腕時計でよく聞く「GMT」って何? おすすめモデルとともに解説!

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2026.03.19

腕時計における付加機構の中で、「GMT」は高い人気を集めている。GMTとは元来、国際線のパイロットなどに向けて開発された機能であったというが、現在ではグローバルなビジネスシーンや旅行などで役立つほか、デザインにアクセントが加えられる点も人気の理由に寄与している。本記事では、このGMT機能の基礎知識や使い方とともに、おすすめのGMTウォッチを紹介する。

新居賢人:文
Text by Kento Nii
[2026年3月19日公開記事]


腕時計におけるGMT機能とは?

 腕時計におけるGMT機能とは、一般的に時差の異なるふたつの地域の時刻を同時表示できる機構のことを指す。

 最もベーシックなGMT機能は、通常の時刻表示の針に加えて、24時間で1周する「GMT針」と、これに対応する24時間スケールを備えたタイプだ。1時間単位で単独稼働させられる時針またはGMT針の単独操作を組み合わせることで、任意の地域との時差を反映し、現在地の時刻と第2時間帯の両方を表示できる仕組みである。

グランドセイコー「エレガンス コレクション」Ref.SBGM255
早春の季語「雪雫」を着想源に、春の陽射しに輝く雪どけの雫を表現したホワイトダイアルを持つGMTウォッチ。リュウズの一段引きで、時針を単独稼働させ、任意の時間に設定する。自動巻き(Cal.9S66)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ14.1mm)。日常生活用防水。70万4000円(税込み)。

 さらに、GMT機能を搭載する腕時計において、24時間スケールをあしらった回転ベゼルを持つモデルも広く普及している。このタイプは、ベゼルの回転と時針の操作を組み合わせることで、時針が示す第1時間帯、GMT針が示す第2時間帯に加え、GMT針と回転ベゼルの組み合わせによる第3時間帯を同時に把握できるようになっている。またこのベゼルは、昼夜を区別するツートンカラーに彩られた、ファッショナブルなデザインのものも多く、GMTウォッチにおける人気の仕様となっている。

 なお複数時間帯を表示できるそのほかの方式としては、GMT針が時針と同様に12時間で1周するものや、センターにGMT針を配置するのではなく、ダイアル内に時針と分針を配したインダイアルをひとつまたは複数設けて、ホームタイム、ローカルタイムを表示するタイプも存在する。後者は多機能クォーツウォッチやプロユース仕様のパイロットウォッチなどで見られ、ふたつのタイムゾーンの区別をより直感的に行える仕様となっている。

そもそも「GMT」って何?

 このGMTという名前は、「Greenwich Mean Time(グリニッジ標準時)」の略称である。これは、1884年に採用された世界標準時のことで、イギリスのグリニッジ天文台を通る本初子午線(経度0度)を基準とした時刻を指す。

 この基準は、厳格な時間管理が必要とされるグローバルな交通・通信・金融などにおいて、全世界共通の尺度として用いられている。例えば、我々日本人は、日本標準時を基準として各国との時差を+2時間、-4時間のように表記するが、グリニッジ標準時から見た日本の時間は「GMT+9」と示される。世界中がこの基準と各地域との時差を把握することで、国際的な事業や取り組みであっても、各国間の柔軟な連携が可能となるのである。

 なお、現在、国際的な標準時の基準として広く用いられているのは「UTC(協定世界時)」である。これは、世界で最も正しい時計とされる「原子時計」に基づくもので、約24時間で1回転する地球の自転とのズレを1秒未満に保つため、「うるう秒」という微調整が行われてきた(うるう秒は2035年までに廃止予定)。このことから、GMT機能を「UTC」と呼称するブランドもあるが、一般的に広く普及している名称は前者の方である。

GMT機能の基本的な操作方法

Photograph by Kento Nii
筆者が2025年にwebChronosで着用レビューしたセイコー 5スポーツ「FIELD」Ref.SBSC013。写真は時針、GMT針ともに日本時間の午後2時を指している。

