1775年、フランス・パリのシテ島にあるケ・ド・ロルロージュに時計工房を設立したアブラアン-ルイ・ブレゲ。そこから250年の時を経た今年、ブレゲの卓越した技術力とデザイン性が光る、傑出したアニバーサリーモデルが多数リリースされている。本記事ではこの250周年モデルを、まとめて紹介する。

Text by Tsubasa Nojima
[2025年11月22日公開記事]
「クラシック スースクリプション 2025」Ref.2025BH/28/9W6
アブラアン-ルイ・ブレゲが手掛けた1本針の懐中時計に着想を得て誕生した、クラシックなドレスウォッチ。2025年ジュネーブウォッチグランプリ(GPHG)において、見事グランプリにあたる「金の針」賞を獲得したことでも記憶に新しい。オリジナルの懐中時計は、前払い予約制度による販売方式を採用しており、そのデザイン性だけではなく経営者としてのブレゲの才覚を象徴するモデルとしても知られている。
ホワイトのダイアルは、ドーム型のグラン・フー エナメル製。上品なブレゲ数字インデックスと青焼きの針が配されている。6時位置にはパンタグラフによって彫刻されたシークレットサインが潜む。
ケースは温かみのある色味が特徴の18Kブレゲゴールド製。ケースバックからは、オリジナルの懐中時計のムーブメントを想起させるような、特徴的なブリッジを備えた新開発の手巻きムーブメントを鑑賞することができる。

手巻き(Cal.VS00)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約96時間。18Kブレゲゴールドケース(直径40mm、厚さ10.8mm)。3気圧防水。757万9000円(税込み)。
「トラディション 7035」Ref.7035BH/H2/9V6
オフセットされたダイアルと、ムーブメントの構造をダイアル側から鑑賞できるようにしたデザインが特徴の「トラディション」。本作は、そのデザインコードをそのままに、グラン・フー エナメルダイアルと18Kブレゲゴールド製ケースを組み合わせたモデルである。
ダイアルに浮かび上がっているのは、ケ・ド・ロルロージュ模様のギヨシェ装飾。その上に半透明のブルーのグラン・フー エナメルダイアルを施すことで、煌びやかな表情に仕上げている。
ダイアル側から見えるムーブメントの地板やブリッジは、ケースと同じ18Kブレゲゴールド製。懐中時計を想起させる構造や、ブルースティールのスクリューと赤いルビーのコントラスト、パワーリザーブインジケーターなど、見所が満載だ。
シースルーバックからは、アブラアン-ルイ・ブレゲが発明した自動巻き懐中時計「ペルペチュエル」をモチーフとした自動巻きローターを楽しむことができる。

自動巻き(Cal.505SR)。38石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。18Kブレゲゴールドケース(直径38mm、厚さ12.6mm)。3気圧防水。世界限定250本。723万8000円(税込)。
「タイプXX クロノグラフ 2075」Ref.2075BH/99/398
直径約38mmのコンパクトな18Kブレゲゴールドケースを纏った、ツーカウンター仕様のパイロットクロノグラフ。アルミニウム製のブラックダイアルに、ヴィンテージ感を高めるクリーム色のアラビア数字インデックスを組み合わせている。3時位置には大型の15分積算計、9時位置にはスモールセコンドが並ぶ。
ツイストした細身のラグや背の低い大径のリュウズ、ポンプ型プッシャーなど、全体的にクラシカルなデザインに纏められていることも特徴だ。シースルーバックを採用しており、新規に開発された手巻き式フライバッククロノグラフムーブメントを鑑賞することができる。その受けには、職人の手作業によって施された、大西洋を横断する航空機「ブレゲXIX」のエングレービングが刻まれている。

手巻き(Cal.7279)。28石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約60時間。18Kブレゲゴールドケース(直径38.3mm、厚さ13.2mm)。5気圧防水。614万9000円(税込み)。
「タイプXX クロノグラフ 2075」Ref.2075BH/G9/398
世界限定250本で販売される、クラシカルなパイロットクロノグラフ。シルバー製のダイアルを採用しており、インダイアルやタキメーター、秒針のブルーとともに、爽やかなカラーリングを楽しむことができる。インデックスや12時位置のブランドロゴはアプライド仕様であり、無骨なパイロットクロノグラフに上品さを加えている。
直径約38mmのケースは、18Kブレゲゴールド製。12時間表示が刻まれたベゼルは、双方向に回転させることができる。ブルーのカーフレザーストラップにはグラデーションが施されており、ヴィンテージ感のある印象だ。
ムーブメントは、手巻き式のCal.7278。計測中に瞬時にリセットとリスタートを行うことができるフライバック機構を搭載したクロノグラフムーブメントだ。Ref.2075BH/99/398と同様、本作のムーブメントの受けにもエングレービングが施されており、その仕上げをサファイアクリスタル越しに鑑賞することができる。

