2026年4月14日〜20日まで、スイス・ジュネーブで開催されるウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ。時計専門誌『クロノス日本版』編集長の広田雅将が、例年疲れた体にムチ打ちながら更新していた「ジュネーブ日記」を、今年初めて現地取材する編集部の鶴岡智恵子が引き継いだ。新作見本市の空気とともに、ジュネーブでの苦しくも楽しい(ほんとか?)日々をお届けする。
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
初ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ取材で早速洗礼を受ける

スイス時間の4月14日朝4時に起床。ちなみに過去2度、スイス取材をしているが、どんなに前日の夜が遅くなっても、疲れてても、だいたいこの時間に目が覚めてしまう。この睡眠不足も、後々私の体力を奪っていく要因のひとつとなったのだろう。
さておき、8時30分から会場が開くと聞いていたので、7時5分発の電車に乗るため、朝食を食べて駅へと向かった。


コルナヴァンで乗り換え、ジュネーブ空港へ。空港の出発ゲート前に、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ期間中は専用デスクが設置されているので、そこで会場となるパレクスポまでのシャトルバスの場所を聞く。前の便が出発後、間もなかったようで、少し待つように言われた後、マイクロバスで送ってもらう。
デスク、そしてマイクロバスの運転手に、下手な英語で「私、今回初めてのウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブなんです!」と話しかけまくる。ニコニコ聞いてくれてありがとうございました(スライディング土下座)。
そして、会場に到着。まだ8時過ぎであったにもかかわらず、長蛇の列。ジュネーブに宿泊していたクロノス本誌チームと遭遇したので、挨拶を交わす。


そうこうしているうちに、ついに会場内へ。まず目指したのは、ロレックスのブース。入り口からは奥まった場所にあり、5分ほど歩いて到着するも、すでに人だかりができていた。

ブース自体が広いため、まだ人だかりができていないショーケースや展示品のところから見ていたら、後から後からカメラを構えた来場者が押し寄せ、押し寄せ。まだ撮影中の私のカメラの前に自分のスマートフォンを差し込む者、押しのけて撮影しようとする者……。「これが、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブの洗礼か……!」と思いつつ、私も負けじと頑張った。
ちなみに自分、そして小誌編集部を含むウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブの参加者の名誉のために伝えておくと、こんな押し合いへし合いは、会期中、後にも先にもこのロレックスブースの前でだけで、本見本市の洗礼ではない。ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブは見本市であると同時に「サロン」なので、来場客はおおむね礼儀正しい。



「良かった」からこそ頭爆発……。
ロレックスを撮影し、その周辺のブースを見て回った後、9時から取材一発目のチューダーへ。ブースはチューダーのブティックでも採用されているレッドとブラックのカラーを基調とした、おなじみのスタイルだ。M女史に出迎えてもらって、プレスルームで新作を拝見。
まったく新しいコレクション「モナーク」が、これまでのチューダーとは違った雰囲気で、チューダーはそうは言っていないものの、これまでの“ラグスポ”を新しくした1本だと感じた。そのほか「ブラックベイ セラミック」「ブラックベイ 54」「ブラックベイ 58」など、豊富な新作時計を取材する。




チューダーの新作時計の出来栄えに大満足で、その興奮冷めやらぬうちにと動画を撮影。良かったらこちらも見てやってください!
その後、グランドセイコーへ。新作時計とリンクするブースの設えは、水の中にいるかと錯覚するような感覚に(疲れもあったか?)。光の球体が上へ下へとランダムに流れる様は、今回の新作ダイバーズウォッチ“潮”や新作「マスターピースコレクション」がインスパイアされた大滝の、水しぶきや水泡を感じさせる。



アップは翌日となったが、グランドセイコーの新作時計についても動画を撮影した。
お次はジャガー・ルクルトのタッチ&トライ(実機を触ることのできるセッション)へ。同ブランドのプロダクト開発部門ディレクターである浜口尚大(はまぐち たかひろ)氏が通訳を行うという豪華ぶり! 「マスター・ハイブリス・メカニカ・ウルトラスリム・ミニッツリピーター・トゥールビヨン」「レベルソ・トリビュート・エナメル 葛飾北斎 諸国瀧巡りシリーズ」等、普段なかなか見ることのできない貴重な時計の数々を手にして、写真撮影して、至福に浸るも、このあたりで頭がぐるぐる回ってくるのを感じる。1日のうちに、これほどまでにたくさんの時計を見て、情報をインプットした経験がなかったためか、混乱して熱っぽくなってしまう。




