2023年 パテック フィリップの新作時計まとめ

FEATURE2023年新作時計
2023.03.31

Watches & Wondersを中心に、2023年に発表されたパテック フィリップの新作をまとめて紹介する。24時間表示のデュアルタイムウォッチ「カラトラバ・トラベルタイム 5224」やトラベルタイム初のクロノグラフモデル「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ 5924」、さらにはスポーティーな「カラトラバ 6007」などが登場。カラトラバ系もしくは、グランド・コンプリケーション系の充実が目を引く。


カラトラバ・トラベルタイム 5224

カラトラバ24時間表示トラベルタイム 5224R

 24時間で1周する時針および第2時間帯表示を備える「カラトラバ・トラベルタイム 5224」が追加された。本作には新たなムーブメントであるCal.31-260 PS FUS 24Hを搭載する。

 本作はセンターの2本の時針のうち、1本を1時間単位で単独修正可能なトラベルタイム機能を備えるのが特徴である。トラベル タイムはカラトラバ以外にもラインナップされるパテック フィリップの得意とする機構で、操作の容易さと視認性の高さの評価が高い。

 Cal.31-260 PS FUS 24Hは、比重の高いプラチナ製偏心マイクロローターを備える薄型の基幹ムーブメント、Cal.31-260をベースとする。

Cal.31-260 PS FUS 24H

 従来のトライベルタイム機能を有するムーブメントと異なる点は、主に3つある。ひとつめは、リュウズ操作時に調整に関わっていない一部の歯車の駆動を停止して、エネルギー消費と摩耗を抑えることである。

 ふたつめは、日送りのために発生させるトルクを大きくしたこと。3つめは歯車の重量の差を補正して時刻修正時などに表示が不安定になることを防いでいる。

カラトラバ24時間表示トラベルタイム 5224R

パテック フィリップ「カラトラバ・トラベルタイム 5224」
自動巻き(Cal.31-260 PS FUS 24H)。44石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(直径42mm、厚さ9.85mm)。3気圧防水。771万1000円(税込み)。




カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ 5924

カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ 5924

パテック フィリップ「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ 5924」
自動巻き(Cal.CH 28-520 C FUS)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KWGケース(直径42mm、厚さ13.05mm)。3気圧防水。1017万5000円(税込み)。

 パイロット・スタイルのカラトラバ初のクロノグラフモデルとなる「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ 5924」が追加された。パイロット・スタイルのカラトラバは、1930年代のアヴィエーター向けモデルにインスピレーションを受けた「5524G-001」(2015年発表)を初出とする。

 本作は、そのファミリーに追加された初のクロノグラフであり、2時位置と4時位置にプッシュボタンを備えたフライバック・クロノグラフ、センター副時針による第2時間帯表示、12時位置のサブダイアルによる現地の日付表示を備える。2本のセンター時針のうち、スケルトン化された副時針に出発地時刻を表示させて使用する。

 大きく、立体的なアラビアインデックスや針形状がツールウォッチの趣を生み出しており、ひと目でそれと分かるスタイリングを成している。

 今回、ふたつのバリエーションが用意される。共にケースはホワイトゴールド製で、ブルーグレー・ソレイユダイアルと、ラック・カーキグリーンダイアルがラインナップされる。

カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ 5924

パテック フィリップ「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム・クロノグラフ 5924」
自動巻き(Cal.CH 28-520 C FUS)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KWGケース(直径42mm、厚さ13.05mm)。3気圧防水。1017万5000円(税込み)。




カラトラバ 6007

カラトラバ 6007

パテック フィリップ「カラトラバ 6007」
自動巻き(Cal.26-330 SC)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWGケース(直径40mm、厚さ9.17mm)。3気圧防水。509万3000円(税込み)。

 エボニーブラックのダイアルにカーボン・エンボス・パターンを配したスポーティーな3針モデル「カラトラバ 6007」が追加された。本作のベースは、2020年発表のステンレススティール仕様限定製作モデル「6007A」であり、本作はそのホワイトゴールドモデルとなる。