手巻き(Cal.7278)。28石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約60時間。18Kブレゲゴールドケース(直径38.3mm、厚さ13.2mm)。5気圧防水。世界限定250本。640万2000円(税込み)。
「クラシック トゥールビヨン シデラル 7255」Ref.7255BH/2Y/9VU
6時位置の開口部に、まるで浮遊しているかのようなフライングトゥールビヨンが収まったミステリアスな新作。キャリッジの下方を支えるパーツに無反射加工を施したサファイアクリスタルを採用することで、この見た目を実現している。
ダイアルは、アベンチュリン装飾を施したグラン・フー エナメル製。エナメルの艶やかな質感に輝く粒子が加わることで、夜空のような幻想的なデザインに仕上げている。12時位置にはオフセットされた時刻表示用ダイアルが配され、3時位置と9時位置には、それぞれアプライドの“Tourbillon”の文字とブランドロゴが取り付けられている。
直径38mm、厚さ約10mmの上品なケースは、18Kブレゲゴールド製。シースルーバックを採用し、ムーブメントに施されたケ・ド・ロルロージュ模様のギヨシェ装飾やミステリアスなトゥールビヨンの動きを楽しむことができる。

手巻き(Cal.187M1)。23石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約50時間。18Kブレゲゴールドケース(直径38mm、厚さ10.2mm)。3気圧防水。世界限定50本。3196万6000円(税込み)。
「マリーン・オーラ・ムンディ 5555」Ref.5555BH/YS/9WV
1815年にフランス王国海軍時計師に任命されたアブラアン-ルイ・ブレゲ。その歴史に敬意を表して誕生したコレクションが、「マリーン」だ。本作の特徴は、8時位置のプッシュボタンを押下するだけで、予め設定しておいたタイムゾーン表示に切り替えることが可能なインスタント・ジャンプ・タイムゾーン表示を備えている点にある。時刻だけではなく、時位置の日付や4時位置のデイ&ナイト表示も同期して切り替わる。
ダイアルに描かれているのは、NASAの有名な写真である“ブラック・マーブル”をモチーフとした地球。経線と緯線のギヨシェ彫りと、ブルーで空と海のコントラストを付けたゴールド製のベースに、サファイアクリスタルを重ねた構造によって立体感を創出している。サファイアクリスタルの裏面に大陸、表面に雲のグラン・フー エナメルを施し、さらに発光エナメルによって街の明かりを表現している。

自動巻き(Cal.77F1)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18Kブレゲゴールド(直径43.9mm、厚さ13.8mm)。10気圧防水。世界限定50本。1480万6000円(税込み)。
「クラシック 7235」Ref.7235BH/02/9V6
1794年3月14日に著述家フランソワ・ジュルニャック・サン-メアールに販売された懐中時計、「No.5」に着想を得て誕生した世界限定250本の新作。ダイアルとケースに18Kブレゲゴールドを採用している。
ダイアル中央に施されているのは、創業250周年記念モデルを象徴するケ・ド・ロルロージュ模様のギヨシェ装飾。1時位置にムーンフェイズ、5時位置にスモールセコンド、11時位置にパワーリザーブインジケーターを配したアシンメトリーなレイアウトが特徴だ。ローマ数字インデックスや針は、ブルーで統一されている。
シンプルなラウンド型のケースだが、ラグとラグの間とケースサイドには、ケ・ド・ロルロージュ模様のギヨシェ装飾が施され、袖口に収まった状態でもその上品さを際立たせる。
シースルーバックから覗くのは、オフセットされた自動巻きローターを備えたCal.502.3.DRL。受けには、アブラアン-ルイ・ブレゲが工房を構えたケ・ド・ロルロージュ界隈の地図が彫金されている。

