カレンダー機構 第2回「永久カレンダー」

FEATURE時計機構論
2019.05.23

エタルニタス4

桁外れに精巧を究めるのはフランク ミュラーの「エタルニタス4」(2006年発表)に搭載されたエターナルカレンダー。グレゴリオ暦を1000年単位で機械的にプログラムし、西暦2999年までの自動調整を可能にした。写真モデルは、同機能を含む36種類の複雑機能を満載した「エテルニタス・メガ4」。

 では、さらにそれを超える超精密カレンダー機構が現行の腕時計の中にあるかというと、それが実際に存在しているのである。フランク ミュラーの超複雑時計「エテルニタス」に搭載された「エターナルカレンダー」と呼ばれる機構だ。この機構で扱われるカレンダーの範囲はなんと999年に及び、時計が動き続ける限り、その間のグレゴリオ暦のカレンダーを無修正で表示可能にするというから、ただものではない。

 文字盤の中央に3桁の数字による西暦年表示が置かれ、周辺に永久カレンダーの表示要素が並んでいるが、エターナルカレンダーの非常にユニークなところは、2000年代の999年間に訪れる2100年、2200年、2300年、2500年、2600年、2700年、2900年が閏年ではなく平年であることを機械が判別して、カレンダー表示を正しく自動調整する点である。グレゴリオ暦がこの先さらに1000年も使われているのか、この超複雑時計で2999年を見届ける者は誰なのか、想像はふくらむ一方だ。いずれにしても気の遠くなる先の先の話だが、未来の記憶を精密機械に秘めた、こうしたカレンダー・ウォッチには、ふつうの時計ではけっして味わえない壮大なロマンというものが確かにある。