シチズンが時計市場で先鞭をつけてきた技術・チタンを使った時計ブランド、シチズン アテッサの「ACT Line」より、限定モデル「STAR WARS The Mandalorian Beskar Model」が発表された。『スター・ウォーズ』の人気ドラマシリーズにフォーカスした本作は、劇中に登場する架空の合金を表現した、力強くも神秘的なパターンが与えられた文字盤を特徴とする1本に仕上がっている。

Text & Photographs by Kento Nii
[2026年5月14日公開記事]
『スター・ウォーズ』の人気ドラマシリーズとの特別モデルが実現
手の届きやすい価格帯で展開される「シチズンコレクション」から、時計製造技術の粋を感じられる「ザ・シチズン」まで、実に多彩なブランドを展開するシチズン。同社はその商品展開力とデザインの幅広さを生かし、人気コンテンツとタッグを組んだモデルを定期的にリリースしている。なかでも、映画『スター・ウォーズ』モデルは、その世界的な人気もあってか、これまでに幾度となく実現されてきた。
そんな特別モデルでは、マスコット的キャラクターである「C-3PO」や「R2-D2」をイメージしたポップなものから、「ダース・ベイダー」や「ダース・モール」を大胆に表現した1本まで、原作のファンであれば誰もが引かれるデザインが採用されてきた。また、ベースとして、「レコードレーベル」の人気モデルなどが選ばれることも多く、数量限定での展開も相まって、登場のたびに高い注目を集めている。
そして2026年、これらに連なる最新作として登場したのが、「STAR WARS The Mandalorian Beskar Model」だ。『スター・ウォーズ』初の実写ドラマシリーズであり、2026年5月22日公開の映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』をコンセプトとした数量限定モデルとなる。劇中に登場する架空の合金「ベスカー」がそのデザインモチーフに据えられている。発売は映画公開日に合わせた5月22日を予定しており、世界限定1400本のみでの展開となる。

光発電エコ・ドライブ(Cal.H800)。フル充電時約10カ月(パワーセーブ作動時)。Tiケース(直径42.0mm、厚さ10.8mm)。10気圧防水。世界限定1400本。19万2500円(税込み)。2026年5月22日発売予定。
架空の合金「ベスカー」をダマスカス調のパターンで表現
これまでは『スター・ウォーズ』の各エピソードや主要キャラクターにフォーカスしたモデルがリリースされてきたが、この新作モデルはスピンオフ作品である『マンダロリアン』にスポットが当てられている。『マンダロリアン』は、1983年公開の映画『エピソード6/ジェダイの帰還』の5年後が舞台だ。神秘的な力で戦うこれまでの主人公たちとはうって変わり、泥臭い銃撃戦に臨む賞金稼ぎの主人公・マンダロリアン/ディン・ジャリンの物語が描かれており、従来とは一風変わった世界観が繰り広げられる。
新作モデルでは、この世界観の表現として、波打つようなダークトーンのパターンを採用している点がトピックとなる。これは、劇中において伝説的とされる合金「ベスカー」の模様を再現したものだ。このパターンは、サブダイアルを含めたダイアルの全面にあしらわれており、ダマスカス鋼のような神秘的な一面を備えつつ、モノトーンの引き締まった表情を見せている。

また、このパターンは、レーザーを当てた部分を硬化させる新技術「表面硬化レーザー」によって、ブレスレットの中コマにも施されている。さらに、その上にはデュラテクトDLCも重ねられており、統一感のある外観とともに、縞模様が施された濃いブラックの部分は、いっそうの傷への耐性が高められているのだ。

筆者が本作で注目したのは、このベスカーパターンによって、実にさりげなく特別感が主張されている点だ。こういった特別モデルにおける筆者のイメージは、人気キャラクターやコンテンツを象徴するディテールを前面に押し出した、いわゆる“分かりやすい”特別デザインモデルが主であった。
たとえば『スター・ウォーズ』で言えば、ライトセーバーや宇宙戦闘機を盛り込むのが最も容易に特別感を演出できる手法となるだろう。しかしながら本作では、独特の渦巻くような文字盤パターンというディテールを備えつつも、全体としては非常に落ち着いたトーンにまとめられており、過度なキャラクター性が抑えられているような印象を受けたのである。これならシチズン アテッサ(以下アテッサ)の通常モデルと同様に、オンオフ問わずファッションに取り入れやすいのではないだろうか。

日常生活やビジネスの合間にその巧みなディテールをのぞき、劇中の壮大なスペースオペラに想いを馳せる。そういった大人の趣味の楽しみを増してくれることが、購入後の本作の満足度を高める要素のひとつとなることだろう。
ベースモデルの優れたパッケージングはそのままに
本作のベースとして採用されたのは、アテッサ「ACT Line」のなかでも比較的シンプルなデザインで人気を集めるクロノグラフモデルだ。目立った縦ふたつ目のインダイアルに24時間表示を備えたそのレイアウトは、スポーティーすぎない絶妙なラインを突いている。
また、同型の既存モデルでは、視認性の確保やアクセントとして針やインデックスに差し色が用いられることが多いが、本作ではそれらを廃したワントーンにまとめられており、ベスカーパターンが表情の主役として際立って見える。

機能面においては、定期的な電池交換の煩わしさからユーザーを解放する光発電エコ・ドライブをはじめ、クロノグラフ、ワールドタイム機能といったアテッサらしい実用機能を網羅している。また、電波受信機能は、日中欧米の標準電波を受信可能であり、その安定した精度はJIS 1種耐磁、衝撃検知機能、針自動補正機能といったテクノロジーによって保たれる。日常使いの腕時計として、申し分ないスペックと言えるだろう。
ちなみにエコ・ドライブは、ダイアルから光を透過させて発電する仕組み上、クロノグラフモデルの場合、サブダイアル部分のみを透過層とすることも多い。しかし本作では、ダイアル全体で光を取り込む方式が採用され、大胆なベスカーパターンの表現と光発電の両立が図られている。これは広い受光面積と、わずかな光からでも発電する効率性の高さ、優れた省電力技術があってこそのものであり、この分野をリードしてきたシチズンならではの仕様となっている。
「普段使い」しやすい『スター・ウォーズ』限定モデル
ここまで記してきた通り、本作は特別なモデルでありながらも、その主張は至って控えめであり、ビジネスシーンを含めた普段使いがしやすい1本に仕上げられている。ベースとなっているのも「ACT Line」において幾度も採用されてきた人気デザインであるため、全面に個性を押し出したような時計とは一線を画す、非常に堅実な1本と言えるだろう。
とはいえ、限定モデル特有のスペシャル感がないわけでもなく、神秘的なベスカーパターンをはじめ、普段はあまり目にしない箇所にも特別なディテールがちりばめられている。さらに、専用の特別パッケージが付属するほか、トートバッグのプレゼントキャンペーンも実施されるなど、原作ファンであれば間違いなく引かれるタイムピースに仕上がっているはずだ。

なお、本稿の執筆にあたり『マンダロリアン』について軽く下調べを行ったが、映画シリーズにあまり明るくない筆者であっても、かなり興味を持たされる内容が展開されており、原作ファンからの評価も高いように感じた。本作の発売と同日には、劇場版『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』も公開されるため、気になった方は腕時計とともに、ドラマシリーズからチェックしてみてはいかがだろうか。



