2026年に発表されたパネライの新作をまとめて紹介する。最注目は約31日間の超ロングパワーリザーブを実現した「ルミノール トレントゥーノジョルニ」PAM01631だ。また、手巻き時計にフォーカスした、オールドファン感涙のモデルが多く発表された。

Text by Tomoyo Takai
[2026年4月14日公開記事]
「ルミノール トレントゥーノジョルニ」PAM01631

手巻き(Cal.P.2031/S)。25石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約744時間。ゴールドテック™ケース(直径44mm)。10気圧防水。世界限定200本。参考価格1602万7000円(税込み)。
「ルミノール トレントゥーノジョルニ PAM01631」は、パネライが長年にわたり追求してきたロングパワーリザーブ機能を、約31日間という驚異的な水準へと押し上げたモデルである。新開発の手巻きキャリバーP.2031/Sは、ヌーシャテルの研究開発部門「ラボラトリオ・ディ・イデー」による7年に及ぶ開発の結晶であり、4つの香箱を直列に配置することで、合計3.3mにもなる主ゼンマイを収容。低トルクかつ高速回転でエネルギーを効率的に伝達する構造により、摩耗や負荷を抑えながら長期駆動を可能とした。
さらに特許出願中のトルクリミッター機構を搭載し、最大36日分のエネルギーをあえて31日間に制御することで、動作期間全体にわたり安定した精度を維持する設計となっている。パワー残量があっても31日で停止する制御は、機構の保護と長期的な耐久性を重視した設計である。

デザイン面では、ルミノールの象徴的な要素を踏襲しつつ、その内部機構を大胆に可視化している。シースルー仕様のダイアルおよびムーブメント構造により、香箱の動きや複雑な輪列を立体的に鑑賞することが可能だ。ケースには独自合金ゴールドテック™を採用し、金と銅、さらにプラチナを加えることで、深みのある赤みと優れた耐久性を両立させている。

「ルミノール オットジョルニ」PAM01733

手巻き(Cal.P.5000)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約192時間。SSケース(直径44mm)。30気圧防水。168万3000円(税込み)。
2026年、パネライはブランドの基幹コレクションであるルミノールに焦点を当て、そのバリエーションを深化させている。最初に紹介する「ルミノール オットジョルニ」PAM01733は、パネライが長年培ってきた軍用時計の系譜を現代に継承しつつ、独自の素材表現によって新たな魅力を提示した手巻きモデルである。
本作において特筆すべきは、外装に施されたブルニート仕上げである。本作では、まずケースにブラックのPVDコーティングを施し、その後、手作業によって表面を部分的に研磨することで、黒からグレーへと移ろう不均一な色調を生み出している。均質なブラック仕上げとは異なり、あえてムラや濃淡を残すことで、長年使い込まれた軍用装備のようなリアリティを追求している。

デザインの基盤は1960年代のルミノールにあり、クッション型ケースやレバーロック式リュウズプロテクター、サンドイッチダイアルを色濃く受け継ぐ。ケース径は従来の47mmから44mmへと見直され、力強いプロポーションを維持しながら視認性と装着感を両立している。
サファイアクリスタル製のケースバックから鑑賞できるマニュファクチュールキャリバーP.5000は、パネライの基幹ムーブメントのひとつであり、ダブルバレル採用による約8日間のロングパワーリザーブ(「8 Giorni」はイタリア語で「8日間」の意味)や、ストップセコンドといった機能を搭載する。

「ルミノール」PAM01735

手巻き(Cal.P.3000)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径47mm)。10気圧防水。184万8000円(税込み)。
「ルミノール」PAM01735は、イタリア海軍向け初期ルミノールのコードを現代的に再解釈したモデルである。デザインは1960年代のRef.6152/1に着想を得ており、そのケース設計が色濃く反映されている。クッション型ミドルケースとフラットなリュウズプロテクターを備えたシルエットは、オリジナルの47mmサイズを踏襲しつつ、わずかにスリム化されることで現代的な装着性を獲得している。
文字盤には、経年により温かみのある色調へと変化する現象、いわゆる“トロピカルダイアル”が再現されている。マットアイボリーのサンドイッチダイアルは、中心から外周へと深まるブラウンのグラデーションを備え、自然な色変化を表現する。上層プレートの下にはベージュのスーパールミノバ®が塗布され、ヴィンテージの雰囲気を強調している。さらにケースはポリッシュ仕上げでありながら、文字盤は初期モデルに見られるマットな質感を採用し、反射を抑えて水中での視認性を確保するという本来の機能性にも配慮されている。

