セイコーは、「1969 スピードタイマー」が発売された1969年に同じく誕生し、世界的な人気を集めた日産「ダットサン240Z」とのコラボレーションモデル4種を発表した。東アフリカ・サファリラリーを制したダットサン240Zのカラーリングを取り入れ、随所にロゴを配するなど、往年のラリーファンにはうれしいデザインが特徴だ。また、コラボモデルと同じ構成を持つ、3つのレギュラーモデルも追加される。
「スピードタイマー」と「ダットサン240Z」の歴史と深い関り
セイコーが、世界初の垂直クラッチとコラムホイールを採用した自動巻きクロノグラフ「1969 スピードタイマー」を発表したのは1969年のことである。当時の腕時計ではクロノグラフは手巻き式に限られており、クロノグラフを得意とする複数のブランドが、形式の異なる自動巻きクロノグラフをほぼ同時期に発表した歴史がある。
その中でセイコーの1969 スピードタイマーは、垂直クラッチを採用することでコンパクトかつ指針ずれや針飛びを抑制し、コラムホイールによって確実な操作感と安定した動作を実現していた。その優れた設計は、それ以降のクロノグラフの設計に大きく影響を与えた。
時を同じくして1969年に発表された日産「ダットサン240Z」は、スポーティーなスタイリングと優れた走行性能により、日本だけでなく北米市場を中心に世界的な大ヒットとなった。その走行性能の高さからレースのベース車両となったダットサン240Zは、過酷であることが知られる世界ラリーへの挑戦を開始。世界へ挑戦を続ける姿勢に共感したセイコーは、ダットサン240Zのモータースポーツ活動の支援を始めたのであった。
そして1971年、“SEIKO”ロゴと、カーナンバー“11”を掲げたダットサン240Zは、世界で最も過酷なレースと呼ばれ、その行程が全長6200kmにも及ぶ東アフリカ・サファリラリーで優勝を果たすという輝かしい結果を残した。
歴史的快挙をたたえるコラボレーションモデル
世界に挑んだ国産ブランドの雄姿に敬意を表して発表されたのが、カウントダウンタイマーを搭載したメカニカルモデルと、メカニカルクロノグラフモデル、ソーラークロノグラフモデル2種の4つのコラボレーションモデルである。いずれのモデルも、ダットサン240Zとのコラボレーションを示す特別な意匠が盛り込まれている。
注目は、カウントダウンタイマーを搭載したコラボモデルのRef.SBDC219
セイコー プロスペックス「スピードタイマー メカニカル ダットサン240Z コラボレーション限定モデル」Ref.SBDC219は、3針の自動巻きムーブメントCal.6R55に回転式のインナーベゼルを組み合わせて、カウントダウンタイマーの機能を持たせたモデルだ。6時位置には、東アフリカ・サファリラリーを制したダットサン240Zを象徴するロゴマークを配し、車両カラーのレッドとブラックで仕上げている。
カウントダウンタイマーとは、回転式ベゼルを任意の位置にセットして残り時間の計測を行うもので、スタートまでの待ち時間やメンテナンス作業完了の目標時間といった、モータースポーツに好適な機能である。本作では、4時位置のリュウズで操作する回転式インナーベゼルに、ダットサン240Zのメーターから着想を得た判読性の高いフォントを新たに描き起こして用いている。
ケースバックにも当時に使われていたロゴマークを刻印し、ストラップにはラリータイプとも呼ばれるパンチングメッシュを施したレザーストラップを組み合わせ、往年のラリーカーを思わせるディティールが盛り込まれている。
自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ12.0mm)。20気圧防水。世界限定2500本(国内1000本)。17万6000円(税込み)。
歴史的快挙をたたえつつモダンなテイストも持つ3つのクロノグラフモデル
メカニカルクロノグラフの「スピードタイマー メカニカルクロノグラフ ダットサン240Z コラボレーション限定モデル」Ref.SBEC029と、ソーラークロノグラフの「スピードタイマー ソーラークロノグラフ ダットサン240Z コラボレーション限定モデル」Ref.SBDL121およびRef.SBDL123は、ダットサン240Zから着想を得たレッド、ブラックの配色を各所に取り入れつつ、モダンな仕上がりとなっている。
Ref.SBEC029は文字盤やケース、ストラップもブラックに仕立てた引き締まった外観を持つメカニカルクロノグラフモデルで、12時位置に“DATSUN”のロゴマークが配される。クロノグラフに関わる針をレッドに仕上げ、スモールセコンドはブルーとして視認性を高め、時速50kmから60kmも測定可能なタキメーターを備えて実用性の高い仕上がりである。このタキメーターは1969 スピードタイマーをオマージュしたもので、航空機よりも速度帯の低いモータースポーツに適した仕様となっている。この他、ケースバックには“DATSUN”のエンブレムをモチーフとしたロゴマークが配される。
自動巻き(Cal.8R48)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(直径42.0mm、厚さ14.6mm)。10気圧防水。世界限定500本(国内120本)。47万3000円(税込み)。
Ref.SBDL121およびRef.SBDL123は、ブラックあるいはレッドの文字盤に、レッドのチャプターリングが目を引くモデルで、ブレスレットの中ゴマには、ダットサン240Zのボンネットから着想を得て、それと同様にマットブラックに仕上げていることが注目点だ。チャプターリング上の目盛りは上下に振り分けられており、判読性が高められているほか、本作にも1969 スピードタイマーをオマージュしたタキメーターが配される。ケースバックには、ダットサン240Zのオリジナルイラストが描かれている。
ソーラー発電クォーツ(Cal.V192)。フル充電時約6カ月間稼働。SSケース(直径41.4mm、厚さ13.0mm)。10気圧防水。世界限定各4000本(国内各1200本)。14万3000円(税込み)。
同時に発表された3種の新モデル
コラボレーションモデルと同時に、それらの機能を踏襲するレギュラーモデル3種も発表された。「スピードタイマー メカニカルモデル」Ref.SBDC215とRef.SBDC217は、Ref.SBDC219を踏襲するカウントダウンタイマーを備えるモデルで、Ref.SBDC215では光沢感のあるアイボリー、Ref.SBDC217ではチャコールグレーの文字盤に、オレンジを秒針先端とカウントダウンタイマーに配して、クラシカルなテイストを加えている。


インナーベゼルにはRef.SBDC219と異なるモダンなフォントが用いられて、趣きが異なる仕上がりである。自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ12.0mm)。20気圧防水。13万7500円(税込み)。
「スピードタイマー メカニカルクロノグラフ」Ref.SBEC027は、Ref.SBEC029と同様の構成を持つメカニカルクロノグラフモデルで、1969 スピードタイマーをオマージュしたタキメーターを除けばモダンな仕立てである点が注目である。チャプターリングには1/4秒までの計測を可能とするスケールが刻まれ、6時位置の12時間積算計と9時位置の30分積算計は外周部にチャンファーを設けつつ一段下げられたデザインを備えて、現代的な仕上がりとなっている。

自動巻き(Cal.8R48)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(直径42.0mm、厚さ14.6mm)。10気圧防水。37万4000円(税込み)。