 そんなGMT機能だが、操作は意外と簡単である。特に高価格帯のモデルの中には、秒針を止めずに時差調整を行えるものも多く、優れた精度を維持したまま扱える。

 購入したばかりのGMTウォッチは、GMT針と時針が同時刻を示している場合が多いだろう。もし時針とGMT針が連動しておらず、それぞれが異なる時刻を指している場合は、基準を明確にするため、GMT針を深夜0時に設定し、続いて時針を同じく0時に合わせると以後の操作がしやすい。

 日本からスイスに旅行した際のタイムゾーン設定を例に挙げると、一般的な4本針(時・分・秒・GMT針)のタイプであれば、まずGMT針、時針をともに日本時間に設定する。その後、リュウズを特定の段まで引き出して、時針のみをスイスの現地時間に合わせる。日本とスイスの時差は冬であれば8時間なので、時針を8時間戻す操作となる。これにより、GMT針で日本時間を把握したまま、時針でスイスの現地時刻を確認できるという流れである。なお、時針ではなくGMT針が単独で動くタイプも存在する。


GMT機能の魅力を体感できるおすすめモデル

 以下に、GMT機能を持つ腕時計の中でも、厳選したおすすめモデルを紹介する。今回は、王道とされるタイムピースから、GMT機能のみならず複数機能を搭載した個性派モデルまでを選出した。

ロレックス「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」Ref.126710BLNR

 現代に続く腕時計の防水技術を確立した立役者であるロレックスは、GMTウォッチにおいてもパイオニアブランドのひとつとして知られている。その歴史は、1955年に開発されたGMTマスターにさかのぼる。

 1950年代は、航空技術の発達により、国際的な航空路線が広く普及し始めた時代であった。GMTマスターは、そういったパイロットたちに向けた腕時計であった。当時のアメリカを代表する航空会社であったパン・アメリカン航空の要請で製造されたという経緯を持つのだ。本コレクションは当初、回転ベゼルの操作によって出発地と到着地の時刻を同時に確認する仕様であったが、GMTマスターⅡへのリニューアルを経て、時針の単独操作が可能となり、最大3つのタイムゾーンを把握できるようになった。

Ref.126710BLNR

ロレックス「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」Ref.126710BLNR
自動巻き(Cal.3285)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。オイスタースチールケース(直径40mm)。100m防水。

 そんな「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」の現行ラインナップからは、“バットマン”の愛称で親しまれる人気モデルRef.126710BLNRをピックアップした。ブラックダイアルに、愛称の由来となったブルーとブラックのセラクロム製ベゼルインサートを組み合わせた1本である。GMT針はベゼルと合わせた鮮やかなブルーで彩られ、判読性とダイアル上のアクセントを兼ねている。黒を基調としたその表情は、プライベート、ビジネスシーンを問わず手元に合わせやすいだろう。

 オイスタースチール製ケースの直径は40mmで、オイスターブレスレットと、5列リンクのジュビリーブレスレットのバリエーションが用意されている。クラスプは誤操作で開きにくい堅牢な構造であることに加え、エクステンションリンクによって、クラスプ単体での約5mmのサイズ調整が可能だ。

 ムーブメントは、約70時間のパワーリザーブを有するCal.3285を搭載する。ブルー パラクロム・ヘアスプリングと高性能パラフレックス ショック・アブソーバの採用によって、優れた耐磁性と耐衝撃性を誇る自社製ムーブメントである。

ベル&ロス「BR-03 GMT コンパス」Ref.BR0393-COM-ST/SRB

 航空機のコックピットクロックから着想を得た、機能美が光るウォッチメイキングで知られるベル&ロスからは、世界限定500本で販売されている「BR-03 GMT コンパス」を取り上げる。方位磁針(コンパス)をデザインの着想源とし、遊び心の表現とツールウォッチらしいストイックさを兼ね備えたタイムピースである。