ムーブメントには自社製キャリバーP.3000を搭載。約3日間のパワーリザーブに加え、時針を1時間単位で前後に操作可能なクイックチェンジタイム機構を備える。リュウズを第1段階まで引き出すことで分針を止めることなく時針のみを調整でき、実用性の面でも優れた設計である。

「ルミノール フォージドチタニウム」PAM01629

手巻き(Cal.P.3000)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径47mm)。10気圧防水。100本限定。352万円(税込み)。
「ルミノール フォージドチタニウム」PAM01629は、パネライが先進素材と伝統的なデザインを融合させた限定モデルである。注目すべきは、パネライのケースに初めて採用された鍛造チタン(=フォージドチタニウム)だ。
鍛造チタンとは、2種類のチタンを高圧下で圧縮・成形することで生成される複合素材であり、独特の波状のテクスチャーを備える点が特徴である。素材そのものが持つランダムな模様が外観に現れるため、同一のパターンが存在しない一点物のような表情を生み出す。本作ではミドルケース、ベゼル、リュウズプロテクター、レバーがすべてこの素材で製造されている。高強度、高耐食性を誇り、ステンレススティールより40%軽量でありながら、10気圧の防水性能を備える。
パネライは早期よりチタンを取り込んできてきた。その歴史は1985年に直径47mmのチタンケースと象徴的なリュウズプロテクターを備えた堅牢なダイビングウォッチ「ミッレ・メトリ」を試作したことにさかのぼる。この遺産を基盤として、パネライは1998年に公式にチタンをコレクションに導入し、以来、チタンDLMSのような革新的な構造や、チタンDLCのような新しいコーティング形式を探求してきた。

ケースの色調と模様を強調するために、文字盤には光を受けて放射状に輝くサンブラッシュ仕上げのアンスラサイトダイアルを採用し、リュウズはマットに仕上げている。針と数字には、ベージュのスーパールミノバ®が塗布されている。

「ルミノール」PAM01731

手巻き(Cal.P.6000)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径44mm)。30気圧防水。136万4000円(税込み)。
ルミノール PAM01731は、1960年代のルミノール(Ref.6152/1など)への直接的なオマージュとして位置付けられるモデルである。オリジナルでは直径47mmだったケースは44mmへと見直され、ポリッシュ仕上げのクッション型ミドルケースとサテン仕上げのフラットなリュウズプロテクターによって、オリジナルのシルエットを忠実に再現しながら、現代的にアップデートされている。

文字盤には、久しぶりに登場したタバコカラーと称される深みのあるブラウンの色調を採用し、ヴィンテージの趣を強く想起させる。2枚のプレートを重ねたサンドイッチ構造により視認性を確保しつつ、9時位置のスモールセコンドとともにブランドのクラシックな様式を体現している。ダークブラウンのヴィンテージスタイルのカーフレザーストラップに加え、同色のラバーストラップが付属し、用途に応じた使い分けが可能である。
内部には手巻きの自社製キャリバーP.6000を搭載する。約3日間のパワーリザーブを備えるほか、リュウズを第2位置に引き出すことで作動するストップセコンド機能を搭載し、秒針を停止させることで高精度な時刻合わせを可能とする。

「ルミノール デストロ」PAM01732

手巻き(Cal.P.6000)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径44mm)。30気圧防水。136万4000円(税込み)。
ルミノール PAM01731と同様に、1960年代のルミノールデザインへの直接的なオマージュに位置付けられる「ルミノール デストロ PAM01732」。堅牢なケース、象徴的なリュウズプロテクター、蓄光性アラビア数字、そして独自のサンドイッチダイアルといったルミノールを特徴付ける要素が踏襲されている。
本作の特徴は、いわゆる「デストロ」仕様にある。リュウズとプロテクターをケース左側に配置し、右腕装着を前提とする。これはイタリア海軍ダイバーが左腕に計器を着用していた歴史に由来する。左手でリュウズ操作が可能になる実用的な設計だ。

文字盤はマットブルーで統一され、12・3・6・9のアラビア数字のみを配したシンプルな構成を採用。スモールセコンドを排したミニマルな表示は、ルミノールの視覚的コードを新たな形で解釈したものである。ストラップにはライトブラウンのヴィンテージ調カーフレザーが組み合わされ、加えてブルーのラバーストラップが付属する。
ケースはポリッシュ仕上げを主体としつつ、リュウズプロテクターにはサテン仕上げを採用することで質感のコントラストを演出している。クッション型ミドルケースやフラットなリュウズプロテクター、比較的シンプルな構成のケースバックなど、1960年代のRef.6152/1に見られるヴィンテージ構造を踏襲しながら30気圧防水を実現している。




