シチズンから2026年に発表された新作時計を、まとめて紹介する。エコ・ドライブの誕生50周年を記念する「Eco-Drive PHOTON(エコ・ドライブ フォトン)」やザ・シチズンをはじめ、独創性ある、そして優れた機能を有する良作が今年もそろっている。

Text by Shin-ichi Sato
[2026年4月5日公開記事]
シチズン「Eco-Drive PHOTON」

シチズンは、エコ・ドライブの誕生50周年を記念する「Eco-Drive PHOTON(エコ・ドライブ フォトン)」を発表した。一度のフル充電で約365日駆動する新型ムーブメントのCal.E036を搭載し、デザイン面では、光学や量子力学の分野で有名な“二重スリット実験”をモチーフとした多層文字盤が特徴となっている。発表に際して2モデルが用意され、いずれも世界限定5000本となる。
二重スリット実験のように、本作の文字盤にはスリットが設けられた2枚の金属板が並べられ、その奥に、特定の波長の光を反射して発色させる構造色フィルムが配置されている。これにより、重ねられたスリットによる立体感があり、光の入射によって色調が変化するオリジナリティーのあるデザインを実現している。
ケースとブレスレットは、軽量で耐傷性に優れるシチズン独自のスーパーチタニウムを採用する。丸みを帯びた八角形のケースと、ピッチの短いブレスレットがシームレスにつながったフォルムを持ち、エコ・ドライブの先進性を示すようなモダンなルックスに仕上げられている。

光発電エコ・ドライブ(Cal.E036)。フル充電時約1年駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径39.6mm、厚さ9.9mm)。5気圧防水。世界限定5000本。予価14万8500円(税込み)。2026年秋発売予定。

光発電エコ・ドライブ(Cal.E036)。フル充電時約1年駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径39.6mm、厚さ9.9mm)。5気圧防水。世界限定5000本。予価17万8200円(税込み)。2026年秋発売予定。
ザ・シチズン「エコ・ドライブ エコ・ドライブ50周年限定モデル」Ref.AQ4091-56W

エコ・ドライブ50周年を祝う「エコ・ドライブ50周年限定モデル」は、草木染により深みのある千歳緑(ちとせみどり)に染めた和紙を文字盤に採用した限定モデルだ。この緑は松の葉に由来する日本の伝統色で、四季を通して緑を保つ松の葉が不変の象徴とされることから、縁起の良いとして親しまれている色である。
松の葉のような濃色で深みのある緑を、本作では藍染と草木染を融合させて実現している点が特徴だ。草木染は自然由来の優しい色合いが得られる魅力があるが、はっきりとした色を得ることは難しいとされる。そこで本作は、藍染により深みを得つつ、古来より黄色の染料として使用される伊吹苅安(いぶきかりやす)による草木染めを組み合わせて、千歳緑を生み出している。これまで、和紙を取り入れたさまざまな表現技法を採用してきたシチズンであるが、草木染を用いるのは本作が初めてだ。
文字盤上には、エコ・ドライブ50周年を記念したゴールドカラーのイーグルマークと秒針が配され、深い千歳緑の色調に映える仕上がりだ。ケースとブレスレットは軽量で耐傷性に優れたスーパーチタニウムを採用し、永久カレンダーを備えた年差±5秒のエコ・ドライブムーブメントCal.A060を組み合わせることで、従来モデル同様の高い実用性を実現している点も魅力である。

光発電エコ・ドライブ(Cal.A060)。フル充電時約1.5年駆動(パワーセーブ時)。Tiケース(直径40.0mm、厚さ12.2mm)。10気圧防水。世界限定650本。46万2000円(税込み)。2026年5月28日(木)発売。
シチズン アテッサ「Shades of Red」Ref.CC4077-71Z

シチズン アテッサの新作「Shades of Red」Ref.CC4077-71Zは、皆既月食が生み出す「ブラッドムーン」を表現した限定モデルである。ベースとなるのは、「ACT Line エコ・ドライブGPS衛星電波時計」だ。ACT Lineは、困難に立ち向かいながら前へと進み続ける人々をサポートすることをテーマとしたラインナップで、アクティブでライフスタイルにマッチする、スポーティーなデザインと、充実した機能が特徴である。
皆既月食は、太陽と地球、月が一直線に並ぶことで月が地球の影に隠れ、赤い光だけが月に届き、月が赤く見える現象である。本作は、数年に一度見られるこの天体ショーが、2026年3月3日に日本で見られることにちなんだモデルである。
曜日表示、機能表示、第2時間帯、ワールドタイムなどの多数の機能を実現する文字盤には、皆既月食時に赤く見える月の表情が描かれる。これは、マザー・オブ・パールをベースに、月の模様が描かれた層を重ねて実現しており、独特の奥行きのある仕上がりが魅力である。ベゼルリングも月の色に呼応するレッドであり、ケースやブレスレットは月食が見られる夜を思わせるブラックで仕上げられている。また、GPS衛星電波受信による自動時刻修正など、充実した機能により実用性が高い。

光発電エコ・ドライブ(Cal.F950)。フル充電時約5年駆動。Tiケース(直径44.6mm、厚さ15.4mm)。10気圧防水。世界限定1800本。38万5000円(税込み)。
シチズン アテッサ「Shades of Red」Ref.BY1005-73Z

