2026年8月、パテック フィリップの新作お披露目会に参加した。こうした時計の新作展示会に参加するのは数年ぶり、かつ『クロノス日本版』編集部の所属となってからは初。せっかくなので2カ月遅れだがレポートしていこうと思う。
Photographs & Text by Kaya Nabata(Chronos-Japan)
[2026年10月14日公開記事]
パテック フィリップの新作お披露目会
2026年8月19日(水)、『クロノス日本版』編集部一同はパテック フィリップ ジャパン本社で開催される新作お披露目会に向かった。エレベーターを降り扉を開けると、パテック フィリップのオフィスがすっかりお披露目会仕様になっていた。バーカウンターにはドリンクが、奥のテーブルにはフィンガーフードやミニサイズのスイーツが並べられ、サーブしてくれるウェイターさんまでいる。せっかくなのでシャンパン……といきたいところだが、私はお酒があまり飲めないのでブルーグレーのモクテルをいただく。これが非常に爽やかでおいしい! 私のような下戸にとって、ノンアルコールのドリンクが用意されているのはありがたい限りだ。

さっそくウェイターさんがフィンガーフードを持ってきてくれたので、ひとついただく。どうやら他のゲストたちが新作時計に夢中でフードやデザートは余りがちらしく、次から次へとウェイターさんがサーブしてくる。お腹が空いていたら全種類食べたいと思うくらいどれもおいしそうだったが、あいにくそこまで空いていなかったのでいくつかいただいたあとは丁重に断った。


ドリンクを飲みきったら、本題となる時計たちを見るべく人だかりができている大きなテーブルへ。パテック フィリップの2026年新作はwebChronos記事の公開作業で散々触れてはいたものの、実物を見るのは初めて。新作すべてがテーブルに並んでいたわけではなかったが、主要なモデルはこのお披露目会で見ることができた。
展示されていたすべてのモデルに触れると長くなってしまうので、その顔触れについては読者の皆様にwebChronosの記事を読んでいただくとして、私が気になったモデルをいくつか紹介していきたい。また新作ではないモデルも複数展示されており、個人的に感動したモデルがあったのであとで紹介しよう。
「セレスティアル・日昇・日没時刻 6105」

自動巻き(Cal. 240 C LU CL LCSO)。51石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWGケース(直径47mm、厚さ12.39mm)。3気圧防水。7123万円(税込み)。
天文時計好きな私に刺さったのが「セレスティアル・日昇・日没時刻 6105」だ。日の出・日の入りの時刻表示を特徴とするこのモデル、機構だけでなく文字盤も一見の価値ありだ。ムーンフェイズが配されたブラックのダイアルに重ねられたサファイアクリスタル製ディスクは、裏側に天の川、表側に星々が描かれており、ディスクの厚み分“ズレる”ことによって奥行き感が生み出されている。
星々は五芒星の形で描かれているものもあれば、点で描かれているものもあり、その緻密さはただ眺めているだけでも楽しい。下の写真を拡大してもらうと分かると思うが、個人的には小さな小さな五芒星が散らばっているのがかわいくてたまらない。お値段のことはさておき、私が手首回りの大きい男性だったらこの時計を着けて気が済むまで眺めていたいと思うくらい、この文字盤は非常に気に入った。

「CUBITUS 5840P」

自動巻き(Cal. 28-28 Q SQU)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。Ptケース(直径45mm(10-4時位置)、厚さ10mm)。3気圧防水。3053万円(税込み)。
お披露目会で拝見したなかで一番心に残った時計が「CUBITUS 5840P」だ。CUBITUSコレクション初のグランド・コンプリケーションである本作、写真で見たことはあったが実物を見るのはもちろん初めて。機構についてはあまり詳しくない私だが、実物を見ることでこの時計の“すごさ”を感じることができた。
特に感動したのが文字盤のオープンワークだ。下の写真のように持ち上げると、文字盤から向こう側の景色が透けて見える。実はブランドの方にいろいろと説明していただきながら見たのだが、その方が「こうやって見るとよく分かりますよ」と持ち上げてくださった時、一緒に説明を聞いていた人たちからも「お〜!」という声が上がった。インダイアルや針、インデックス、そしてムーブメントがまるで宙に浮いているかのように見えたのだ。

ケースバックから見えるCal. 28-28 Q SQUについても触れておこう。写真を見てもらえば分かるが、全体の色味がシルバーカラーとブルーに統一されている。これはプラチナ製のケースとブルー・ソレイユ文字盤に合わせたものだそうだ。ロジウムメッキや青焼きのネジ、ブルーのニスで仕上げられたカラトラバ十字と、徹底してシルバーカラーとブルーにそろえられている。極め付きは穴石だ。通常のムーブメントではルビーが使われることが多いが、このムーブメントでは色の統一のために透明なサファイアが採用されている。機構もさることながら、細部まで手が込んだムーブメントなのだ。

番外編!「ゴールデン・エリプス 5738/1」

自動巻き(Cal.240)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(縦39.5×横34.5mm、厚さ5.9mm)。3気圧防水。1107万円(税込み)。
2026年の新作ではないのだが、個人的に感動したのが「ゴールデン・エリプス 5738/1」だ。もし可能であれば、一度手首に載せてみてほしい。このミラネーゼ風ブレスレットは、とんでもなく気持ちいいのだ。手首に載せた瞬間、まるでサテンのリボンかのように柔らかく手首に沿う。18Kローズゴールド製なので重さはそこそこあるのだが、逆にその重さが心地よいと感じるくらい、手首にぴったりと密着する。
私自身そこまでたくさんの時計を見てきたわけではないが、このブレスレットの触り心地、装着感の良さは抜きん出ていると思う。しかもそれでいて、カットすることなしにサイズ調整できるというのだから驚きだ。このミラネーゼ風ブレスレットを女性用のネックレスやブレスレットにしたら、さぞかし着け心地がいいだろう。買えるかどうかは置いておいて、もしそんなプロダクトがあったらぜひとも手に入れたい。



