2025年秋、スイスの時計ブランドであるフレデリック・コンスタントは「クラシック」コレクションにふたつのモデルを加えた。「バーインデックス」に「革ベルト」というイメージが強かった同コレクションに、「アラビア数字インデックス」に「金属製ブレスレット」という、ややモダン、だがクラシカルな「クラシック プレミア」の新作を投入したのである。

Text by Roger Ruegger
© WatchTime Germany
Originally published in WatchTime Germany
Reprinted with permission.
[2026年2月25日掲載記事]
この文字盤を愛さずにはいられない
この文字盤を見たら誰しも愛さずにはいられない。「クラシック プレミア」とシンプルに名付けられた最新作において、フレデリック・コンスタントは、ポリッシュ仕上げのアラビア数字インデックス、ブレゲスタイルの針、レイルウェイミニッツトラックを組み合わせた。
段差を設けた文字盤にはブルーまたはサーモンカラーを採用し、サンドブラスト仕上げのセンターとサテン仕上げのアウターリングが美しいコントラストを描いている。

自動巻き(Cal.FC-301)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ10.5mm)。5気圧防水。世界限定なし。36万3000円(税込み)。
クラシック プレミアは、2025年初めに発表された「クラシック マンシェット」、そして2024年の「モネータ ムーンフェイズ」という、ふたつの強力なリリースに続くものだ。なお、どちらもクォーツ駆動式のモデルである。

自動巻き(Cal.FC-301)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ10.5mm)。5気圧防水。世界限定なし。36万3000円(税込み)。
これは、ブランドが手の届く価格帯のマニュファクチュールムーブメントに注力するだけでなく、デザイン面でも絶えず進化を続けていることの証左である。クラシック マンシェットやモネータ ムーンフェイズが,それぞれ1950年代や1980年代のデザインへのオマージュであるのに対し、本作はより自由なスタイルで異なる時代のデザインを引用している。
20世紀に多用されたブレゲ数字のアラビア数字インデックス、18世紀に普及したエレガントなポム針、そしてアール・デコ調のレイルウェイミニッツトラック。これらを1940年代風の5連ジュビリーブレスレット、そして約68時間のパワーリザーブを誇る現代的な機械式ムーブメントと融合させることで、スーツにもジーンズにも馴染む、驚くほどタイムレスな1本が完成した。
共同作業の成果
驚くべきは、デザインのミックスだけではない。搭載されている機械式ムーブメントCal.FC-301は、ラ・ジュー・ペレのCal.G100をベースにしている。時計業界の観測筋を驚かせたのは、2012年にシチズン時計が、ラ・ショー・ド・フォンを拠点とするラ・ジュー・ペレの親会社、プロトール・ホールディングを買収したというニュースだった。

その6年後、日本の同グループは「シチズン・グローバルプラン2018」の一環として、スイスのフレデリック・コンスタント・グループも買収した。この拡大戦略により、2025年までに、ムーブメントメーカーであるラ・ジュー・ペレはグループから「最先端の技術支援」を受ける一方で、生産技術を自らコントロールし、あらゆる顧客に分け隔てなく供給できる体制を確立した。
ラ・ジュー・ペレは現在も、シンプルな手巻きや自動巻きからトゥールビヨン、クロノグラフに至るまで、数多くのブランドにフルラインナップのムーブメントを提供し続けている。
同時に、アーノルド&サン、アンジェラス、フレデリック・コンスタントといった自社グループブランドの心臓部も担っており、グループ全体のプレミアムムーブメントにおける「スイスの拠点」としての地位を確立した。
特にCal.G100の開発において、ラ・ジュー・ペレは1980年に誕生した名門ムーブメント工場、ミヨタのノウハウを享受したと言えるのではないだろうか? ミヨタの起源は1959年、シチズン時計が長野県御代田町に工場を建設した年にまでさかのぼる。
Cal.G100はスイスで設計されたものの、信頼性とパフォーマンスで知られるミヨタのCal.9000系といくつかの共通点があるように見受けられる。輪列、耐震装置、緩急調整システム、香箱、および位置を変更したテンプなどのパーツが再設計された。これには約1年以上の研究開発期間を経たそうだ。
これにより、ミヨタの同等モデルの約42時間に対し、約68時間という長いパワーリザーブと、より洗練されたレイアウトを実現している。またCal.G100は、セリタ社のCal.SW200などの代替機としての役割も果たす。直径25.6mmという伝統的かつ機械式時計で最も一般的なサイズを採用しているため、世界で最も普及しているスイス製ムーブメントCal.2824用ケースとの完全な互換性が確保されている。
Cal.G100およびCal.FC-301は共に毎時2万8800振動で動作するが、Cal.FC-301は日付表示を排除し、代わりにローズゴールドカラーのローターを備えている。この自動巻きムーブメントはサファイアクリスタルのシースルーバックから鑑賞でき、50m防水を備えた38.5mmのユニセックスサイズのケースに収められている。
ふたつの選択肢と、クラシックな悩み
従来の「クラシック」コレクションのモデルが、プリントされたローマ数字インデックスとシルバーカラーのギヨシェ風文字盤、そしてレザーストラップが組み合わせることが多かったのに対し、本作クラシック プレミアは、アプライドされたアラビア数字インデックス、そしてステンレススティール製のブレスレットを備えるという、よりモダンな外観の印象を与える。
その一方で、この鏡面仕上げの針とアラビア数字インデックスには蓄光塗料が一切使用されてないため、暗所では時刻を確認しづらいのは事実だ。
カラーバリエーションは、軽やかなクラウドブルー(Ref.FC-301BL3B6B)とサーモンカラー(Ref.FC-301SAL3B6B)の2種類で、文字盤中央部分は砂目模様が施されている。ブルーがよりコンサバティブな選択肢であるのに対し、サーモンカラーは現在のヴィンテージ志向のトレンドにおいて最も支持されている色のひとつだ。

我々はブルーモデルを試着する機会を得たが、手首での表情の豊かさには目を見張るものがあった。光の加減によって、ブルーグレーからダークブルーへと色彩を変化させるこの腕時計は、事実上どんな装いにも調和する。
38.5mmという直径も同様で、この腕時計が似合わない手首を想像するのは難しい。さらに、フレデリック・コンスタントは、ステンレススティール製ブレスレットとの組み合わせにおけるバランスの良さを何度も証明しており、本作も124g(実測値)という絶妙な重量感に仕上がっている。

個人的な意見を言えば、金属製ブレスレットはレザーストラップよりも汎用性と耐久性に優れているが、ケースや文字盤の魅力をより引き立てるために、クイックリリース式のストラップ交換システムという選択肢があればさらに嬉しかった(なお、公式サイトでは別売りのレザーストラップも用意されている)。

ジュビリーブレスレットの装着感は非常に快適だが、その主張のあるデザインが、クラシックなブレゲ針などの全体像と完全には噛み合っていないと感じる向きもあるかもしれない。針についても、ブランドが以前から使用しているものだが、完璧主義者ならもう少し長い分針を好むだろう。

とはいえ、フレデリック・コンスタントがクラシック プレミアで提示したのは、極めて魅力的な1本という選択肢だ。新鮮な風を吹き込む現代的なベースムーブメント、バランスの取れたケース、そして現代のコレクターの好みを正確に射抜いたディテール豊かな文字盤。唯一答えが出せないのは、「どちらの文字盤を選ぶべきか」という、これまたクラシックな悩みだけである。



