最新作「TENET テネット」の映画監督クリストファー・ノーランの選ぶ腕時計は?

LIFEセレブウォッチ・ハンティング
2020.09.18

一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は映画監督クリストファー・ノーランが選ぶ腕時計にフォーカスしよう!

クリストファー・ノーラン

クリストファー・ノーラン

Photograph by Shutterstock/Aflo

 1970年、英国・ロンドン生まれのクリストファー・ノーラン。「バットマン」シリーズをはじめ、「インセプション」「インターステラー」などヒット作を次々と生み出し、今ハリウッドで最も期待されている映画監督のひとりだ。ノーランの作品の多くには「時間」という共通したテーマが潜んでいる。突き抜けた作家性も持ち合わせた彼が描く、時間軸の複雑に入り組んだ世界観に中毒性を覚える人も多いだろう。彼はデジタル撮影が世界的に行き渡った現代においてフィルム撮影を愛することでも知られる。そのギャップが作品の独特な風合いを作り出しているのかもしれない。

 そんなアナログ志向のノーランはどんな腕時計を着けているのだろうか? 2018年に米カリフォルニアで行われたサンタバーバラ国際映画祭において、「ダンケルク」でディレクター・オブ・ザ・イヤーを受賞した時に着けていた腕時計を見てみよう。黒い文字盤に、アールデコ調の反転ケースを特徴とする角型腕時計。これはジャガー・ルクルトの「グランドレベルソ・ウルトラスリム・トリビュート・トゥ1931」だ。


ジャガー・ルクルト「グランドレベルソ・ウルトラスリム・トリビュート・トゥ1931」

グランドレベルソ・ウルトラスリム・トリビュート・トゥ1931

Ref.Q2788570。手巻き(Cal.822)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦46.8×横27.4mm、厚さ7.23mm)。アリゲーターストラップ。30m防水。2012年発表。完売(販売時の税別価格82万円)。

 1931年に誕生したジャガー・ルクルトのアイコニックウォッチ「レベルソ」の、ファーストモデルのデザインをよみがえらせた「グランドレベルソ・ウルトラスリム・トリビュート・トゥ1931」。ムーブメントには古典的な輪列構造を持つ手巻き式の角型キャリバー822を搭載する。見た目も中身もクラシック感たっぷりのトリビュートモデルだ。

 実はこの時計には世界限定10本のみの限定仕様が存在した。裏蓋にコウモリの姿を忍ばせた、映画「バットマン ダークナイト ライジング」との非売品コラボレーションモデルだ。通常モデルが発表された2012年はノーランが監督した同作の公開年である。おそらくノーランが着用するのは、限定10本のうちの1本だろう。「バットマン」にレベルソを初めて登場させたのはノーランの計らいではないが、ノーランがこの時計を気に入っていることは、最近でも着用する姿が頻繁に確認されていることからもうかがえる。

「バットマン」とジャガー・ルクルトのコラボは、ノーランが指揮を執る以前の1995年「バットマン フォーエヴァー」からすでに存在していたようだ。バットマンにレベルソが採用されてきたのは、大富豪である主人公のブルース・ウェインが、黒衣のヒーロー・バットマンに扮して悪と戦う二面性を象徴するのに適していたためだろう。小道具など細部まで凝った映画であったことが腕時計のセレクトにも表れているようだ。

 なおクリストファー・ノーランの3部作「ダークナイト トリロジー」では、クリスチャン・ベール演じるブルース・ウェインも18Kゴールドケースのレベルソを着用した。


ジャガー・ルクルト「レベルソ・グランドデイト」

レベルソ・グランドデイト

5時位置にスモールセコンド、7時位置にビッグデイト、10時から11時位置には、約8日間のパワーリザーブインジケーターを搭載。裏蓋はサファイアクリスタルケースバック仕様。Ref.Q3001420。手巻き(Cal.875)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。18KYGケース(縦46.5×横29.25mm、厚さ12mm)。30m防水。アリゲーターストラップ。完売(販売時の税別価格237万6000円)。2003年発表。


「インターステラー」に続き、最新作「テネット」でもハミルトンとコラボ

「バットマン」での監督経験は、ノーランへ「映画と腕時計のマッチング」の視点を与えた、もしくは思考を深めさせたのではなかろうか。ノーランは自身の2作目、2000年の「メメント」で時系列が逆再生される様子を描いた。その後のノーラン作品でも「時間」は重要な要素とされてきた。時間を可視化する時計にも気持ちを注いできたであろう。

 アメリカの近未来を描いた2014年のSF映画「インターステラー」では、遠く離れた次元の違う宇宙にいる父親が、地球にいる娘マーフに腕時計の秒針を使ってモールス信号を送る。この重要な役割を果たす腕時計がアメリカ発祥のブランド、ハミルトンによって作られた。定番モデルの「カーキ パイロット デイデイト」、そして「マーフウォッチ」ことコラボウォッチ「カーキ フィールド マーフ オート」の2本だ。

 そして本日9月18日より、ノーランの最新作「TENET テネット」の日本上映が始まる。映画公式サイトによるストーリー説明は、次の通りだ。

「主人公のミッションは、人類がずっと信じ続けてきた、〈時間のルール〉から脱出すること」

 “時間の逆行”がテーマの本作において、ノーランは再びハミルトンとのコラボレーションを実現させている。選ばれたモデルは、1000m防水を備えたダイバーズウォッチの「カーキ ネイビー ビロウ ゼロ」だ。劇場へ足を運ぶ際には、ぜひ腕時計もチェックしてほしい。

カーキ ネイビー ビロウ ゼロ

「カーキ ネイビー ビロウ ゼロ」。自動巻き(Cal.H-10/ETA 2824-2ベース)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。チタンケース(直径46mm、厚さ15.70mm)。100気圧防水。ラバーストラップ。22万8000円(税別)。秒針の先端とスペシャルボックスが赤色のRef.H78505331と、青色のRef.H78505332の2モデル展開があり、いずれも世界限定888本。※ハミルトンでは2020年9月30日まで「ISHIDA WATCH GALLERIA 東京ミッドタウン日比谷店」で、10月5日から17日まで「ハミルトンブティック 東京 キャットストリート」で、「『TENET テネット』劇中登場モデル特別展示」を実施中。テネットのコラボモデルに加え、「インターステラー」の撮影で実際に使用された腕時計を展示する。

 時計好きの映画好きには、ノーランが「007」シリーズのファンであり、「インセプション」のインタビューで「いつかボンド映画を監督したい」と発言していたことも気になるところだろう。ノーラン仕様の「ジェームズ・ボンド モデル」にお目にかかれる日も、もしかしたら遠くはない?

高井智世

2020年9月18日掲載記事


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