クォーツに永久カレンダーを搭載。オメガ「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」を振り返る

FEATUREWatchTime
2025.10.17

1990年代を代表する存在、オメガ「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」を振り返る。パーペチュアルカレンダー、独特の一体型デザイン、そしてスティールとゴールドの融合。数十年を経た今も、スタイリッシュで機能的なタイムピースであり続けている。

コンステレーション パーペチュアルカレンダー

Originally published on watchtime.com
Text by Martin Green
[2025年10月17日掲載記事]

オメガが捉えた90年代のエレガンス

 オメガは「コンステレーション」コレクションを通じて、常にファッションの潮流を的確に捉えてきたブランドだ。このシリーズのデザインは数十年にわたり進化を遂げ、ブランドの中でもよりエレガントな側面を体現してきた。1990年代から2000年代初頭にかけて主流となったバージョンは、過去世代のスタイル要素を洗練された形で融合しつつ、よりカジュアルでシックな表現として提示されたものであり、まさに当時の時代の感性や趣味にぴたりと合致していた。

コンステレーション パーペチュアルカレンダー

(左)オメガ「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」Ref.1552.30.00
クォーツ(Cal.1680/ベースETA 252.511)。SSケース(直径35.5mm、厚さ約9.0mm)。5気圧防水。
(右)オメガ「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」Ref.1252.30.00
クォーツ(Cal.1680。11石。SS×18KYGケース(直径35.5mm、厚さ約9.0mm)。5気圧防水。

Cal.1680。クォーツ駆動で実現した「永久カレンダー」

 当時注目すべきモデルのひとつが「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」である。この時計にはクォーツ式のCal.1680が搭載されていたが、これはETAのCal.252.511に対するオメガ社内での呼称である。このムーブメントは11石を使用し、温度補正機能を備えた高品質かつ高精度のクォーツ駆動ムーブメントであり、いくつかの便利な追加機能を備えていた。

 まず第一に挙げられるのがパーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)機能である。これはうるう年を含め、31日未満の月の日付調整を自動的に行うもので、2099年までプログラムされている。月や年を表示する専用窓は備えていないものの、それらを確認する方法が用意されている。方法は簡単で、リューズを約3秒間押し続けると、日付窓の数字が動いて月を示し、数秒後に再び動いてローマ数字で年を示す。たとえば「IV」が表示された場合、それはうるう年を意味している。

旅行者を意識した時針独立調整機能

 この「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」には、これ以外にも賢い機能が搭載されている。旅行者の利便性を考慮し、リュウズを最初の位置まで引き出すと、時針のみを独立して動かすことができるのだ。これにより、時計の精度を損なうことなく、別のタイムゾーンに合わせることができる。さらに、リューズを第二段階まで引くと秒針が停止し、通常どおりの時刻合わせが可能となる。

一体型デザインと“爪”が生む存在感

「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」は、クロノグラフを除けば当時のコンステレーション・コレクションの中で最も大型のモデルだった。直径35.5mmというサイズは現代の感覚ではやや小ぶりに聞こえるかもしれないが、着用時の印象は異なる。というのも、一体型ブレスレット構造を採用しているため、単純な寸法以上の存在感を放つのだ。

 特に目を引くのが、ブラックラッカーでローマ数字を埋め込んだベゼルと、それをつかむかのように配置された4つの爪(グリフ)である。これはコンステレーションの象徴的デザインだ。オメガはこのモデルをステンレススティール仕様、またはステンレススティールにイエローゴールドのベゼル、リュウズ、ブレスレットの駒を組み合わせた仕様の2種類で展開した。とりわけ後者のスタイルは1990年代を象徴するデザインであり、特にベゼルがヘアライン仕上げ(ブラッシュ仕上げ)であるため、コンステレーションのデザインにより強いコントラストを加えている。

繊細なダイヤル仕上げと快適な装着感

 当時のコンステレーション・コレクションの中でも、このパーペチュアルカレンダーはもっとも凝った文字盤を備えていた。微妙ながら異なる質感を交互に配置したダイヤルは、控えめながらも明確な表情を持ち、光の加減で美しい表情の変化を見せる。それがこのオメガを身につける喜びをさらに高めているのだ。

コンステレーション パーペチュアルカレンダー

ブレスレットにはオメガのロゴマークが配されていることが見て取れるだろうか。

 ブレスレットもまた魅力的である。デザイン的にケースと完璧に調和しているだけでなく、手首にぴたりと沿う構造が秀逸だ。微調整機構こそ備えていないが、オメガはサイズを正確に合わせられるよう小さなコマを用意していた。開閉部のコマにはプッシャーがあり、さらにそこにはオメガのロゴを刻んだゴールドインサートが埋め込まれている。この部分はフル・ステンレススティール仕様のモデルであっても、常に18Kイエローゴールド製であった。

コンステレーション パーペチュアルカレンダー

裏蓋にはコンステレーションらしく天文台のレリーフがあしらわれている。

“90年代らしさ”を最も体現したコンステレーション

 当時の10年間を超えて販売されていたとはいえ、1990年代の精神をこれほど的確に体現した時計はほかにない。特にステンレススティールとイエローゴールドを組み合わせた「コンステレーション パーペチュアルカレンダー」はその最たる例である。今日においても、この時計は機能性のみならずスタイルの面でも多くの魅力を備えている。これらの時計は美しく年を重ねており、当時ほど“流行の最先端”ではなくなったとしても、今なお強い存在感を放ち続けているのだ。


Contact info:オメガ Tel.0570-000087


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