アニメ映画界の巨匠、スタジオジブリの宮崎駿監督が愛用する腕時計は?

LIFEセレブウォッチ・ハンティング
2020.08.28

一流のセレブたちは一体どんな腕時計を選ぶのか? 世界のセレブたちのワンシーンを切り取り紹介する連載コラム「セレブウォッチ・ハンティング」。今回はアニメ映画界の巨匠、スタジオジブリの宮崎駿が着用する腕時計のほか、宮崎駿がデザインした巨大からくり時計について紹介しよう!

宮崎駿

宮崎駿

Photograph by Kyodo News Stills via Getty Images

 日本を代表するアニメ映画界の巨匠、宮崎駿。1978年、37歳の時に放送されたNHK初の全編オリジナル国産アニメ「未来少年コナン」を手掛けたのち、翌79年の「ルパン三世 カリオストロの城」でアニメ映画監督デビューを果たす。以降、「風の谷のナウシカ」(1984年)、「天空の城ラピュタ」(1986年)、「となりのトトロ」(1988年)、「魔女の宅急便」(1989年)、「紅の豚」(1992年)といった名作を次々と生み出してきた。「もののけ姫」(1997年)では当時の日本映画の歴代興行収入第1位を記録し、その後も「千と千尋の神隠し」(2001年)でさらに記録を塗り替えるなど、アニメ映画界の一時代を築いてきた人物だ。

 さらに、その人気と評価は世界へ及ぶ。海外での受賞歴は、数え出すと両手足の指で収まらない。その功績のひとつを映す腕時計が、今回紹介する1本だ。

 東京都小金井市のスタジオジブリ近隣にあるアトリエ前で笑顔を見せる宮崎駿の姿を捉えた写真がある。2013年の「風立ちぬ」公開を目前に控えた、新緑の美しい季節のものだ。作業姿を思わせるエプロンを着けたその左手首には、大きな角型の腕時計が写っている。これは、ジャガー・ルクルトの「ビッグ・レベルソ」だろう。

ビッグ・レベルソ

 世界的な映画祭のひとつ、ヴェネチア国際映画祭。この映画祭を15年にわたってサポートしている時計メーカーが、ジャガー・ルクルトである。パートナーシップの開始年は2005年。同年、宮崎駿は映画界への多大な貢献がたたえられ、同映画祭の「栄誉金獅子賞」が授与されている。それを祝ってジャガー・ルクルトが宮崎へ贈ったのが、この腕時計なのだ。

 スイスのジュラ山脈南端に位置するジュウ渓谷で1833年に創業した伝統ある時計メーカー、ジャガー・ルクルト。工場には現在、180種ほどの技術を有した職人たちが技を寄せ合い時計製造を行っている。言わずと知れた代表作が、1931年に誕生した「レベルソ」だ。黄金比を用いた、アールデコ調の反転ケースを特徴とする角型腕時計である。宮崎駿が手にしたのは、クラシックモデルよりも一回り大きく、スモールセコンドを備える「ビッグ・レベルソ」だ。


ジャガー・ルクルト 「ビッグ・レベルソ」

ビッグ・レベルソ

レベルソのクラシックモデルより一回り大きな「ビッグ・レベルソ」。手巻き式、6時位置のスモールセコンド表示を基本形とする。Ref.Q270.14.10。手巻き(Cal.822)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約45時間。18Kイエローゴールド(縦42.2mm×横26mm)。アリゲーターストラップ。30m防水。2004年発表。生産終了。

 搭載されるムーブメントは、手巻き式の角型キャリバー822。厚さは2.94mmと薄型で、古典的な輪列構造を持つものだ。秒針を駆動する4番車を6時位置に、そしてテンプと香箱車を中心の2番車を挟んでやや対角上に配す設計である。キャリバー822は名機と誉れ高いものであり、その理由のひとつが汎用性に優れた設計にある。ジャガー・ルクルト以外の重要な高級機にも多く転用されてきたのがその証左だ。例えばA.ランゲ&ゾーネは、キャリバー822に輪列を追加してスモールセコンドの位置を大きくずらすことで、ブランド復興第1号コレクションのひとつとなる初代「ランゲ1」を完成させた。

 自社の歴史を語る上でも重要なアイコニックモデルを、ジャガー・ルクルトは宮崎駿へ贈ったわけである。以降、宮崎がこのモデルを着用する姿は頻繁に見られている。作業の邪魔になりにくい薄型のケースや、シンプルな表示で読み取りやすい文字盤のデザインなど、使いやすさも好まれたことだろう。

宮崎駿 レベルソ

レベルソの名称は、ラテン語で「反転する」を意味する。レベルソの特徴である反転ケースは、激しい衝突が想定されるスポーツ「ポロ」の試合中でも着けられるように、時計の風防を保護するために考案されたものだ。第62回ヴェネチア国際映画祭の栄誉金獅子賞受賞を祝い、ジャガー・ルクルトはケースの背面に映画祭のシンボルをあしらったビッグ・レベルソを宮崎駿へ贈った。

宮崎駿デザインの「日テレ大時計」

 宮崎駿はレベルソを手にしたちょうどその頃、映画の他に手掛けていたデザインがある。東京都港区の日本テレビタワー壁面にある、巨大なからくり時計だ。外形寸法は高さ約12m、幅約18m、奥行き約3mで、面積は畳約332枚ほどに及ぶ大きさである。これは日本テレビが新社屋を建設するにあたり、スタジオジブリへと設計を依頼したものだ。2006年の完成までに、足かけ6年を費やして制作された(施工したのは、からくり時計を得意とする乃村工藝社である)。宮崎は合計1228枚の銅版を1枚1枚叩いて造形するデザインを描き、「機械だけど、どこかで生き物」というコンセプトの大時計を創り出した。宮崎の作品では時に機械や道具にも命が与えられたように描かれる。それを思わせるような不思議な造形だ。また、この構想時期はちょうど「ハウルの動く城」(2004年)の制作期間とも重なるためか、その鱗片をのぞかせるところもある。毎日決まった時間に動き出すからくり人形たちは、中央に文字盤を挟み、右側に「鍛冶屋一族」、左側に「鐘つき一族」という設定だ。見る者をあっという間にスタジオジブリの世界へと誘う様は圧巻である。

宮崎駿デザインの日テレ大時計

東京都港区の日本テレビタワー壁面にある、宮崎駿デザインの「日テレ大時計」。毎日数回、1回につき3分ほどからくり時計が上演される。曲は、きだ しゅんすけ作曲の『汐留にまいおりた』。

高井智世


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