松任谷由実 、実は結構な時計好き!? オメガのビンテージを着用か?

世代を越えて愛される名曲を生み出し続けている“ユーミン”こと松任谷由実。おそらく名前を聞いただけで、ポップなメロディーラインが頭に浮かぶ人も多いのではないだろうか。1971年の作曲家デビューから現在も精力的に活動を継続し、今冬、第45回目となる苗場コンサートをしっかりと乗り切ったユーミン。71歳となった現在も、音楽シーンの最前線で活躍する姿に頭が下がる。

松任谷由美

2012年12月9日にスパイラルホールで開催されたトークイベントに登壇した松任谷由実。宮崎駿監督作品「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」ブルーレイ発売記念のイベントだ。「魔女の宅急便」をきっかけに宮崎作品とユーミンの間には絆ができていくが、宮崎駿は元々ユーミンの音楽の大ファンだったという。
写真:東京スポーツ
沼本有佳子:文
Text by Yukaco Numamoto
土田貴史:編集
Edited by Takashi Tsuchida
[2025年5月25日掲載記事]

国民的歌手、松任谷由実の軌跡

 呉服屋の次女(3人きょうだいの末っ子)として生まれた松任谷由実(荒井由実)は、幼少期から音楽に触れる環境があった。6歳からピアノ、11歳から三味線、14歳からベースを始め、その後、立教女学院高校に進学した際は、校内にあったパイプオルガンやブリティッシュポップのプロコル・ハルムに強い影響を受けたと語る。

 高校3年生の時に制作したデモテープが採用され、加橋かつみに「愛は突然に…」を提供し、17歳で作曲家デビュー。そして大学に入学して間もない7月に、かまやつひろしがプロデュースしたシングル「返事はいらない」で、荒井由実として歌手デビューしている。

 家業の影響からか、大学は多摩美術大学を選び、染色を専攻した。音楽に留まらず、総合的な芸術的感性が高いと評されるのも、そうしたバックグラウンドが関係するのだろう。

「結婚したら引退?」のはずが、名曲を連発した新婚時代

 1973年にはファーストアルバム「ひこうき雲」を発売したが、発売当初はあまり話題になることはなかったそうだ。しかしバンバンへ提供した「『いちご白書』をもう一度」や、TBS系ドラマの主題歌となった「あの日に帰りたい」をきっかけにファーストアルバムが注目され、売り上げも上昇していった。

 1976年に松任谷正隆と結婚後は、松任谷由実として音楽活動を継続。この時、結婚を機に歌手活動を辞めて曲作りに専念したいと考えていたと、本人が後のインタビューで語っている。しかし、この時期に「埠頭を渡る風」「DESTINY」「恋人がサンタクロース」など、現在も多くの人に愛される曲が作られている。

 情景が浮かぶような歌詞が耳馴染みのいいメロディーラインと共に、聴いた人の思い出にそっと寄り添う。ユーミンの楽曲は恋愛シーンや青春の1ページのBGMとしていつまでも心に残る存在だ。

コンサートは“恩返し”。象も竜も登場する驚愕のステージ演出

 そして、1979年以降はコンサートが大規模化していく。

 本物の象を登場させた「OLIVE」、マジックを取り入れた「MAGICAL PUMPKIN」、エレベーターを設置した「BROWN’S HOTEL」、噴水ショー「SURF & SNOW」、30メートルの竜に乗った「水の中のASIAへ」など、観客を圧倒するスペクタクルな仕掛けが満載である。凝った演出をするのは「レコードで儲けた分、コンサートで夢と一緒にファンの方にお返しするのが役目」と語る。

 ユーミンの優しさやサービス精神は、他アーティストへの楽曲提供にも表れている。松田聖子の「赤いスイートピー」も松任谷由実の作曲であるが、引き受ける際の条件はペンネーム「呉田軽穂」(くれたかるほ。往年のハリウッド俳優グレタ・ガルボのもじり)を使うことだった。このエピソードには、無名作曲家として、歌い手の裏方に回ろうという心遣いが感じられる。

 そして松田聖子との関係は現在も続いている。今年デビュー45周年を迎えた彼女に、ジャズのスタンダードナンバー「Stardust」の日本語訳を提供したのだ。その音楽配信は2025年5月14日から始まったばかりだ。

時計愛好家夫妻の証。夫に贈った高級腕時計と、自身も愛用するビンテージ

 感謝の気持ちを伝えるという点では、夫でありアレンジャーである松任谷正隆に高級腕時計をこれまでプレゼントしてきたというから、ユーミンは相当な時計好きではないだろうか。ブレゲをはじめ、ロレックスのコスモグラフなどが、ユーミンから贈られたという。そのほか、アラン・シルベスタインやグランドセイコーも所有する松任谷正隆・由実は、間違いなく時計愛好家夫妻だと確信した。

2024年11月25日のインスタグラムの投稿に登場するユーミンの動画では、ラグやインデックスの形状からビンテージのオメガ「コンステレーション」と推測される腕時計を着用。ブラウン系で統一したコーディネートが印象的だ。

 ストラップはダークブラウンのクロコダイルで、ケースと尾錠はイエローゴールド。前述の松任谷正隆に贈った時計のラインナップと合わせて考えると、ユーミンは小振りの女性用モデルよりも、しっかりとした存在感のある時計を好む傾向があるようだ。

 時計という「時を刻むもの」への愛着は、ユーミンの音楽に対する姿勢とも重なる。ハンドクリームを最後まで使い切るように、ひとつひとつの楽曲を大切に作り、コンサートでは「レコードで儲けた分をファンに還元する」という信念を貫く。高級時計も、成功の象徴としてではなく、夫への感謝の証として、そして自身のファッションの一部として楽しむ。モノも音楽も人との関係も、すべてを大切に育み続ける――それがユーミンの生き方なのだろう。

 苗場でのライブも少なくとも第50回を目指して続けていきたいと宣言したユーミン。このほか、ツアーなども新たに企画しているという。ビンテージの時計が年月を経て味わいを増すように、71歳となった今もなお進化し続けるユーミンのますますの活躍に期待したい。


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