ストラップとバックル(最大10pt.) 9pt.
操作性(5pt.) 5pt.
ケース(10pt.) 9pt.
デザイン(15pt.) 12pt.
視認性(5pt.) 4pt.
装着性(10pt.) 10pt.
ムーブメント(20pt.) 18pt.
精度安定性(10pt.) 7pt.
コストパフォーマンス(15pt.) 13pt.
合計 87pt.
前の記事

ジラール・ペルゴ/ジラール・ペルゴ 1966 コラムホイールクロノグラフ

次の記事

パネライ/ルミノール マリーナ 1950 3デイズ アッチャイオ-47mm

おすすめ記事

pick up MODEL

正規時計販売店

正規時計販売店

高級時計を取り扱う全国の正規時計販売店をご紹介。各店が行うフェア情報やニュースもお届けします!

時計ランキング

時計ランキング

その年の新作モデルや、機構、仕上げの完成度など、毎回決められたテーマの中から、優れた10本を時計ジャーナリストたちが選出します。

スペックテスト

スペックテスト

クロノスドイツ版の人気連載「TEST」の翻訳記事。腕時計のデザイン、機能などをポイント性によって評価します!

基礎からの時計用語辞典

基礎からの時計用語辞典

時計の部品、機構、ブランド名など、基礎から専門用語まで、広範囲にわたって解説します。時計の知識を深めるための用語辞典です。

PAGE TOP