2024年にリリースされた「BR 05 スケルトン ブラックセラミック」は、BR 05では初めて、ケースにセラミックスを用いたモデルだ。アーバン コレクションに属するBR 05の洗練されたフォルムを踏襲しつつ、外装をブラックで統一。その佇まいからは、ステンレススティールやゴールド素材を用いた従来のBR 05とは異なり、都会的でありながら、コックピット計器に着想を得たアヴィエーション コレクションにも通じる、精悍な雰囲気も感じられる。

Photographs & Text by Yuzo Takeishi
[2026年4月24日公開記事]
都会的なBR 05に加わったブラックセラミックスモデル
BR 05がデビューしたのは2019年。“四角の中に丸”というデザインコードを踏襲しつつ、ケースの四隅をカットし、さらにブレスレットを一体化することで、マッシブな印象の強かったベル&ロスのタイムピースは都会的な表情へと一変した。時はラグジュアリースポーツウォッチ人気の絶頂期。そんな中でベル&ロスは、アイコニックなデザインから逸脱することなく、時流に乗ってみせたわけだ。ベル&ロスのデザインに惚れ込んで「BR 03-94」を購入し、以来、クリエイティブディレクターであるブルーノ・ベラミッシュのデザインワークに心酔している筆者も、「さすがね♡」と絶賛したことを覚えている。
その後も、クロノグラフモデルやスケルトンモデルを加えながらコレクションを拡充させていったBR 05は2024年、外装素材にセラミックスを用いた3モデルを発表。そのひとつが「BR 05 スケルトン ブラックセラミック」で、ブラックセラミックス製ブレスレットを組み合わせたモデルと、ラバーストラップを組み合わせたモデルの2種類がリリースされた。

自動巻き(BR-CAL.322)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。セラミックケース(幅41mm、厚さ11.2mm)。100m防水。132万円(税込み)。
控えめなスケルトンデザインが好印象
現物を手にしてまず目を奪われたのが、セラミックスケースの加工と仕上げだ。今や、多くのブランドがセラミックスを外装素材に用いているが、ベル&ロスもまた、2011年の「BR 01 セラミック」以降磨き上げてきた加工技術によって、BR 05をより魅力的なタイムピースへと昇華させている。BR 01とBR 03がサテン仕上げを主体としているのに対し、BR 05では上面をサテンに、ベゼルとケースのエッジに設けられた斜面をポリッシュに仕上げ分け。光が当たることでポリッシュ面が輝き、フルブラックでありながら強い存在感を放っている。

もうひとつの特徴であるスケルトンダイアルについては、フルブラックの外装を生かしたデザインにまとめられている。スケルトンデザインの多くが、(当然のことながら)ムーブメントの構造をしっかりと見せているのに対し、本作はムーブメントの存在をことさらに強調せず、あくまでもデザインの一部として、ベゼルやケースとの統一感を持たせている。ダイアルの奥にうっすらとムーブメントが覗く様子は、幾何学的なパターンが立体的に描かれているかのよう。正直、スケルトンデザインが好みではない筆者にとって、この見せ方は好印象だ。


フルブラックモデルにふさわしい「確かな重み」
ケース幅は41mm。ベーシックなBR 05が40mm、BR 03が42mm(しかもラウンド型の42mmよりかなり大きく感じる)なので、ちょうどその中間にあたるサイズだ。小径モデルが人気の昨今だが、それでも取り立てて大きいと感じることはなく、手首の細い筆者にもちょうどよいサイズだった。それも、ケースの四隅をカットした、引き締まったデザインによるところが大きいだろう。

他方、セラミックスケースでありながら「思ったほど軽くはない」というのが正直な印象だ。もちろんステンレススティール製ケースのような、ずっしりとした重みではなく(BR 03のスティールモデルはなかなかにヘビー)、手首に乗せたときには「確かな存在感がある」といったところか。特筆すべきは装着感。特に今回試用したラバーストラップのモデルは密着感が高く、時計本体の重みも分散されているためか、長時間でも軽快に着用できる。“アーバン”を謳うコレクションにふさわしい、日常使いに適した1本といえるだろう。

ブラックセラミックス製の本作はBR 03と05のいいトコ取り
BR 05に触れたことは何度もあったが、1週間以上にわたって試用したのは今回が初めて。ここで改めて感じられたのは、ベル&ロスのデザインコードこそ踏襲しているものの、その造形や装着感はBR 03とは全くの別モノだということ。BR 03、BR 05にはそれぞれの魅力があるが、BR 05は「アーバン コレクション」と謳われている通り、特に街中で着用するのに適した時計であることを実感した。しかも、本作はブラックセラミックスを採用したことで、ステンレススティールやゴールドのBR 05とは全く異なる雰囲気に。丁寧な仕上げによって艶やかさを持ちつつ、フルブラックの外装が精悍さも持ち合わせている──つまり、BR 05とBR 03のいいトコ取りをしている点こそ、本作の魅力ではないだろうか。



