日本、そして世界を代表する著名なジャーナリストたちに、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2026で発表された時計からベスト5を選んでもらう企画。Gressive編集長であり、ベテラン時計ジャーナリストの名畑政治は、「これまでのラインナップにないような斬新さや大胆さを持ち、良い意味で裏切ってくれるようなもの」を基準としつつ、個人的趣味も入ったモデルを選出する。

カルティエ「サントス デュモン」

手巻き(Cal.430 MC)。18KYGケース(縦43.5×横31.4mm、厚さ7.3mm)。日常生活防水。予価858万円(税込み)。2026年6月発売予定。(問)カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00
時計愛好家なら一度は手にしたいと願う伝説の名品。この新作では細かなリンクの新しいブレスレットと、硬質なストーンダイアルを組み合わせることで新たな魅力を獲得したように思う。
ショパール「L.U.C 1860」

自動巻き(Cal.L.U.C 96.40-L)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。ルーセントスティール™製ケース(直径36.5mm、厚さ 8.20mm)。30m防水。421万3000円(税込み)。(問)ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922
きめ細かなギヨシェ文字盤は、なんとも言えない渋いブルーに染められ、グレーのシボ革製ストラップと絶妙なマッチングを見せる。カジュアルなセータースタイルに合わせたいプレシャスな1本。
クロノスイス「パルスGMT エナメル スカイゴールド」

自動巻き(Cal.C.6002)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18Kゴールドケース(直径41mm、厚さ13mm)。10気圧防水。世界限定50本。1980万円(税込み)。(問)栄光時計 Tel.03-3837-0783
立体感溢れるギヨシェ文字盤に華麗なパイヨンエナメル装飾を加えたラグジュアリーなGMT。12時間表示のホームタイム、24時間表示の第2時間帯、センターの分針と秒針で2地域の時刻表示を実現している。
ペキニエ「ロイヤル パリ クロノ」

自動巻き(Cal.Initial® Chronograph)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ12.7mm)。5気圧防水。要価格問い合わせ。2026年9月発売予定。(問)カリブルヴァンテアン Tel.03-6206-2333
ペキニエがマニュファクチュール宣言をして自社製キャリバーを開発した当初から追っているが「ついにクロノグラフまで来たか!」と驚いた。陰影に富んだダイアルと39.5mmのケース径も良いね。
ロレックス「オイスター パーペチュアル 41」

自動巻き(Cal.3230)。31石。28800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×18KYGケース(直径41mm)。100m防水。142万8900円(税込み)。(問)日本ロレックス Tel.0120-929-570
今年はロレックスのオイスターケース誕生100周年。これを記念する本作は随所に100周年を祝う意匠を取り入れた希少品。日付なしで18Kゴールドとオイスタースチールのコンビネーションというのも良いね。
総評
ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2026で発表された新作を総覧すると、やはりシンプル化、小径化、ヘリテージモデルへのリスペクトといったキーワードが浮かんできた。勢い私のチョイスもそのようなモデルに傾倒するのだが、どんなに個人的に好ましく感じても、これまでにもあったようなモデルはあえて除外し、これまでのラインナップにないような斬新さや大胆さを持ち、良い意味で裏切ってくれるようなものを極力、選ぶように心掛けた。まぁ、中にはそうでもないベーシックなモデルも混ざっているが、これは個人的な趣味なのでご容赦いただきたい。
とはいえ、もはや装飾過多なモデルや単なるトゥールビヨンには心を動かされない。結局、昔から言ってきたように本当に良質な腕時計とは極めてシンプルなものという境地に行き着くように思う。もちろん、この後も各社から新作は発表されるだろうし、日本に持ち込まれたときに、より一層、ゆっくりと吟味する機会も得られるに違いない。その時、私はどんなモデルを皆さんにおすすめできるのか。それもまたこれからの楽しみのひとつなのである。
選者のプロフィール
名畑政治
ブランド腕時計の正規販売店紹介サイトGressive編集長にして、日本における時計ジャーナリストの第一人者。1994年よりスイスの大規模時計展示会を取材し続け、得た見識は業界随一だ。クロノス日本版では特集記事の執筆のほか、巻末の「Chronos Top10 Ranking」で選考委員を務める。近年は犬派から猫派に転向(もちろん犬も好き)。共著に「カルティエ時計物語」。