自動巻き(Cal.502.3.DRL)。37石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約45時間。18Kブレゲゴールドケース(直径39mm、厚さ9.9mm)。3気圧防水。世界限定250本。1094万5000円(税込み)。
「クラシック 7225」Ref.7225BH0H9V6
中央にアワーインデックス、外周にミニッツマーカーを配し、2時位置にスモールセコンド、6時位置にパワーリザーブインジケーター、10時位置に計測用のスモールセコンドが並んだ、ユニークなデザインのモデル。このデザインは、1802年から1809年にかけて製作されたトゥールビヨン搭載の懐中時計、「No.1176」から着想を得ている。
ダイアルの前面に施されているのは、ケ・ド・ロルロージュ模様のギヨシェ装飾。これによって、インダイアルの立体感がより強調されている。目盛りや針はブルーで統一され、視認性も十分だ。
ケースサイドには、スライド式のボタンが設けられている。これを押下することによって10時位置のスモールセコンドが瞬時にリセットとリスタートし、クロノグラフのように使用することができる。
シースルーバックから鑑賞可能なCal.74SCには、同社が特許を取得したマグネティック・ピボットが搭載され、毎秒20振動という高振動により、優れた精度を発揮する。また、独自の認証であるブレゲ・シールを取得しており、実用性・審美性ともに高い水準を誇る。

手巻き(Cal.74SC)。54石。7万2000振動/時。パワーリザーブ約60時間。18Kブレゲゴールドケース(直径41mm、厚さ10.7mm)。3気圧防水。1261万7000円(税込み)。
「レーヌ・ドゥ・ナープル 9935」
「クイーン・オブ・ネイプルズ」からの名称を変更によってスタートを切った、「レーヌ・ドゥ・ナープル」。その新作であるRef.9935は、6時側にオフセットした時刻表示用ダイアル、12時位置にマザー・オブ・パールの月をあしらったムーンフェイズを備えたモデルだ。
バリエーションは4種類存在する。ひとつはマザー・オブ・パールの上にアベンチュリンガラスを重ねた2層構造のダイアルに、ブルーのアリゲーターレザーストラップを組み合わせたモデル。ふたつ目はホワイトのマザー・オブ・パールダイアルにブルーのアリゲーターレザーストラップのモデル。3つ目は、ホワイトのマザー・オブ・パールダイアルと18Kブレゲゴールド製のブレスレットを組み合わせたモデル。4つ目は、ダイアル全面と18Kブレゲゴールド製ブレスレットの中央にダイヤモンドをスノーセッティングしたモデルだ。
いずれのモデルも、18Kブレゲゴールド製の優雅なオーバル型ケースを採用し、ベゼルとラグにはダイヤモンドがあしらわれている。機械式自動巻きムーブメンCal.537L2を搭載し、シースルーバックから鑑賞することが可能だ。

自動巻き(Cal.537L2)。28石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約45時間。18Kブレゲゴールドケース(縦36.5mm×横28.45mm)。3気圧防水。942万7000円(税込み)。

自動巻き(Cal.537L2)。28石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約45時間。18Kブレゲゴールドケース(縦36.5mm×横28.45mm)。3気圧防水。825万円(税込み)。

自動巻き(Cal.537L2)。28石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約45時間。18Kブレゲゴールドケース(縦36.5mm×横28.45mm)。3気圧防水。1261万7000円(税込み)。

自動巻き(Cal.537L2)。28石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約45時間。18Kブレゲゴールドケース(縦36.5mm×横28.45mm)。3気圧防水。2322万1000円(税込み)。
「レーヌ・ドゥ・ナープル 8925」
レーヌ・ドゥ・ナープルにラインナップしたシンプルな2針モデルが、Ref.8925である。6時位置にオフセットされたギヨシェ装飾のダイアル、12時位置にはペアシェイプダイヤモンドが配されている。
Ref.8925には、3種類のバリエーションが用意されている。ひとつがベージュカラーのサンバースト仕上げのダイアルを備えたモデル。ふたつ目がホワイトのマザー・オブ・パールダイアルのモデル。3つ目が粒子の煌めくアベンチュリン仕上げのブラックダイアルモデルだ。
3種ともベゼルとラグにダイヤモンドをセットした18Kブレゲゴールド製ケースを採用し、丸形のコマが連結されたアクセサリーのようなブレスレットが装着されている。リュウズが4時位置に配され、手首との干渉を防いでいることもポイントだ。
搭載するムーブメントは、機械式自動巻きのCal.586/1。シリコン製ヒゲゼンマイを採用し、優れた耐磁性を備えている。

自動巻き(Cal.586/1)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。18Kブレゲゴールドケース(縦33mm×横25mm)。3気圧防水。1178万1000円(税込み)。

自動巻き(Cal.586/1)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。18Kブレゲゴールドケース(縦33mm×横25mm)。3気圧防水。1178万1000円(税込み)。

自動巻き(Cal.586/1)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。18Kブレゲゴールドケース(縦33mm×横25mm)。3気圧防水。1228万7000円(税込み)。



