2026年3月13日公開の映画「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」と、7月公開が予定されている「キングダム 魂の決戦」——歴史に名を刻むふたつの大作で主演を担う山﨑賢人は、いま最も熱い俳優のひとりだ。手傷を負いながらも前進し続ける“不死身の杉元”を全身で演じる彼が愛用するのは、時計業界に革命を起こしたウブロ。挑戦を続けるという揺るぎない意志において、俳優とブランドは完全に重なり合う。

Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2026年3月22日掲載記事]
今、スクリーンに“不死身”が帰ってきた
2026年3月13日、映画「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」が公開された。山﨑賢人が演じるのは、幾多の修羅場を潜り抜けながらも決して折れない“不死身の杉元”だ。北海道を舞台に繰り広げられる壮大な物語のなかで、そのキャラクターの芯の強さは際立っており、傷つきながらも前に進み続ける男の生き様が観る者の心に深く刻み込まれる。コミカルな要素とシリアスな緊張感が絶妙に共存し、歴史・文化・アイヌ民俗学を巧みに織り交ぜた本作は、幅広い観客を夢中にさせている。
同じく山﨑賢人が主演を務める「キングダム」シリーズも、その勢いを止めることなく展開している。中国・春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になるという夢を抱く戦災孤児の少年・信(シン)を演じ続け、第5弾『キングダム 魂の決戦』は2026年7月17日の全国公開が予定されている。歴史の荒野を駆け抜ける無名の少年が、己の力だけで伝説をつくり上げていく物語は、シリーズを重ねるごとにその熱量を増す一方だ。
“不死身の杉元”と“天下無双を目指す信”。時代も設定もまったく異なるふたりの英雄を、山﨑賢人は同時並行的に体現し続けている。それは並外れた集中力とスタミナを要求する仕事であり、並の俳優であればいずれかの役に引きずられてしまいかねない。なぜ彼だけが、ふたつの“時代”を同時に生きることができるのか。その答えは、俳優・山﨑賢人の軌跡の中にある。
山﨑賢人という俳優の地図
山﨑賢人は2010年のデビュー以来、テレビドラマ・映画・舞台に多数出演し、常に枠にとらわれることなくさまざまな挑戦を続けてきた。デビューの翌年には映画出演を果たし、活躍の場を急速に広げた山﨑は、2014年公開の映画『L・DK』で披露した“壁ドン”が同年の流行語トップ10に選出され、その名を全国に轟かせることになる。この出来事を機に少女漫画の実写映画への出演が相次ぎ、知名度と人気は爆発的に高まった。
しかし山﨑賢人の本質は、表面的な人気の高さとは別の次元にある。2018年に主演した『グッド・ドクター』では、自閉症スペクトラム障害を持ちながらも驚異的な記憶力を発揮するサヴァン症候群の小児外科研修医という難役に挑み、第98回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で主演男優賞を受賞した。
また、同年にはアジアベスト俳優賞を日本人として初めて受賞するなど、その演技力は国際的な評価も獲得している。友人でもある俳優・菅田将暉が「一本一本の映画との向き合い方が凄いんです」と語るように、ストイックなまでに役と向き合う姿勢こそが、山﨑賢人の表現力の源泉だ。
「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』の公開にあたり、山﨑はこう語っている。
「今まで成長していく役が多かったのですが、杉元という役では、乗り越えた後の失ってしまったものや忘れてしまった感覚を取り戻していく男を表現できればと考えていました。自分も年を重ねて、今まで見せたことのないものをたくさん出す事が出来たのではないかと思います」
この言葉には、俳優としての確かな深化が感じられる。“不死身の杉元”を演じるにあたっては、強さを表現するために体重を約10kg増量し、日本武道に由来する軍事訓練にも取り組んだ。一方、「キングダム」の信については、孤児という境遇に合わせた炭水化物制限と運動によって約10kgの減量を経験している。役柄の内側から肉体を変え、全身全霊で物語に入り込む。“実写化の顔”と呼ばれる背景には、そうした徹底した役作りがある。
ウブロとは何か――「融合」という革命
ウブロが掲げるブランドコンセプトは「First(先駆けであること)、Unique(ユニークであること)、Different(唯一無二であること)」の3語に凝縮される。「先駆けであること」とは、誰もやっていないことを最初に試みる勇気を意味する。
「ユニーク」とは単なる個性の表現ではなく、それまでの価値観を解体するほどの独自性を指す。そして「唯一無二」であるとは、比較の余地を与えないほど突き抜けた存在感を持つことだ。
素材への挑戦的な姿勢は時計業界全体に影響を与え続けており、世界的アーティストや著名ブランドとのコラボレーション、革新的なムーブメント開発など、ウブロはあらゆる領域でその精神を体現してきた。
それほどの哲学を持つブランドが、2023年に新たなアンバサダーとして選んだのが山﨑賢人だ。ウブロはこれまでアーティストやスポーツ選手といった、挑戦を続ける著名人をアンバサダーとして迎えてきたが、俳優を起用するのは世界初だった。なぜ、ウブロは俳優という選択をしたのか。そしてなぜ、山﨑賢人だったのか。
アンバサダー就任にあたり、山﨑は率直な言葉でその思いを語った。「ウブロは、機能やデザインの面で挑戦を続けていて、絶えず進化しているブランド。僕も常に新たな挑戦を続けていきたい……」。この一言に、すべての答えが宿っている。挑戦し続けるという意志において、両者は確かに響き合っている。
スクリーンとダイヤルが共鳴するとき
“不死身の杉元”が体現するものは、単なるキャラクターの強靭さではない。手傷を負いながらも、失ったものを抱えながらも、それでも前進することをやめない意志の強さだ。その姿は、ウブロが常識の外に出ることで時計産業を塗り替えてきた姿勢と、驚くほど似た構造を持っている。傷を恐れず前に踏み出す者だけが、新しい地平を開くことができる。
「キングダム」の信が積み上げてきたものもまた、ウブロの歴史と深く響き合う。無名の孤児であった少年が、己の信念だけを武器に歴史を塗り替えていく物語……それはウブロが創業当初、業界から異端とみなされながらも独自の道を切り拓いてきた革命の構造と重なる。

本モデルは、サテン仕上げ&ポリッシュ仕上げのブラックセラミックベゼルを備える。自動巻き(Cal.HUB1280)。43石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18Kキングゴールドケース(直径44mm)。10気圧防水。588万5000円(税込み)。
「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」の公開とともに、山﨑賢人のキャリアは今まさに新たな段階に入った。少女漫画の王子様から始まり、難役への真摯な挑戦を経て、今や2つの時代を同時に担う俳優へ。その軌跡は一本の成長曲線ではなく、幾重もの挑戦が交差する複雑な地図のようだ。
「挑戦とは、続けることそのものだ」——その命題を、ウブロと山﨑賢人はそれぞれの領域で体現してきた。一度の革命ではなく、何度も何度も新しいことを試み、失敗を恐れず前に進み続けることで初めて、時代を動かす力が生まれる。時計のなかで異素材が融合するように、スクリーンの上で役柄が重なるように、挑戦の積み重ねだけが本物の輝きを生む。
時代を刻むのは、立ち止まらない者だけだということを、両者の存在は示唆している。



