ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026にて、チャペックは「アンタークティック」コレクションの新作モデル3種を披露した。いずれもケース素材にグレード5チタンを採用し、これを際立たせる新色「コスミックブルー」をダイアルに取り入れた、限定生産のタイムピースである。それぞれのモデルには、ブランドの時計製造における重要な節目となった、3針、スケルトン仕様、そしてトゥールビヨンという3種のムーブメントが搭載されている。

Text by Kento Nii
[2026年4月21日公開記事]
「アンタークティック・チタニウム ダークセクター コスミックブルー」
アンタークティック・チタニウム ダークセクター コスミックブルーは、腕時計における伝統的な意匠であるセクターダイアルを、独創的に再構築したタイムピースだ。外周のミニッツトラックの内側に配置された2つの同心円は12箇所で途切れており、この「空白」を用いることでアワーマーカーが表現されている。

自動巻き(Cal.SXH5)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径40.5mm、厚さ10.6mm)。120m防水。世界限定25本。予価891万円(税込み)。
本作をはじめとする今年の新作は、すべてケースおよびブレスレットにグレード5チタンを採用している点が大きな特徴となる。チタンは、軽量でありながら卓越した強度を誇り、優れたアレルギー耐性や耐腐食性をも備える高性能な金属として知られている。今回登場したアンタークティック3モデルでは、軽やかでありながらタフという特性を持つ本素材の採用によって、ブランドの逆説的な精神を体現したという。

自動巻き(Cal.SXH5)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径38.5mm、厚さ10.6mm)。120m防水。世界限定10本。予価891万円(税込み)。
また、新作3種におけるもうひとつのトピックが、チャペック独自の「コスミックブルー」をメインカラーに採用している点だ。この色合いは、チタン素材と組み合わせるよう試行錯誤を経て調整されたものであり、力強い印象を与えるダークグレーの外装との間に、質感や色調のコントラストを描き出している。

内部に搭載されるCal.SXH5は、2020年にチャペックが初めて設計・開発から組み立てまでを自社で手掛けた、ブランドの時計製造のマイルストーンと呼ぶべきムーブメントである。約60時間のパワーリザーブを有しており、オフセンターに配されたリサイクルプラチナ製のマイクロローターによって、ケース厚10.6mmというスリムなシェイプにも寄与している。

ちなみに、今回登場する3モデルでは、全面の仕上げをサテンまたはサテンとポリッシュのコンビネーションからオーダーできる。これは、ブランドのチタン製ケースモデルにおいて、初の仕様となる。また、いずれのブレスレットにも、既存モデルと同様に、付属のラバーストラップへと手軽に交換できる「イージーリリース」システムに加え、フィット感を追求できるマイクロアジャスト機構が備わる。

「アンタークティック・レヴェラシオン チタニウム コスミックブルー」
普段は隠れているムーブメントの駆動パーツを前面に出し、スケルトンダイアルからその機能美を覗かせる「アンタークティック・レヴェラシオン」からも、このグレード5チタン製の外装とコスミックブルーを取り入れた新作が登場している。

自動巻き(Cal.SXH7)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径40.5mm、厚さ10.6mm)。120m防水。年間生産50本。予価1100万円(税込み)。
搭載するCal.SXH7で特筆すべきは、既存のムーブメントを単に肉抜きするのではなく、全体を反転して再設計されている点だ。これにより、普段は目にしない脱進機や、ストップセコンド機構もダイアル側に露出しており、平時だけでなく、時刻調整時にもその駆動をダイレクトに観察できる仕様となっている。

自動巻き(Cal.SXH7)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。Tiケース(直径38.5mm、厚さ10.6mm)。120m防水。年間生産25本。予価1100万円(税込み)。
ダイアルには、スモークサファイアクリスタルを採用。全面的にスケルトン化されたメインプレートが覗いており、複数のブリッジが浮遊しているかのような“トロンプルイユ(騙し絵)”的構造が作り出されている。また、ミニッツトラックや4時30分位置のスモールセコンドにコスミックブルーを取り入れることで、この奥行きのある構造との鮮烈な対比が強調された。

なお本作にも、先述のセクターダイアルモデルと同様に直径40.5mmと38.5mmのケースバリエーションが展開される。厚さはいずれも10.6mmと、複雑な構造に反してスリムな仕上がりだ。1年を通して、前者は50本、後者は25本のみが限定生産される。
「アンタークティック・トゥールビヨン コスミックブルー」
ブランド復活10周年を記念して登場した、「アンタークティック・トゥールビヨン」をベースとした1本。搭載するCal.9を主役に据えた本タイムピースでは、垂直軸上に配置したフライングトゥールビヨン、輪列、香箱を、巨大なセンターブリッジとともに露出させたデザインがハイライトとなる。新作では、この特異な設計を強調するギヨシェ彫りに、ブルーPVD加工によってコスミックブルーが取り入れられた。

自動巻き(Cal.9)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約100時間。Tiケース(直径40.5mm、厚さ11.5mm)。50m防水。世界限定25本。予価1870万円(税込み)。
Cal.9は、設計だけでなく、部品の加工の大部分までもがラ・ショー=ド=フォンの自社マニュファクチュール内で手掛けられたムーブメントだ。ダイアルを横断するセンターブリッジをはじめとした、各部の装飾までもが自社で施されており、ブランドの技術の進歩を象徴する存在となっている。また、約100時間のパワーリザーブを有しており、美観だけでなく、実用性の確保にも余念が見られない。

グレード5チタン製ケースの造形は、既存モデルと共通しており、直径40.5mm、厚さ11.5mmに設計されている。また、わずかに盛り上がった風防を備えた、ベゼルレス仕様のようなデザインも据え置きである。世界限定で、25本のみが販売される予定だ。




