ジャガー・ルクルトは、スイス・ジュウ渓谷の中心部に位置する農舎を改装した「ル・シャレー」を公開した。約2世紀にわたりブランドの時計職人たちが製造を続けてきたジュウ渓谷。その手つかずの自然に囲まれながら、伝統と職人技が共生する非日常を体験できる特別な空間である。
ル・シャレーの復元プロジェクトは、歴史的建造物を未来の世代へ継承するという、文化的遺産の保存にも貢献している。
ジュウ渓谷での唯一無二の体験
公開された「ル・シャレー」は、19世紀に建てられた農舎を、ジャガー・ルクルトが地元の自治体とのパートナーシップによって復元したものである。ここはかつて、夏になると農夫たちが麓から牛の群れを追い、青々とした牧草を食べさせていた場所であり、搾りたての牛乳からはチーズが作られていたという。
かつて馬小屋、納屋、チーズ製造場で構成されていた農舎は、ゲストを迎え入れるための特別な空間へと改装された。メインとなるオープンプランの納屋は、居心地のよい中2階のラウンジから見渡せるダイニング兼エンターテイメントスペースとして生まれ変わっている。
今回の復元プロジェクトでは、地域の伝統と職人技が最大限に尊重されている。元の木材の多くが修復、再利用されており、建物中心には伝統的なピラミッド型の煙突がそびえ立つ。また、冬の厳しい気候から建物を守る「タヴァイヨン」と呼ばれる木製タイルは、地元の職人たちが周囲の森から調達した木材を使用し、15世紀から受け継がれる伝統技術で1枚ずつ作り直されている。
チーズを乾燥させるために使われていた熟成庫はキッチンとなり、ゲストに向けた特別な料理が準備される。振る舞われるメニューは、ヴァシュランなどの特別なチーズをはじめ、ジュウ渓谷の季節の材料や伝統的なレシピを中心に構成される。
ここで過ごす時間は、ジャガー・ルクルトの時計製造を育んできた環境に深く浸る、またとない機会となる。静寂を破るのは、牛の鈴の音や松の木を揺らすそよ風の音のみ。16世紀に創業者アントワーヌ・ルクルトの祖先がたどり着いたこの地で、現代社会からの魅惑的な逃避行を心ゆくまで体験できる。
なお、「ル・シャレー」は、ブランドに招待されたゲストのみが体験できる、エクスクルーシブな場所となっている。