ベル&ロス BR-03 GMT コンパス

ベル&ロス「BR-03 GMT コンパス」Ref.BR0393-COM-ST/SRB
自動巻き(Cal.BR-CAL.303)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。SSケース(直径42mm、厚さ12.3mm)。100m防水。世界限定500本。67万1000円(税込み)。(問)ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989

 ダイアルには、太い時針と一本選の分針に加え、グレーとライトブルーで彩られた両方向に伸びる秒針が配置されている。ハイライトであるGMT機能は、コンパスの針を模したダイナミックなひし形のGMT針と、ブラックとブルーのバイカラーベゼルで構成される。各針は、ダイアル内で際立つように色分けされ、形状にも明確な差がつけられているため、確実な時刻の読み取りが可能だ。

 さらに本作は、フランジ部に方位が15°刻みで記されており、晴天時には方角を割り出せる簡易コンパスとして活用できる。これは、日中に太陽へ時針を向けると、GMT針が北の方角を指し示すという、GMTウォッチならではの機能をよりアクティブにした仕様である。

 スクエアケースは、ベル&ロスを象徴する四角に丸を組み合わせたデザインを持ち、正面の4隅にビスが打たれている。直径は42mm、厚さは12.3mmで、防水性は100mを有する。ポリッシュとサテンの仕上げ分けによって、外観の無骨さが和らげられたことに加え、軽快なブラックラバーストラップの採用も相まって、普段使いにも選びやすい1本と言える。

 内部には、約54時間のパワーリザーブを有する自動巻きムーブメント、Cal.BR-CAL.303を搭載する。ケースバックはソリッド式だ。

ボール ウォッチ「ロードマスター M モデル A」Ref.DA9100C-S1J-BKR

 ボール ウォッチは、20世紀初頭にウェブスター・クレイ・ボールによって創業されたブランドだ。彼は当時のアメリカ鉄道における、厳格なタイムスケジュールの構築に大きく貢献した人物として知られる。同ブランドからは、機械式のアラーム機能とGMT機能を併せ持つ世界限定333本の多機能ウォッチ、「ロードマスター M モデル A」を紹介する。

ボール ウォッチ ロードマスター M モデル A  Ref.DA9100C-S1J-BKR 世界限定

ボール ウォッチ「ロードマスター M モデル A」Ref.DA9100C-S1J-BKR
自動巻き(Cal.RR7379)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(直径41mm、厚さ15.2mm)。100m防水。世界限定333本。88万円(税込み)。(問)ボール ウォッチ・ジャパン株式会社 Tel.03-3221-7807

 本作では、多機能性に伴う情報量の多さを、多層的なダイアルによってまとめ上げている。中央にアラームの時刻を設定するディスク、その外周に赤いGMT針、フランジ部には24時間表示が配された。このGMT針とフランジ部のスケール、さらに赤と黒のツートンカラーのセラミックス製インサートが入った回転ベゼルを併用することで、第3時間帯までの表示を可能としている。

 また、ダイアル上のインデックスや針には、ボール ウォッチを象徴するテクノロジー「自発光マイクロ・ガスライト」が施されており、暗所での視認性にも優れる設計だ。

 ケースおよびブレスレットには、高品質な904Lステンレススティールが使用されている。5000Gの耐衝撃性と100m防水を誇り、厚さ15.2mmの肉厚なケースに見合う堅牢性の高さが特長だ。ケースサイドにはふたつのリュウズを備え、2時位置のリュウズで時刻調整とGMT針の操作を、4時位置のリュウズでアラーム設定を行えるようになっている。この設定時刻になると、ムーブメント外周のゴングをハンマーが打ち鳴らし、時刻が知らされる仕様だ。

 ムーブメントは、Cal.RR7379を搭載し約45時間のパワーリザーブを有している。トランスパレントバックから、そのアラーム機構の駆動を観察できる点も、本作で特筆すべき魅力と言える。


2026年の新作発表を前に、ロレックス「GMTマスターⅡ」をおさらいしよう

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