ロンジン2026年新作「ロンジン レジェンドダイバー 59」を深掘り。1959年に始まった〝伝説〟の継承者

2026.08.28

ロンジンが2026年新作として発表した「ロンジン レジェンドダイバー 59」は、1959年に登場したダイバーズウォッチ「Ref.7042」の系譜を継ぐ最新作だ。ふたつのリュウズや回転式インナーベゼル、すっきりとしたケースフォルムをそのままに、現代的なアップデートが加えられた本作の魅力を深掘りする。

ロンジン レジェンドダイバー 59

Photograph by Youkoh Endo(Chronos-Japan)
野島翼:文
Text by Tsubasa Nojima
[2026年8月28日公開記事]


ロンジンのダイバーズウォッチの歴史を語り継ぐ名作

 ロンジン初の民生用ダイバーズウォッチは、1958年に登場した「ノーチラス スキンダイバー」である。これを皮切りにダイバーズウォッチの開発に注力した同社は、翌1959年、後のレジェンドダイバーの祖となる「Ref.7042」を発表した。

 Ref.7042の大きな特徴が、エルヴィン・ピケレが開発したスーパーコンプレッサーケースである。これは水圧を利用して気密性を高める構造を持ち、Ref.7042では12気圧の防水性を実現していた。ふたつのリュウズも外観的な特徴であり、2時位置のものを用いることでダイアル外周に設けられたインナーベゼルを回転させ、潜水時間を計測することが可能であった。すっきりとしたベゼルと細身のラグやドーム型の風防も相まって、本格的なダイバーズウォッチでありながらもその姿は、どこかドレスウォッチにも通じる上品さを備えている。

 ロンジンはその後も基本的なデザインを受け継ぎながら改良を続け、1965年には20気圧防水を備えた「Ref.7594」を発表。1970年代には30気圧防水に達した腕時計をオーストラリア海軍へ納入するなど、ダイバーズウォッチとしての性能を高めていった。

 これらの、いわゆる復刻モデルとして登場したのが、2007年の「ロンジン レジェンドダイバー」である。オリジナルと同じ42mm径のケースや回転式インナーベゼル、ふたつのリュウズといった特徴を継承する一方、現代的なねじ込み式リュウズを採用した本作は、“伝説”を受け継ぎながら、日常的に使える実用時計として再構築された。

 以降はデイト表示を備えたモデルをはじめ、小径モデル、ブロンズケース、カラーダイアルなど、ラインナップを拡充。2023年には39mm径のケースを採用したノンデイトモデルが登場し、ISO 6425規格に準拠することで、名実ともに本格的なダイバーズウォッチへと進化した。レジェンドダイバーは単なるアーカイブピースの復刻にとどまることなく、時代に合わせて少しずつ姿を変えながら、その歴史をつないできたのである。


よりオリジナルに忠実な新作「ロンジン レジェンドダイバー 59」

ロンジン レジェンドダイバー

ロンジン「ロンジン レジェンドダイバー 59」Ref.L3.795.4.59.9
1959年に登場したオリジナルの意匠を色濃く受け継ぐ、「レジェンドダイバー」の最新作。本格ダイバーズウォッチとしてのスペックと上品なデザインが、優れた汎用性を生む。なお、ラバーストラップが付属していることも特筆すべき点である。自動巻き(Cal.888.6)。21石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径42mm、厚さ12.85mm)。30気圧防水。59万7300円(税込み)。

 2026年、その系譜に新たに加わったのが「ロンジン レジェンドダイバー 59」だ。最大の特徴は、1959年に登場したRef.7042のプロポーションを改めて見つめ直したことにある。ケース径はオリジナルと同じ42mm。2023年に登場した39mmモデルよりもやや大ぶりではあるものの、厚さは12.85mmに抑えられている。

 基本的なデザインは、これまでのレジェンドダイバーから大きく変わっていない。2時位置と4時位置に並ぶふたつのねじ込み式リュウズ、回転式インナーベゼル、細身のラグ、ドーム型サファイアクリスタルといった、歴代モデルを特徴付ける要素は健在だ。カレンダー表示を持たないダイアルも、1959年のオリジナルを思わせる簡潔な表情を作り上げている。

 一方、スペックは現代のダイバーズウォッチにふさわしいものだ。30気圧防水を備え、ISO 6425規格に準拠。搭載するロンジン専用の自動巻きムーブメントCal.L888.6は、シリコン製ヒゲゼンマイと約72時間のパワーリザーブを備え、COSC公認クロノメーターを取得している。

 大きく姿を変えるのではなく、オリジナルが持っていた魅力を掘り下げながら、現代の実用時計として完成度を高める。これまでレジェンドダイバーが続けてきた進化の方向性は、本作にも確かに受け継がれている。

注目すべきはダイアルの作り込み

 本作において特に注目したいのがダイアルだ。ブラックで統一されたダイアルにはグレイン仕上げが施され、光の反射が抑えられている。ダイバーズウォッチにとって、視認性は何よりも重要なスペックのひとつだ。艶やかなラッカーダイアルを採用したこれまでのレジェンドダイバーとは異なり、本作はマットな質感を与えることで、よりツールウォッチらしい表情を獲得した。

 そして、そのシンプルなダイアルだからこそ目を引くのが、プリントの精緻さである。レジェンドダイバーのダイアルには、12、3、6、9のアラビア数字をはじめ、バーインデックスやミニッツトラック、インナーベゼルの数字など、多くの表示がプリントされている。これらを間近で確認しても文字の輪郭に目立った滲みはなく、細かな目盛りまでシャープに仕上げられている。グレイン仕上げによる凹凸を持った下地に対し、これだけ精密な印字を施している点は、プリント精度の高さを感じさせるディテールだ。

