【84点】IWC/アクアタイマー・オートマティック2000

FEATUREスペックテスト
2010.01.03

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キャリバー30110は、部品として購入したETA2892がベースになっている。
IWCの社内で厳しい基準に則って組み立てられる。

DRUCK SACHE プリンテッド・マター

アクアタイマー・オートマティック2000は、IWCが今年リニューアルしたダイバーズウォッチ・コレクションに属するモデルである。回転式ダイバーベゼルが外側に配置されていることが、ひと目で分かる特徴だ。
アクアタイマー・オートマティック2000には、このコレクションの中で最もプロ仕様と自負する資格が十分にある。当然のことだが、ダイバーズウォッチと称する時計であれば常に、損傷や停止することなく、水中での使用に耐えられる能力が求められる。しかも、水中では静圧だけではなく、動きによって動圧も発生するため、ダイバーズウォッチは最低でも200mの防水性を備えていなければならない。もちろん、防水性は高いことに越したことはない。IWCはこれらの要求に応えるべく、アクアタイマー・オートマティック2000を200気圧、つまり水深2000mの水圧に耐えられるように設計した。

アクアタイマーの新コレクションの中で、オートマティック2000はまさに最高の深度に到達できる時計である。さらに、クロノグラフ機能や機械式水深計などは備えていない。優秀な計器ならどれもがそうであるように、時刻あるいは潜水時間の表示という、最も重要な機能だけに集中した。とはいえ、陸上で着用されるほうが圧倒的に多いために、日付は省略しなかった。
ダイバーズウォッチで潜水時間を測定するには、回転ベゼルの目盛りを分針に合わせる。回転ベゼルの目盛りを読み取れば、水中での滞在時間を知ることができる仕組みだ。これは、呼吸ガスの残量を把握し、潜水時間によって異なる減圧停止を調整する上で、生命に係わる最も重要な機能である。ダイバーベゼルは安全上の理由から、基本的に反時計回りにしか回せないようになっている。この方式だと、ダイバーベゼルを合わせ間違った場合、読み取った潜水時間が実際の潜水時間よりも長くなることがある。結果として早く上がりすぎることはあっても、水中に長くいすぎることはない。スキューバダイビングでは今日、潜水時間を表示して減圧停止の時間を計算するダイブコンピュータを使用しないダイバーがいないように、ダイバーズウォッチは安全策として携行されることが多い。

IWCが特殊機能を搭載した初代アクアタイマーを発表したのは、1967年のことである。このモデルは、第2のリュウズで設定するダイビング用インナーベゼルを備えていたが、後のモデルではアウターベゼルも採用されるようになった。ポルシェデザインが製作して82年にリリースした伝説のオーシャン2000や、97年に発表されたGSTアクアタイマーも同じようにアウターベゼルを備えている。これとは異なり、最近モデルチェンジされたダイバーズウォッチ・コレクションでは、インナーベゼルが装備されている。インナーベゼルの長所は、設定を誤った場合でも極めて高い安全性が確保されることだ。
今回、再びアウターベゼルが採用された背景には、グローブを着けたまま、内側にあるスケールを第2のリュウズで操作するのが困難だという事実があった。残念ながら、今回のテストウォッチで採用されているのは、向き合うふたつの箇所を押してベゼルを回転させるという、オーシャンやGST アクアタイマーで装備されていたシステムではない。