ハイテクセラミックスの先駆者 ラドーの系譜

FEATURE本誌記事
2017.03.09

1986
インテグラル

ラドーが初めてハイテクセラミックスを腕時計に採用したモデル。ヴィッカース硬さ1200以上の硬度を誇るハイテクセラミックスは、硬いだけでなく、軽量で耐傷性と耐アレルギー性を備えた画期的な素材であった。ラドーがハイテクセラミックスの加工技術を開発したために実現した。

1990
セラミカ

完全にブラックハイテクセラミックスで製造された初のモデル。ケースとブレスレットは一体化され、ユニークなバングルデザインを形作る。数々の栄誉あるデザイン賞を受賞したラドーのデザインアイコンのひとつ。


 1957年、ラドーの名で初のコレクションを発表した同社は、時計ブランドとしては、比較的若いメーカーと言っていいだろう。だが、ラドーはすぐさま、めきめきと頭角を現し、これまでに数々のマイルストーンと言えるモデルを世に送り出してきた。その中でも、ラドーの名を世に知らしめたのが、1962年発表のハードメタルを採用した世界初のスクラッチレジスタントウォッチ「ダイヤスター1」だ。この時計は後継機を含め、現在に至るまで400万個以上も販売されたラドーのベストセラーにして最も知られたアイコンウォッチである。加えて、ブランド創設者のポール・ルーテー博士が追求した「傷の付かない、永遠に美しい時計」というラドーの根幹と言えるコンセプトを確立したモデルでもある。この時から、ラドーの素材探究は始まったのだ。では、なぜラドーはセラミックスに着目したのだろうか?

ラドーの前身は1917年創業のシュラップ・アンド・カンパニー。ムーブメント供給会社であったが、ポール・ルーテー博士が経営に参画して以降、時計の製造に乗り出す。1957年、ラドー銘で初のコレクションを発表。社名も「Rado Uhren AG」に変更された。スイス・レングナウの本社には“Challenging the future”とブランド設立当初の精神が掲げられる。