【89点】ブライトリング/ナビタイマー 01(46mm)

FEATUREスペックテスト
2015.08.04

搭載されているのは、自社開発のマニュファクチュールムーブメントCal.01。従来の43mmケースと同じものだが、姿が裏蓋から見えるようになったのがうれしい。

細やかな技術が映えるムーブメント

 裏蓋のサファイアクリスタル越しにムーブメントを観察すると、いくつか気づくことがある。幸いなことにブライトリングは、一部のメーカーの好ましからぬ習慣のごとく、ムーブメントを大きなブリッジで覆い隠してしまわず、クロノグラフ機構も存在が確認できるような、麗しい構築を見せてくれている。
 装飾についても、けちることなく出し惜しみはしていない。中心部に透かし彫りが施されたローターに入ったサンレイ仕上げ、自動巻き機構のブリッジに入ったコート・ド・ジュネーブ、他のブリッジのサンレイ仕上げのほか、鏡面に磨かれたネジ頭、金色に彫り込まれたエングレービングなど、見どころは多い。一方、テンワの下の地板には装飾研磨は入らず、レバー類やバネ類も打ち抜かれた後にあまり手を加えていないように感じる。汎用機のETA7750より素っ気なく見えないでもないが、これは製造コスト面も考慮してのことだろう。それはさておき、コラムホイールまで見られるのは、やはりうれしいものだ。もうひとつ特別なことがある。回転数の高いガンギ車には、軸の油を保つための装置が取り付けられているのだ。なお、緩急調整は、ペンチ状の緩急針と偏心スクリューによって行われる。
 それでは見えない箇所はどんな様子だろうか。このキャリバーは、クロノグラフのスタート時に、クロノグラフ秒針が針飛びするのを防ぐ、モダンな垂直クラッチ方式を採用。日付表示は瞬時に切り替わり、その上、日付修正は24時間いつでも機械の損傷を心配せずに行える。
 ブライトリングは、2000年からムーブメントの全品が、スイスの公式クロノメーター認定機関のC.O.S.C.の認定を受けている。これは、歩度測定機でも良い結果が出るだけの十分な条件が揃っているということになろう。ナビタイマー 01は、各姿勢での日差がプラス1秒からプラス5秒と、かなり揃った数値で高精度を証明してくれた。平均日差はわずかプラス2・8秒。クロノグラフ作動時も、数値はごくわずかしか変わらず、最大姿勢差は5秒、平均日差はプラス2・7秒だった。同様に、振り角落ちも満足できる範囲に収まっている。これらのことから、このモデルはクロノメーターとしての基準を満たしているだけではなく、全姿勢において、我々編集部のさらに包括的なテストでも好成績を上げたと言えるだろう。
 ところで価格についてはどうだろうか? このナビタイマー 01(ケース直径46㎜)は96万円。これはフェアな価格であろう。汎用機を使った他ブランドで、この価格に並ぶものもあるだろうが、マニュファクチュールムーブメント搭載の同水準のクロノグラフで比較すると、他ブランドでは明らかにもっと高額だ。
 さらに、同じナビタイマー 01のサイズ違いでも価格を比べてみると、43㎜との差は10万円。これは大型化したケースだけではなく、ケースバックをトランスパレント仕様にしたことも理由のひとつなのだろう。
 結局このモデルは、称賛に値すべきかどうかと問われれば、もちろん! と答えたい。ブランドアイコンたる計算され尽くしたデザイン、美麗で頑健、かつ持久力のあるマニュファクチュールムーブメント、どこを取っても高品質さが伝わる仕上がり、価格とのバランスの良さ。全てがクラシック感あふれる製品の価値を盛り立てている。これらを踏まえると、プッシュボタンの押し心地の固さと、最低限の防水性というウィークポイントも、ほとんど気にはならないだろう。46㎜というサイズは目立つことは目立つが、見かけ倒しな点はない。視認性は若干向上、中のメカニズムを裏蓋から見られるのも朗報と言えよう。着け心地には最初は戸惑うかもしれないが、今までの同サイズのものとは違う快適さがあるのに驚くはずだ。なんといっても、悪目立ちはせず迫力のある存在感、十分に整備された佇まいには、飛行のパイオニアたる気分を思う存分満喫できるだろう。