混乱しても取材は待ってくれないので、お次はA.ランゲ&ゾーネのブースへ。巨大な「ランゲ 1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー“ルーメン”」が出迎える。例年寡作ながら、ものすごい(語彙力)モデルを出してくるA.ランゲ&ゾーネ。このランゲ 1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー“ルーメン”は、ただ文字盤をサファイアクリスタルにして、蓄光塗料を配したわけではない(ランゲですし)。「ランゲ 1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー」を“ルーメン”にするにあたって、新開発のムーブメントCal.L225.1を搭載している。36mm径のケースとなった「サクソニア・アニュアルカレンダー」のムーブメントももちろん新開発。



次にウブロ。目玉は「ビッグ・バン リローデッド」。セラミックスを自由なカラーリングで楽しませるのは相変わらずだが、今回は搭載されるムーブメント「ウニコ」の5つの特許技術を際立たせるというコンセプトもあるようで、6時位置のコラムホイールや8時位置のバックラッシュ抑制水平クラッチが彩られていることが特徴だ。


ウブロを出たあたりで、『クロノス日本版』チームから楽しそうな写真が……。

ヤモリ→ブルガリ→パネライ→IWC

少し頭を休めようとソファに座り(この時すでに16時。完全にお昼を食いっぱぐれる)、周囲を眺めると何やらかわいいヤツがこちらを見ている……! L'Epée 1839のヤモリクロックだ。
ヤモリに癒され(お値段はかわいくない)、少し元気になって次はブルガリのブースツアーへ。ブースツアーでは実機を見たり撮影したりすることはできないものの、ブルガリの世界感たっぷりの空間に浸った。面白かったのが、今回の新作「オクト フィニッシモ」の直径37mmモデルに搭載された新型自動巻きムーブメントCal.BVF 100の製造について。従来のオクト フィニッシモのムーブメントとは異なる新設計とのことだが、この設計の着想は従来のオクト フィニッシモの薄型ムーブメントではなく、レディース向けのハイジュエリーウォッチに搭載されてきた、手巻きの小型ムーブメント「ピコリッシモ」から来ているのだ。長らくジュエリーを手掛けてきた、ブルガリらしいインスピレーションだ。



18時30分に取材を終えて、息つく暇もなく、パネライのカクテルパーティーへ。パネライのブースは数ある出展ブランドの中でも、一際目を引くものだった。ブルーがあふれるブース内に入ると、中央に巨大な水槽のようなものが設けられている。これは、イタリア海軍所属のCOMSUBIN基地(Comando Raggruppamento Subacquei e Incursori)があるイタリアのレ・グラツィエ(ラ・スペツィア)に設置され、現在も使用されている訓練用タンクのレプリカ!
この水槽の中の展示品も、古今の防水テスターが、そしてオリジナルのタイムピースと新作が共に並べられるという、タイムスリップを楽しめる空間となっている。


さらにその後、IWCのブースで新作時計の撮影。どのメディアも熱心に撮影しており、なかなか撮りたいモデルが回って来ず、22時までシャンパンを飲んで待ちながら待機と撮影を繰り返す(勧められたから……ね?)。



22時過ぎにパレクスポを出る。怒涛の1日だった……。もうシャトルバスはなく、暗い道を歩いて帰るのも少し怖かったので、コルナヴァンまでタクシー移動。20分ほどで、しめて約30スイスフラン、6000円なり。ちなみに『クロノス日本版』編集部が居を構える半蔵門で深夜作業後(ゲフンゲフン)、我が家までタクシーで帰宅すると40分くらいかかり、料金は7000円くらいです。
アンヌマスのホテルに帰れたのは23時過ぎ。初日からこの忙しさに戦々恐々としながら泥のように眠る。




