伝統を重んじる、ロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」

FEATUREWatchTime
2021.09.21

2020年9月、ロレックスより新しいオイスター パーペチュアル サブマリーナーが発表された。デイト付きモデルが驚くほど豊富なカラーバリエーションを備えていた一方、ノンデイトのサブマリーナーはオリジナルデザインに忠実であり続けた。歴史をふまえ、改めてその魅力を見つめ直す。

Ref.124060

ノンデイトのオイスター パーペチュアル サブマリーナー。Ref.124060。自動巻き(Cal.3230)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径41mm)。300m防水。
Originally published on watchtime.com
Text by Martina Richter
2021年9月21日掲載記事

アップグレードされたディテールがもたらす新たなプロポーション

 ロレックスの革新とは、革命を意味すると思ったら大間違いだ。しかしサブマリーナーには、さまざまなディテールの総和が新しい時計を生み出すように改良されている。ノンデイトのサブマリーナーの時計の直径は40mmから41mmへ、正確には2時から8時までの対角線上で測って40.6mmから41.36mmへと大きくなっている。リュウズガードとラグはよりスリムになったが、これによりラグ幅は若干拡大して21mmになった。

 非常にわずかな変更に見えるが、ケース本体やベゼル、文字盤やブレスレットなど時計全体のプロポーションに変化をもたらしている。つまり、まったく新しいモデルを見ることになったのだ。新しいオイスター パーペチュアル サブマリーナーを(製造中止となる)前モデルと並べてみると、その違いは一目瞭然だ。新しいサブマリーナーは、実際には1mm程度の変更ではあるが、ごくわずかなディテールに及ぶ数多くの修正によって、今までのモデルよりもずっと大きく見えるのである。

Ref.124060

直径は前モデルの40mmから41mmへとわずかに大きくなった。

 ムーブメントは、他のロレックスの時計と同様に、特別なキーを使って、ロレックスの認定時計技師だけが開けることのできる刻み付きのねじ込み式クローズドケースバックによって密閉されている。搭載される自動巻きキャリバー3230には、ロレックスが特許を取得したニッケル・リン合金製のクロナジー エスケープメントが採用される。これは耐磁性を備え、スイスレバー脱進機よりもエネルギー効率を15%向上させたものである。また常磁性のブルー パラクロム・ヘアスプリングも備えている。

Cal.3230

パワーリザーブが約70時間に向上したキャリバー3230。

 ロレックスではこのヘアスプリングをパラクロム合金から自社で生産しているが、これは通常のヒゲゼンマイよりも約10倍の精度を実現するものである。またロレックス独自のオーバーコイルにより、どのような姿勢差においても安定した振動数を確保することができる。この振動子を支えているのが、ロレックスが設計し特許を取得した衝撃吸収装置のパラフレックス ショック・アブソーバだ。脱進機と香箱の設計の効率化により、パワーリザーブはこれまでの約48時間から約70時間へと延長された。

 出荷される時計はもちろん、ムーブメントがC.O.S.C.認定を受けているだけでなく、ロレックスが自社内で行う厳格な最終検査を通過したものである。これは2015年から適用される現在の基準によると2秒を超える日差を許容しないというものである。

Ref.124060

シンプルな形のアワーマーカーと、幅広の時針と分針により、水中で瞬時に正確な時刻を読み取ることができる。

 サブマリーナーが誕生したのは1953年で、水深100mまでの防水性能を備えたプロフェッショナル向けの初のダイバーズウォッチであった。ダイバーズウォッチが趣味よりもプロユースで使われていた時代である。ダイビング中における時間の視認は生死に関わることであった。サブマリーナーはその原点における要素を忠実に継承している。そのため明確でシンプルな文字盤には大きな変更が加えられていない。時分針は視認時に混同しないようにそれぞれがはっきりとした特徴を備えている。三角形、円形、長方形のアワーマーカーは方向性を示すために採用されていると同時に、視認性を高め、また水中でも陸上でも誤認を避けるようになっている。針とマーカーはクロマライト ディスプレイにより、暗所で鮮やかなブルーに光る。時計が動いているかどうかを確認するための秒針の先端にあるドットや、ベゼルのゼロマーカーにも蓄光処理がなされている。

Ref.124060

文字盤にはクロマライト ディスプレイ (青色発光の長時間継続ルミネッセンス)を採用。

技術的観点において際立つダイバーズウォッチ

 0.5分刻みで反時計回りに進むラチェット式ベゼルは完璧に機能している。縁には深く刻まれた溝があり、濡れた手やダイビンググローブ越しでもしっかりと操作をしやすい。回転リングにはブラックセラミックスのセラクロムインサートが施され、60分の目盛りに配されたくぼんだ数字やマーカーには、PVDによって薄いプラチナのコーティングがされている。ロレックスはモノブロックのベゼルやトラックを製造するために、耐蝕性に優れ、色の選択肢が多く、傷の付きにくい特殊なセラミックスを開発することに注力してきた。現在では、セラミックスのパーツを完全自社製としている。

 このベゼルは、300m/1000フィートの防水性を保証する頑丈なオイスターケースの一部であり、耐久性と信頼性の証しである。ロレックスが「オイスタースチール」と呼ぶステンレススティールのケースのフレームもまた、非常に高い耐腐食性を誇る。密閉されたケースバックに加え、ねじ込み式の設計、そしてリュウズガードに守られた3重密閉構造のトリプロックリュウズにより規程の防水性を確保している。風防は傷に強いサファイアクリスタル製だ。

Ref.124060

3列リンクのオイスター ブレスレットは、堅牢な構造と快適な着用感を特徴とする。

 新しいサブマリーナーには、ブレスレットが誤って開くことを防ぐ特許取得のオイスターロッククラスプと、工具を使わずにブレスレットの長さを微調整できる画期的なロレックス グライドロックエクステンションシステムを備える。スライド式に20mmまでの長さが10段階で調節できるようになっており、ダイビングスーツの上からでも快適に着用することができる。ダイバーズウォッチのスタンダードであり続けるためには、これほどの完成度に革命は必要ない。


ロレックスの歴史を年表形式で解説

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大いなる王冠の下に ロレックス工場探訪記(前編)

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何がロレックスに大きな成功をもたらしたのか? その9つの理由

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