【インタビュー】ブライトリングCEO「ジョージ・カーン」

FEATURE本誌記事
2020.07.11
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)

新型クロノマットほど 完璧なタイムピースに 出合ったことはない

  ブライトリングのCEOに就任して以降、矢継ぎ早に新しい試みに取り組むジョージ・カーン。彼は日本のメディア向けに2020年新作の発表を行った。 「コロナによる経済危機を見て思うのは、これまでラグジュアリーで良いと思われた価値観は変わるだろう、ということだ。ブライトリングが取り組んできた試みは価値観の変容に即したものであり、結果、ブランドのプレゼンスは上がっていくだろう」

ジョージ・カーン

ジョージ・カーン
ブライトリングCEO。1965年、ドイツ生まれ。大学を卒業後、食品会社を経てタグ・ホイヤーに入社。2000年にリシュモングループへ参画し、故ギュンター・ブリュームラインの下で、A.ランゲ&ゾーネ、ジャガー・ルクルト、IWCを統括する。02年にIWCのCEOに就任し、17年には時計部門の最高責任者となるが、同年退社。ブライトリングのCEOに就任し、ラインナップの再編などを進める。

 そんな中、リリースされた新型クロノマットは、“新しい”ブライトリングを象徴するモデルとなった。高い質感という特徴に変わりはないが、従来までのツヤ感がぐっと抑えられた。

「私は製品のセグメントをきちんと分けて、分かりやすいラインナップにしたかった。コルトはアベンジャーに統合され、アベンジャーは一層ミリタリーを強調した力強いものとなった。対してクロノマットが目指したのは、シックなオールパーパスウォッチだ。オールパーパスの理由はライダータブでカウントダウン/アップができるから。ダイビングやセーリングのみならず、パイロットウォッチとしても使えて実用性が高い。スタイルの面でも、メタルケースとブレスレットの組み合わせは、スーツにもジーンズにもタキシードにも合う。各国のメディアに、1本無人島に持っていくなら何を選ぶかと聞かれた際、昔は答えられなかった。でも今は新しいクロノマットを選ぶ」

 ブライトリングは新しいクロノマットをオンラインで発表し、大きな反応を得た。「私のキャリアの中でも、新しいクロノマットへの反応は最も大きなものだった。オ ンラインでの反応を見る限り、ブティックが再オープンすると、さらに大きな反響になるだろう。日本でもより好意的に受け入れられると確信している」

 確かに時計は素晴らしくよく出来ている。ではなぜ、ツヤを落としたのだろうか? 「私はツヤ感=ラグジュアリーとは思わない。新しいクロノマットは多くのプロトタイプを作り、すべてのチェックを経て総合的に仕上がったピースオブアートになった。今まで手掛けたプロトタイプは、どこ か気になる部分が残ったが、これほど完璧なタイムピースに出合ったことはない」

 それともうひとつは、装着感への配慮である。サイズを縮めたこともあって、新型クロノマットは腕馴染みが大変に良い。 「新しいクロノマットのケースはフラットで、曲がっていない。直径は42mmあるが、ブレスレットが真っすぐ落ちるため、装着感に優れている。そして世界的な需要を見 ても、このサイズは万人受けするだろう。 使いやすいと思ってもらえるはずだ」

クロノマット B01 42

ブライトリング「クロノマット B01 42」
デザインを大きく改めた新型クロノマット。昔懐かしいルーローブレスレットは、非常に複雑な構成を持っており、かつてとは別物だ。直径を小さくし、全長を短くした結果、装着感に優れている。自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径 42.00mm、厚さ15.10mm)。20気圧防水。89万円。


Contact info: ブライトリング・ジャパン Tel.03-3436-0011


愛好家がコレクションと共にひもとく、ブライトリング「クロノマット」の魅力


https://www.webchronos.net/features/48197/
ブライトリングの新しいクロノマットコレクション「クロノマット B01 42」が登場


https://www.webchronos.net/news/44791/
ブライトリング/クロノマット


https://www.webchronos.net/iconic/14549/