ロンジン レジェンドダイバー 59

グレイン仕上げのダイアルと、鮮明なプリントが高い視認性を実現している。ノンデイト仕様のシンメトリーなレイアウトも特徴だ。

 インデックスと針には、「ライト・オールドラジウム」カラーのスーパールミノバが採用されている。ブラックのダイアルにわずかに褐色がかった蓄光塗料を合わせることで、1959年のオリジナルを思わせるヴィンテージ感を強調している。もちろん、その役割は雰囲気づくりだけではない。暗所ではライトグリーンとブルーの2色に発光し、時刻とインナーベゼルの表示を判別しやすくしている。過去の意匠を再現しながら、現代のダイバーズウォッチに求められる視認性を確保する。ヘリテージと実用性を両立させるレジェンドダイバーらしいディテールと言えるだろう。

ロンジン レジェンドダイバー 59

「ライト・オールドラジウム」カラーのスーパールミノバがヴィンテージ感を創出する一方、ライトグリーンとブルーに発光することで、暗所でも時刻確認が可能という実用性も確保している。

スーツスタイルにもハマるスタイリッシュなデザイン

 レジェンドダイバーの魅力は、本格的なダイバーズウォッチでありながら、いかにもスポーツウォッチ然とした外観を持たないことにもある。その要素のひとつが、ケース内部に収められた回転式インナーベゼルだ。一般的なダイバーズウォッチに見られる大型のアウターベゼルを持たないため、ケース外周はすっきりとしている。そこに細身のラグとドーム型サファイアクリスタルを組み合わせることで、42mmというケース径から想像する以上にクラシカルな印象を作り出している。

 こうしたデザインは、レジャーだけではなく、ビジネスシーンにも合わせやすい。シャツやジャケットの袖口からのぞいても過度にスポーティーな印象を与えにくく、スーツスタイルにも違和感なく取り入れることができるだろう。

 さらにロンジン レジェンドダイバー 59では、ステンレススティール製のミラネーゼメッシュブレスレットが、そのクラシカルな外観をいっそう際立たせている。細かな金属メッシュがケースのレトロな造形と調和する一方、水に強い金属製であるため、ダイバーズウォッチとしての用途を損なうこともない。

ロンジン レジェンドダイバー 59

レジェンドダイバーを象徴する上品なケース。ケースバックにはこれまでのモデルと同様、ダイバーの姿が施されている。

 ブレスレットのバックルには、ダブルロック式のフォールディングバックルと微調整機構が搭載されている。気温や体調によって手首回りはわずかに変化するものだが、こうした際にもフィット感を調整しやすい。日常的に使ううえでは、大きなメリットと言えるだろう。

 加えて、本作にはトロピックスタイルのブラックラバーストラップと交換用工具も付属する。ミラネーゼメッシュでクラシカルに装うことも、ラバーストラップに交換してスポーティーに楽しむことも可能だ。オンオフを問わないレジェンドダイバーの汎用性を、ストラップの選択肢がさらに広げているのである。

ロンジン レジェンドダイバー 59 ラバーストラップ

ステンレススティール製のミラネーゼメッシュブレスレットのほか、トロピックスタイルのブラックラバーストラップも付属する。シーンに合わせて交換することが可能だ。

ブラッシュアップを重ねながら受け継がれる“伝説”

 2007年の復活以来、レジェンドダイバーは約20年にわたって少しずつブラッシュアップを重ねてきた。デイト表示の追加やムーブメントの刷新、ケースサイズや素材、ダイアルカラーの拡充。そして2023年には39mmケースへの小径化とISO 6425規格への準拠によって、その完成度を大きく高めた。興味深いのは、これだけの変化を重ねながらも、ひと目見ればレジェンドダイバーだと分かる姿を守り続けてきたことである。

 ふたつのリュウズ、回転式インナーベゼル、細身のラグ、アラビア数字を配した特徴的なダイアル。1959年のRef.7042が持っていたデザインコードは、現在も色褪せていない。だからこそロンジンは、大胆にデザインを変えるのではなく、その細部を磨き続けるという方法を選んできたのだろう。

 新作であるロンジン レジェンドダイバー 59も、その延長線上にある。オリジナルと同じ42mm径を採用し、グレイン仕上げのダイアルや精緻なプリント、ライト・オールドラジウムカラーのスーパールミノバ、ミラネーゼメッシュブレスレットによって、1959年のモデルが持っていた雰囲気を改めて掘り下げた。一方で、30気圧防水やISO 6425規格への準拠、クロノメーター認定を受けたCal.L888.6など、その性能は現代の実用時計として不足のないものだ。

 過去を忠実になぞるだけではなく、変えるべきところは変え、残すべきものは残す。その繰り返しによって、レジェンドダイバーは復刻時計という枠を越え、ロンジンを象徴するひとつのコレクションへと成長した。1959年に始まった“伝説”は、今も確かに息づいている。レジェンドダイバーは、これからもロンジンのアイコニックピースとして、長くその歴史を紡いでいくことだろう。

ロンジン レジェンドダイバー 59 BOX

モデル名が記されたプレート付きの専用ボックスに収められている。ロンジンらしい重厚感を感じさせるボックスだ。

Contact info:ロンジン Tel.03-6254-7350


ロンジン「ロンジン レジェンドダイバー 59」は、1959年の初代モデルを忠実に復刻したレトロダイバーズの決定版

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「ロンジン レジェンドダイバー」を着用レビュー。時計ジャーナリストが「理想形に達した」と称する理由とは?

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数多の傑作を生み出してきたロンジン、復刻モデルに受け継がれる伝統

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