オリエントスターが最先端技術で描くは“雲間の月”。新作「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」

2026.09.13

2026年、創設75周年の節目を迎えたオリエントスター。節目にふさわしい大作の数々が登場する中、静けさすら感じさせる意匠ながら、同ブランドの最先端技術が投入された快作と言うべき新作が「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」だ。まるで蒔絵や絵巻物を眺めているような気分にさせられる本作のディテールをひもといていく。

オリエントスター M45 F8

鶴岡智恵子(クロノス日本版):取材・文
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年9月13日公開記事]


金属ナノ粒子積層技術を使った文字盤

 1950年、オリエント時計の前身となる多摩計器が創業され、その翌年に「輝ける星」をイメージしたオリエントスターが発表された。つまり、2026年はオリエントスター誕生75周年の節目となる。この節目にふさわしい多彩な新作モデル、あるいは新コレクションがリリースされる中で、一見静けさを感じさせながらも、進化を続けてきたオリエントスターを体現するかのような新作モデルが存在する。「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」である。

オリエントスター M45 F8

オリエントスター「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」
手巻き(Cal.F8A62)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ11.9mm)。3気圧防水。限定100本(うち20本は公式オンラインストア、80本は替えストラップ付きで公式オンラインストアおよびプレステージショップにて販売)。46万2000円、替えストラップ付きは48万4000円(いずれも税込み)。2026年10月29日(木)発売予定。

 本作はオリエントスターがクラシックに位置付けている「M45」より打ち出されたモデルだ。ちなみにM45はおうし座の散開星団であるプレヤデス星団を指し、和名は「すばる(昴)」として知られている。M45は秋から春先にかけては、星の集まりを肉眼でも観測でき、そんなM45が浮かぶ空を彷彿させるかのように、ムーンフェイズ搭載モデルがラインナップされている。

 新作モデルもまた、ムーンフェイズを搭載し、12時位置にはオリエントスターではおなじみのパワーリザーブインジケーターが配され、あとは時分針のみという、写真をぱっと見ただけでは控えめな刷新に思われるかもしれない。しかし実機の文字盤をぜひ見てほしい。同ブランドが「独自技術を生かし時計表現の新たな可能性を探求することは、オリエントスターにとって永遠のテーマ」と標榜するように、これまでにない意匠の文字盤となっているのだ。

 まず目を引くのは、文字盤の黒地の大きいスペースにランダムにあしらわれた、キラキラと輝くパターン。このパターンに当てる光の角度を変えることで、輝きの場所が移ろい、ムーンフェイズの月が、たなびく雲の間から見え隠れしているような、同ブランドがこの文字盤で表現した、まさに“雲間の月”をイメージさせられる意匠となっているのだ。

月は雲に隠れていても、その光をぼんやりながら雲を通して我々の目に届けている。そんなふとした現象を巧みに切り取ったこの文字盤にはうっとりさせられるに違いない。

 本作の文字盤の製造は「信州 時の匠工房」で手掛けられており、巧みな表現は金属ナノ粒子積層技術によるものである。

 金属ナノ粒子技術は特許取得済みのプリント技術だ。30nmという超微細な金属ナノ粒子が文字盤に複数回重ねてプリントされており、この積層構造が発色の強弱と濃淡を表現するという。また、見る角度によってこのプリントから発せられる反射光が変化することで、きらめきが移ろうかのように感じられる。さらに、その上からクリア塗装層(ラッピング加工)が施されることで、夜空の深い奥行きが強調されるとともに、インクの変色を防ぐことができる。

金属ナノ粒子積層技術の図解。反射光の変化で“移ろい”が生まれていることが分かる。

 この技術は昨年、「コンテンポラリーコレクション M34 F8 デイト」Ref.RK-BX0007Bの文字盤で、初めてお披露目された。RK-BX0007Bはペルセウス流星群が表現されており、そのダイナミックな星の流れや輝きもやはり見事なものであった。今年の新作時計も同様の技術と聞いて納得する一方で、RK-BX0007Bとはまた違った輝き方、移ろい方を備えているところに、プリント技術の懐の深さを感じる思いであったことも記しておきたい。

オリエントスター「M34 F8 デイト」

2025年にリリースされた「コンテンポラリーコレクション M34 F8 デイト」Ref.RK-BX0007B。自動巻き(Cal.F8N64)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。限定80本。

 複数回の重ね印刷で立体感と陰影を形成したローマ数字インデックスや、ポリッシュとヘアラインの仕上げがコンビネーションされたリーフ針と相まって、ひとつの蒔絵や絵巻物といった、作品を鑑賞している気分にさせられた。


ムーブメントも最新の手巻きCal.F8A62

オリエントスター M45 F8

シースルーバックからはCal.F8A62を観賞することができる。手巻きであるがゆえにローターを持たず、ブルーのシリコン製ガンギ車がのぞくように工夫されたブリッジ形状や、星の軌跡をイメージした波目模様、三日月形の切り欠きに注目だ。

 搭載される手巻きムーブメントCal.F8A62も、最新技術が投入されている。Cal.F8A62は2025年、「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」Ref.RK-BW0001Sとともにリリースされた、「高級ムーンフェイズのためのムーブメント」と言える。従来は一体型であったムーンフェイズを、ディスク、マザー・オブ・パール製の月、月齢車の3層構造にすることで、精緻な表現を実現。12時位置のパワーリザーブに代表されるオリエントスターらしさをまといながらも、エレガントでクラシカルな高級ムーンフェイズとして完成されていた。

 新作時計にもこのCal.F8A62が搭載されている。また、RK-BW0001S同様、文字盤と針のクリアランスが詰められ、かつ文字盤の見返しの高さが抑えられている点でも、エレガンスやクラシックさを有するデザインに仕上げられている。なお、本作は文字盤とムーンフェイズ表示との間に境界が与えられておらず、月が夜空の雲に自然に溶け込んでいるような情景がイメージされている。

 クラシカルな要素を持つ一方、性能は現代的だ。自社開発のシリコン製ガンギ車が組み込まれたムーブメントはJIS1種(4800A/m以上)の耐磁性能、そして約70時間のパワーリザーブを有している。美観のみならず、腕時計としての性能も同時に追求していく姿勢に、75年を歩み続けてきたオリエントスターの理念が現れている。


腕を磨き続けるオリエントスター

 オリエントスターが誕生75周年の節目に発表した、「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ ハンドワインディング」を紹介した。

 金属ナノ粒子積層技術、そして新型ムーンフェイズ搭載ムーブメントを備えた本作は、技術研鑽が重ねられて結実した75周年を祝うにふさわしい1本と言える。そして、この絵画のような文字盤を打ち出したオリエントスターが今後、どのような技術を使ってどんな文字盤表現を可能にしていくのか? これからの展開も楽しみにさせてくれる新作時計であると言える。


Contact info: オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380


オリエントスター 盤面に降り注ぐ流星「コンテンポラリーコレクション M34 F8 デイト Ref.RK-BX0007B」

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