IWCの「ポルトギーゼ・ヨットクラブ」を知り、また欲しい腕時計が増えてしまった

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2024.06.07

IWCを代表するコレクション、「ポルトギーゼ」。中でも「ポルトギーゼ・ヨットクラブ」は、同コレクションに実用的なスポーツ性能を与え、ビーチやデッキにおける、着用者の手首を鮮やかに彩ってきた。本記事では、ヨットクラブがポルトギーゼに統合された歴史や、現行モデルの紹介を交えながら、このコレクションの魅力を伝えたい。ポルトギーゼ・ヨットクラブの魅力を知れば知るほど、所有欲がくすぐられるだろう。


IWCとヨットクラブの位置付け

「ポルトギーゼ」はIWCを代表するコレクションだ。大型ながらエレガントなケースには、多種多様な意匠や機構が搭載される。一方の「ヨットクラブ」は、もともとはポルトギーゼからは独立したモデルだった。スポーティーなヨットクラブが、やがてポルトギーゼに統合されることになった歴史を見ていこう。

IWCの代表コレクション

1939年に誕生した初代ポルトギーゼ。高精度を実現するために懐中時計のムーブメントを搭載するのみならず、大きくて構成要素の少ないダイアルデザインにしたことで高い視認性を実現した。

ポルトギーゼの初作は1939年。ポルトガル商人の要望によって、マリン・クロノメーター級の精度と視認性を備えた大型の腕時計として誕生した。

初代ポルトギーゼは精度を高めるために懐中時計用の大型ムーブメントを転用しており、このビッグフェイスは現在までポルトギーゼの特徴となっている。

1993年に限定モデルで復活を果たし、1995年にはミニッツリピーター搭載モデル(Ref.5250)と、スプリットセコンド針(ラトラパンテ機構)搭載モデル(Ref.3712)を発表。瞬く間に看板コレクションへと成長を遂げた。

大型のラウンドケースには複雑機構を搭載しやすいため、現在までに多種多様なコンプリケーションが発表されている。

ジェラルド・ジェンタが手掛けたヨットクラブ

それまで、独立したモデルだったヨットクラブは、2010年にポルトギーゼコレクションに統合。その第1作となる「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ(Ref.3902)」は、コレクションのなかでもっともスポーティーなモデルとなった。

ヨットクラブの初作は1967年。プロフェッショナル向けの「インヂュニア」よりもスポーティーなモデルとして登場した。デザインは後年「インヂュニアSL」を手掛けるジェラルド・ジェンタである。

ジェンタはオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」やパテック フィリップの「ノーチラス」など、時計史に燦然と輝く傑作の数々を生み出した伝説的デザイナーだ。

20世紀で成功を収めたモデルのひとつとなったヨットクラブは、2010年に「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ(Ref.3902)」としてポルトギーゼ コレクションに統合された。

ヨットクラブの歴史と特徴

ヨットクラブは独立したコレクションとして誕生し、後にポルトギーゼに統合された歴史がある。

1967年のオリジナルモデルから「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ」までの歩みを見ていこう。

二重耐震装置搭載の初期モデル

1967年に誕生した、ヨットクラブのファーストモデル。独特な楕円形のケース形状は、1960年代後半にジェラルド・ジェンタが手がけたいくつかの時計に見ることができる。

1967年に登場したヨットクラブの初作「Ref.1811」は、二重耐震装置によって衝撃を吸収するCal.8541を採用した。

エレガントな楕円形のケースには、高い堅牢性と10気圧の防水性能、ペラトン自動巻き機構による良好な巻き上げ効率など、当時の先端技術が盛り込まれている。

コレクターに人気の八角ベゼル

1977年には八角形のベゼルを採用した「ヨットクラブ Ⅱ」が登場。写真は1981年に発表されたRef.3212で、自動巻きのCal.3254を搭載する。

1977年に登場した「ヨットクラブ Ⅱ」は、ジェンタが好んだ8角形のベゼルを採用したモデルだ。

ロイヤル オークやノーチラスを思わせるベゼルだがビスは露出しておらず、上面の円形からケースサイドへ流れる斜面はエレガントな立体感を生む。湾曲したラグからなめらかに連結するブレスレットもジェンタらしいデザインだ。

販売されたヨットクラブ Ⅱは多くがクォーツ式で、自社製自動巻きのCal.8541やジャガー・ルクルト製Cal.889がベースのCal.3254搭載モデルは、時計愛好家から特に人気が高い。

現行モデルに搭載されるムーブメントはフライバック機能付き

2010年から販売が続くポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフは、自社製ムーブメントCal.89000シリーズを搭載し、フライバック機能を備えた高性能クロノグラフだ。

2007年に発表されたCal.89360や現行モデルが搭載するCal.89361では、12時位置に12時間積算計と60分積算計が同軸上に配された特別仕様である。この仕様によりエレガントなスタイルを崩さずに、多機能性を実現した。

「ポルトギーゼ・ヨットクラブ」の現行モデル

ヨットクラブはポルトギーゼのデザインコードをベースとしながら、これまでのポルトギーゼには見られないスポーツ性能や複雑機構を備える。現行のポルトギーゼ・ヨットクラブを紹介しよう。

革ベルトのイメージを一新。「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ」

IWC「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ」Ref.IW390702
自動巻き(Cal.89361)。38石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。SSケース(直径44.6mm、厚さ14.3mm)。10気圧防水。191万9500円(税込み)。

「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ」Ref.IW390702は、革ベルトで装着する優雅なポルトギーゼというイメージを覆す、ステンレススティール製ブレスレットを採用したモデルだ。

金属製になったことで洋上での腐食耐性が高まり、一層実用的なスポーツ性能を手に入れた。ダイアルはブルーとホワイトを組み合わせた爽やかな配色とする一方、分目盛りやアプライドインデックスはポルトギーゼに通じるデザインを取り入れている。

バリエーションのIW390701はIWCらしいブルーダイアル、IW390703では随所に18Kレッドゴールドを配し、いずれもリゾート感あふれる逸品だ。

満潮と干潮の時刻を予測。「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・ムーン&タイド」

IWC「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・ムーン&タイド」Ref.IW344001
自動巻き(Cal.82835)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ60時間。18KRGケース(直径44.6mm、厚さ13.4mm)。6気圧防水。526万9000円(税込み)。

「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・ムーン&タイド」Ref.IW344001は、潮の干満と南北両半球のダブルムーンフェイズを表示する、オンリーワンのコンプリケーションだ。

6時位置のインダイアルでは満潮と干潮の予想時刻を表示し、12時位置のダブルムーンフェイズには大潮と小潮まで示す機能を統合した。

夜光性のブルーダイアルとインデックスに用いられた18Kレッドゴールドの組み合わせは海の時計にふさわしい美麗さを備える。6気圧の防水性能に加え、ブルーのラバーストラップを採用したことで、一部の隙もないリゾートモデルに仕上がっている。

ポルトギーゼ・ヨットクラブが欲しい!

ポルトギーゼは開放感のあるエレガントなデザインが魅力的だが、中でもポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフとポルトギーゼ・ヨットクラブ・ムーン&タイドは、リゾートモデルに新しい価値観を与えている。

メタルブレスレットでビジネスに、あるいは果てしない海へ──ヨットクラブは着用者それぞれの航海を鮮やかに彩るだろう。そして、そんな着用シーンに思いを馳せると、この腕時計への所有欲がかき立てられるのだ。


Contact info:IWC Tel.0120-05-1868


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