機械式時計でよく聞く振動数とは?/ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜

FEATUREぜんまい知恵袋
2020.10.18

Q:機械式時計の振動数って何なの?

 機械式時計の記事でしばしば見られる、振動数という表現。その役割や意味とは何だろうか?

広田雅将

2020年10月18日掲載記事

A:テンプの振幅の数を示す値

 これは心臓部であるテンプの振幅の数を示す値です。理論上、振動数が高いほど機械式時計の正確さは増しますが、パワーリザーブが短くなり、部品が摩耗しやすくなる場合があります。逆に振動数が低いほど、パワーリザーブは延び、部品も摩耗しにくくなりますが、正確さは損なわれていきます。


現在は2万8800振動/時(=8振動/秒、4hz/秒)が主流

 ひと昔前の機械式時計で多く見られたのは、1万8000振動/時。これはテンプが1時間に1万8000回振れることを意味します。1万8000振動/時を秒単位に直すと5振動/秒。左右の振幅を示すHzに置き換えると、半分の2.5Hz/秒となります。

 現在、多くの時計が採用する振動数が、2万8800振動/時(=8振動/秒、4Hz/秒)という振動数です。正確さと長いパワーリザーブ、そして部品の耐久性を考えた結果、今の時点では、これが量産型の腕時計に最適な振動数と考えられることが多いです。しかし、技術力のあるメーカーには、3万6000振動/時や7万2000振動/時という高い振動数を持つモデルも製造しています。

デファイ インベンター

ゼニス オシレーターを搭載した超高精度機。12万9600振動/時という高い振動数によって日差±0.3秒以内の精度を実現した。自動巻き(Cal.9100)。18石。12万9600振動/時。パワーリザーブ約50時間。Ti×アエロナイト(直径44mm)。10気圧防水。204万円(税別)。

 素材や加工精度の進歩によって以前に比べて部品は摩耗しにくくなりましたが、製造コストが高くなるため、高い振動数を売りにしたモデルは、高価格のモデルが多い傾向があります。現行の高振動数モデルには、次のようなものがあります。


主な高振動モデル

12万9600振動/時(=36振動/秒、18Hz/秒)

ゼニス「デファイ インベンター」

7万2000振動/時(=20振動/秒、10Hz/秒)

ブレゲ「クラシック クロノメトリー 7727」、ブレゲ「タイプXXII 3880」

5万7600振動/時(=16振動/秒、8Hz/秒)

ショパール「L.U.C 8HF パワーコントロール」

3万6000振動/時(=10振動/秒、5Hz/秒)

グランドセイコー「Cal.9S85」「Cal.9S86」搭載モデル、ゼニス「エル・プリメロ」搭載モデル、パルミジャーニ フルリエ「トンダ クロノール アニヴェルセール」、ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル・ツインビート・パーペチュアルカレンダー」(通常モードの場合)、ドゥ・ベトゥーンの一部のトゥールビヨンなど。


なぜ、ゼニス「デファイ インベンター」は革新的なのか?

https://www.webchronos.net/features/36498/