月という古典的なモチーフを、いかに現代的に表現するか。その問いに対するひとつの解が、オリエントスターの新作「M45 F8 メカニカルムーンフェイズ」だ。過度な装飾を排し、バランスと抑制によって美を導き出した本作は、ムーンフェイズの新たな魅力を静かに提示するものだ。『ウォッチタイム』アメリカ版に携わるライター・編集者のマーティン・グリーンが解説する。

[2026年4月1日掲載記事]
控えめなエレガンスの新章「オリエントスター M45 F8 メカニカルムーンフェイズ」
月は時計製造における定番のモチーフであり、多くの時計愛好家がコレクションの過程で一度はムーンフェイズ機構に引かれるものだ。オリエントスター M45 F8 メカニカルムーンフェイズは、その魅力をいっそう高めたモデルであり、抑制の効いた美意識によって表現されている。
通常モデルの「オリエントスター M45 F8 メカニカルムーンフェイズ」
日本人は古来より、バランスの中に美を見出すことに長けており、その多くは極めて純粋なアプローチによって達成されてきた。本作においても、その思想が明確に表れているように思えるのだ。

手巻き(Cal.F8A62)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ11.9mm)。3気圧防水。41万8000円(税込み)。
文字盤はシルバーカラー仕上げで、細身のローマ数字インデックス、ブルースティールカラーのリーフ針、そして伝統的なムーンフェイズ機構を備える。文字盤上のテキストは極限まで抑えられ、3時位置にブランド名とロゴのみが配置された、視線を引く設計だ。
さらにオリエントスターは、12時位置のパワーリザーブ表示に目盛りすら設けていない。約70時間という十分なパワーリザーブを備えながら、それをあえて強調しない姿勢は特筆に値する。
ムーブメントCal.F8A62
その控えめなエレガンスは、ケースにも引き継がれている。ステンレススティール製で直径39.5mmのケースは、比較的細身のベゼルと相まって、優れたプロポーションを備える。
リュウズも同様に節度あるデザインだが、ドラム状の造形によってさりげない個性が加えられている。刻みを施したエッジは心地よい操作感をもたらし、この腕時計を駆動するムーブメント、Cal.F8A62との直接的なつながりを感じさせる。

このムーブメントは自社製であり、自社開発のシリコン製ガンギ車を備える点も特徴だ。オリエントスターはこの技術的要素に誇りを持っており、ケースバックのサファイアクリスタル越しにその構造が視認できるよう、ブリッジの設計も工夫されている。仕上げも視覚的に優れたもので、整然と施されたジュネーブ・ストライプがその美観を際立たせているのである。
グレーダイアルの限定モデルも
魅力的な通常モデルに加え、オリエントスターは特別仕様の限定モデルも発表。

交換用コードバンが付属するプレステージショップ仕様もこの限定モデルには存在する。手巻き(Cal.F8A62)。20石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ11.9mm)。3気圧防水。公式オンラインストア限定20本。45万1000円(税込み)。
こちらは、プレアデス星団を表現したグラデーションのグレーダイアルを特徴とする。特別に調合された塗料に加え、主要な星にはシルバーのドットを配し、その上に厚みのある透明コーティングを施すことで奥行きを生み出した。さらにローマ数字インデックスは専用のパッド印刷によって仕上げられ、立体感を強調した作りとなっている。
その結果、非常に印象的な表情が生み出されている。ムーンフェイズディスクも同様で、月のモチーフにはホワイトのマザー・オブ・パールが用いられている。これは太陽光を反射する月の神秘的な輝きを想起させるものだ。