光発電エコ・ドライブ(Cal.H874)。フル充電時約2.5年駆動。Tiケース(直径41.5mm、厚さ10.8mm)。10気圧防水。世界限定2200本。19万8000円(税込み)。
シチズン アテッサ「Shades of Red」Ref.BY1005-73Zも、Ref.CC4077-71Zと同様に皆既月食時に赤く見える月をテーマとしたモデルである。Ref.BY1005-73Zは、月齢自動計算機能「ルナプログラム」を備えるモデルをベースとしている。ルナプログラムは、電波受信による時刻修正機能と連動したもので、取得した日時と、北半球か南半球かの情報から、ムーブメント内部で月齢を計算して表示する。
文字盤は、ダークレッドのベースに立体インクジェットで月の凹凸を思わせる模様を施したもので、ざらっとした立体感とともにブラッドムーンを表現する。さらに6時位置のムーンフェイズ表示は、星が瞬く漆黒の夜空をパール印刷により表現し、そこに赤い金属電着と印刷を重ねて描き出したブラッドムーンが浮かぶデザインである。
本作はムーンフェイズ表示のほか、光発電エコ・ドライブによる発電機能と、電波受信による時刻修正機能、永久カレンダーなどの機能が充実しており、実用性が高い仕上がりだ。
シチズン「シリーズエイト」

「エッジの効いたモダンデザインと高い実用性を兼ね備えた日本発の機械式時計ブランド」をコンセプトとするシリーズエイトの新作は、グローバルトレンドを取り入れた、コンパクトかつ薄い仕立ての新デザインが取り入れられている点が特徴だ。レギュラーモデル2型と、フォージドカーボンを文字盤に採用した限定モデルの計3型が発表された。
ケースは、各部品の最適化を図ることで薄型化が図られており、本作は厚さ10.4mmを実現している。薄く仕立てつつ、シリーズエイトの特徴である別体構造によって、立体的でシャープなデザインを際立たせ、メリハリのある仕上がりとなっている。
レギュラーモデルとなるシルバーカラーのステンレススティール製ケースモデルRef.NB6080-51Wは、淡いグリーンの文字盤が組み合わされる。文字盤には、日本特有の市松模様と都会のビル群から着想を得た、シリーズエイトのシグネチャーとなるパターンを施している。従来モデルでは文字盤全面に施されていたが、本作では外周部にフラットな部分を残すことでコントラストを加えている点が特徴だ。

自動巻き(Cal.9051)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径39.3mm、厚さ10.4mm)。10気圧防水。15万9500円(税込み)。
ゴールドカラーモデルのRef.NB6085-57Wは、文字盤もゴールドカラーで仕立てられている。めっきによるイエローゴールドカラーを基調としつつ、ウォームゴールドカラーと名付けられたピンクゴールド系のパーツを組み合わせることで、デザインが単調とならず、表情のある仕上がりである。

自動巻き(Cal.9051)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径39.3mm、厚さ10.4mm)。10気圧防水。17万6000円(税込み)。
限定モデルとなるRef. NB6086-54Eは、グレーに仕上げられたケースとブレスレットに、イエローゴールドカラーのパーツを組み合わせたツートンデザインだ。そして文字盤に採用したフォージドカーボンが見どころである。フォージドカーボンは、カーボンファイバーのランダムな表情が表れる点が特徴で、個体によって異なる模様となるため、唯一無二のデザインとなる点が魅力だ。

自動巻き(Cal.9051)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径39.3mm、厚さ10.4mm)。10気圧防水。世界限定1200本。19万8000円(税込み)。
シチズンコレクション「TSUYOSA」Ref.NJ0157-81L

手に取りやすい価格ながら高い品質と優れたデザインで人気の高いシチズンコレクション「TSUYOSA」の新作Ref.NJ0157-81Lは、seconde/seconde/(セコンド/セコンド/)のコラボレーションモデルだ。シチズンとセコンド/セコンド/のタッグは今回が初となり、シンプルなTSUYOSAのデザインにセコンド/セコンド/の世界観が落とし込まれている。
セコンド/セコンド/は、アーティスト兼時計のカスタマイザーであるロマリック・アンドレが手掛けるブランドである。セコンド/セコンド/はTSUYOSAの名前から“力”や“強さ”を連想し、その象徴として刀をテーマとしたデザインが取り入れられている。これまでのセコンド/セコンド/でも見られた、アニメやゲームを思わせるドット絵風にピクセル化する手法が本作でも取り入れられており、分針は刀のモチーフとなっている。そして、分針が回転してインデックスを一刀両断したかのようなデザインとなっている点が見どころだ。文字盤は、鮮やかなブルーが採用されており、“ジャパンブルー”を想起させる色合いである。
本作のテーマは、“Being smaller has never stopped Minutes from slicing Hours into pieces”(たとえ小さく弱く見えても、大きく立ちはだかる困難を乗り越えることができる)であり、小さな存在である“分”を指し示す分針が、大きな存在である時間の象徴として12時間表示のインデックスを斬るというデザインにつなげている。また、このテーマはケースバックに刻まれ、メッセージ性の高い仕上がりとなっている。

自動巻き(Cal.8210)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.7mm)。5気圧防水。7万3700円(税込み)。