 エボニーブラックのダイアルには二重の分スケールを配し、微細な同心円模様の内側分スケールに、回転サテン仕上げのアワーサークル、ソレイユ仕上げの外側分スケールという3種類の仕上げが際立っている。

カラトラバ 6007

 センターには6007Aと同じく、カーボン・エンボス・パターンが施される。ストラップもダイアルデザインに呼応するもので、同様のエンボスパターンが施されており、スポーティーな外観を備えつつ、パテック フィリップの優れたダイアル表現とホワイトゴールドケースの仕上げによりエレガントさも兼ね備える。

カラトラバ 6007

パテック フィリップ「カラトラバ 6007」
自動巻き(Cal.26-330 SC)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWGケース(直径40mm、厚さ9.17mm)。3気圧防水。509万3000円(税込み)。

 今回用意されるのは3モデルで、それぞれ指し色としてイエロー、レッド、スカイブルーが用いられる。

カラトラバ 6007

パテック フィリップ「カラトラバ 6007」
自動巻き(Cal.26-330 SC)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWGケース(直径40mm、厚さ9.17mm)。3気圧防水。509万3000円(税込み)。




アクアノート・ルーチェ 年次カレンダー 5261R

アクアノート・ルーチェ 年次カレンダー 5261R

パテック フィリップ「アクアノート・ルーチェ 年次カレンダー 5261R」
自動巻き(Cal.26-330 S QA LU)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRGケース(直径39.9mm、厚さ10.9mm)。3気圧防水。827万2000円(税込み)。

 アクアノート・コレクション初となる年次カレンダーを搭載した「アクアノート・ルーチェ 年次カレンダー5261R」が追加された。

 本作はケース径39.9mmのレディスモデルであり、Cal.26-330 S QA LUを搭載する。これは、2019年発表のCal.26-330 S Cをベースとしたもので、特に巻き上げシステムについて改善が加えられている。

Cal.26-330 S QA LU

 年次カレンダーモジュールが反転されたことによりダイアルの表示位置が変更されており、6時位置に日付表示、12時位置にムーンフェイズ、3時と9時位置に曜日と月表示が配される。

 また、ダイアルにはアクアノート・エンボス・パターンが施され、8角形の象徴的なケースデザインと相まって一目でそれとわかるスタイリングを生み出している。




アクアノート・クロノグラフ 5968R

 「アクアノート・クロノグラフ」として初めての18Kローズゴールドバージョンとなる「5968R」が追加された。

アクアノート・クロノグラフ 5968R

パテック フィリップ「アクアノート・クロノグラフ 5968R」
自動巻き(Cal.CH 28-520 C/528)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KRGケース(直径42.2mm、厚さ11.9mm)。12気圧防水。1017万5000円(税込み)。

 2018年にブラック文字盤、ステンレススティールモデルである「5968A」として発表された最初のアクアノート・クロノグラフは、21年以降、ミッドナイトブルーやカーキグリーンダイアルによる18Kホワイトゴールドモデルがラインナップされてきた。

 本作は、ケースに18Kローズゴールドを採用し、外周に向かって濃くなるブラウン・ソレイユダイアルを組み合わせたモデルである。

 センターにクロノグラフ秒針を配し、6時位置の60分積算計は、特徴的な8角形ベゼルと呼応する形状となっている。ダイアルにはアクアノート・エンボス・パターンが施され、本作のアイコンとなっている。

 ムーブメントは、伝統的なコラムホイールと現代的な垂直ディスク・クラッチを採用したフライバック・クロノグラフ・ムーブメントのCal.CH 28-520 Cを搭載する。

Cal.CH 28-520 C/528

 クラッチが摩擦なく作動するため、クロノグラフを常時作動させてセンターセコンドのように用いることができる信頼性を備える。