2021年はパテック フィリップの大ヒット作であるノーチラス5711/1Aのラストイヤーとなった。入手は困難を極め、オークションの落札額に驚かされたことは記憶に新しい。そんな超入手困難モデルを所持する3人のセレブリティとは誰なのか。
Text by Yukaco Numamoto
2021年12月26日掲載記事
ティファニーブルーをまとったノーチラス5711/A-018を着用するJay Z
上の写真で「Ref.5711/A-018ノーチラス」を着用しているのはJay Zである。アメリカ音楽史上最も裕福なミュージシャンとして経済紙フォーブスに掲載されたこともある。2008年にはビヨンセと結婚し、夫婦の純資産は推定11億6千万ドルといわれているスーパーセレブリティである。幼少の頃は生活保護を受ける恵まれない生活環境であったが、その時期に同じ団地に住んでいたラッパーたちの影響を得てラッパーへの道を歩み出した。
Jay Zがこちらの写真で身に着けているティファニーブルーのノーチラスは、フィリップスのオークションで5万ドルのエスティメートに対し、650万3500ドル（当時の日本円価格7億3489万5500円）という高値で落札された。この時計をオークションで落札したわけではない、とJay Zは語っている。夫婦で広告に出演したティファニーの最新キャンペーン「About Love」の動画で妻ビヨンセは「ムーン・リバー」を歌っている。ティファニーとこの名曲には接点があることを多くの映画ファンならご存知だろう。オードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」の主題歌として1961年から現在まで多くのアーティストたちに歌い継がれている名曲だ。ティファニーの魅力と世界観は歴史、ブランドカラー、身に着ける人々によって永遠に塗り替えられていくのだろう。2021年はJay Zとティファニーにとってお互い記念すべき年になっていることは確かである。
ダイヤモンド入りのノーチラス5711/1300Aを着用するエド・シーラン
こちらのモデルを所有するのは1991年生まれで現在30歳のエド・シーランである。イギリスを代表するシンガーソングライターとして大成功を収め、「シェイプ・オブ・ユー」はシングルのセールス、デジタルのセールスが2600万枚を超え、ストリーミング数などと合わさり、合計3つのギネス世界記録を獲得した。エドの家族は芸術一家としても知られており、父はアートキュレーター、母はジュエリーデザイナー、兄は作曲家と感性豊かな環境で育ったことが想像させられる。ロンドンに単身で移り住んだ時期は高額な家賃が払えず、友人たちの家を転々としていたということもあったという。
大成功を収めたのちは、バゲットカットダイヤ入りの時計をジュエリーデザイナーの母と共に眺めた時間もあったのではないだろうか。また、エドは2017年に大英帝国第5位勲章を王室から授与されており、その後も勢いは止まらない。2021年9月にはGQの「メン・オブ・ザ・イヤー」を受賞しており、上の写真はその授賞式の時に撮影されたものである。エルトン・ジョンに紹介されたというドナテッラ・ヴェルサーチェ（VERSACE）によるカスタムスーツのインパクトに負けない手元であるといえるだろう。
