2026年4月14日より開催されているウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ。例年通り高い注目を集めているロレックスは、今年、初代「オイスター」の誕生から100周年というアニバーサリーイヤーを迎える。当記事では、これを記念する「オイスター パーペチュアル」のスペシャルモデルを筆頭とする、多彩な新作タイムピースを一挙に紹介する。新デザイン、ムーブメントを採用して復活を遂げた「ヨットマスターII」にも注目だ。

Text by Kento Nii
[2026年4月15日公開記事]
より厳格な「高精度クロノメーター」の導入
2026年のロレックスの大きなトピックとして、より厳格な「高精度クロノメーター(Superlative Chronometer)」認定の導入が挙げられる。

これまでの認定では、ケーシング後の完成品に対し、精度、防水性、自動巻き、パワーリザーブに関する検査項目が設けられていた。その基準は極めて厳格であり、特に精度は、ケーシング後で日差-2〜+2秒という精密さを満たしていなければならない。これは、ムーブメント単体での公式認定基準をはるかに凌ぐ水準である。
新たな高精度クロノメーター認定では、これらの基準に加え、さらに「耐磁性」「信頼性」「持続可能性」という3つの基準が導入される。いずれも、各タイムピースの設計および製造の全段階にわたって適用され、パフォーマンスに直結する何百ものチェックと検証が実施されるという。
「オイスター パーペチュアル 41」
1926年に誕生した「オイスター」は、ミドルケースに対して、ベゼル、ケースバック、リュウズの全てをねじ込む画期的な構造によって、高い防水性と防塵性を実現したマイルストーンとして知られる。その誕生から100年を迎えた2026年、節目をたたえる特別なアニバーサリーモデルとして、「オイスター パーペチュアル 41」が披露された。

自動巻き(Cal.3230)。27石。28800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×18KYGケース(直径41mm)。100m防水。142万8900円(税込み)。
本作では、特別仕様として、18Kイエローゴールドをドームベゼルとリュウズのみに限定した、新たな構成の「イエローロレゾール」が取り入れられている。ゴールドをアクセントに用いたこのデザインは、オイスターウォッチの初期に見られたケースデザインから着想を得たものであり、控えめながら、格調高い印象を与える。
サンレイ仕上げのスレートカラーダイアルにも、記念モデルならではの特別なディテールが随所に見られる。ミニッツトラックの5分間隔の目盛りにはグリーンの四角形が配され、パッド印刷された「ROLEX」のブランド名にも、ブランドのシンボルカラーであるグリーンが使用されている。また、針、インデックス、王冠のロゴにはゴールドが用いられ、ダークトーンとゴールドとのコントラストが際立つ表情に仕上げられた。

内部には、温度変化や衝撃に強いブルー パラクロム・ヘアスプリングや、独自設計の高性能パラフレックス ショックアブソーバーを備えたCal.3230が搭載される。香箱の構造とエスケープメントの優れた効率により、約70時間のロングパワーリザーブを有している。

時、分、秒のみを表示するオイスター パーペチュアルは、クロノメーター腕時計の最も純粋な形を体現するタイムピースとして、絶えず再解釈され、ブランドの技術の粋が注ぎ込まれてきた。現代の腕時計における技術的なブレークスルーであるオイスターケースのアニバーサリーモデルにおいて、実に好適な選択肢と言えるだろう。
「オイスター パーペチュアル 36」
普遍的かつトラディショナルな36mm径ケースを持つ「オイスター パーペチュアル 36」からは、独創的なダイアルバリエーションが登場している。

自動巻き(Cal.3230)。27石。28800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径36mm)。100m防水。99万6600円(税込み)。
本作では、1970年代末にブランドで初導入され、瞬く間にアイコンとなった「ジュビリーモチーフ」が、大胆なマルチカラーのダイアルで再解釈されている。「R-O-L-E-X」の文字が幾何学的に並ぶ、この鮮やかなカラーパレットには、実に10色ものラッカー塗料が使用されたという。

ロレックスは、このマルチカラーの実現に向けて、ダイアルに色を一度に塗布するのではなく、1色ずつ順番に重ねていく手法を採用した。このメソッドでは、モチーフを構成するすべての文字や形状の重なりを緻密に計算する必要があり、アヴァンギャルドであると同時に、ロレックスの優れたダイアル表現技術が窺える意匠となっている。
ムーブメントは、先述のCal.3230を搭載し、優れた信頼性とともに、約70時間のパワーリザーブを確保している。
「オイスター パーペチュアル デイトジャスト 41」
1945年の誕生以来、ロレックスがクラシックウォッチのアーキタイプとして掲げ続けてきた「デイトジャスト」。タイムレスかつアイコニックな本コレクションには、グリーンラッカーの“オンブレ”ダイアルをまとった新作が登場した。

自動巻き(Cal.3235)。31石。28800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×18KWGケース(直径41mm)。100m防水。173万1400円(税込み)。
この中心から縁に向かって暗くなるグラデーションカラーは、ロレックスが1980年代に発表し、2019年より「デイデイト」を中心に再び使用されるようになったダイアル表現である。本作では、ベースプレートに鮮やかなグリーンラッカーを塗布したのち、ブラックラッカーを同心円状に吹き付けることで、ダイアル外周に向かって深みを増す絶妙なトーンが演出されている。

直径41mmのオイスターケースは、同素材のフラットベゼルに加え、18Kホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルを組み合わせた「ホワイトロレゾール」仕様が用意される。また、ブレスレットには、3列リンクのオイスターブレスレットに加え、エレガントなジュビリーブレスレットが用意される。
ムーブメントは、従来から引き続きCal.3235を搭載する。温度変化や衝撃に対する優れた耐性に加え、約70時間のパワーリザーブを有しており、シグネチャーである、日付の瞬間的な切り替わり機能を備えている。
「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」
2024年に生産終了したレガッタクロノグラフ「ヨットマスター II」が、デザインとムーブメントを完全に刷新して復活を遂げた。ラインナップは、オイスタースチールと18Kイエローゴールドケースの2種で展開される。
自動巻き(Cal.4162)。47石。28800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径44mm)。100m防水。300万5200円(税込み)。
自動巻き(Cal.4162)。47石。28800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYGケース(直径44mm)。100m防水。857万5600円(税込み)。
今作における最大のトピックは、操作方式の変更と、それに伴うビジュアルの刷新だ。従来のヨットマスター IIでは、カウントダウンのプログラミングに際して、ベゼルを90度回転させてリセットボタンを押し、リュウズで計測時間をセットしてからベゼルを戻すという、複雑な手順を要していた。しかし、新世代モデルでは、この操作方式が大きくリニューアルされ、計測時間のセットが下部のプッシャーのみで完結するという、簡潔かつ直感的な仕様となった。

さらに特筆すべきは、ダイアル上の表示機構も、カウントダウン機能の分針と秒針が「反時計回り」へ動く仕様となった点だ。ブランド初となったこの仕様は、ゼロに向かって進む残り時間を、より視覚的かつ直感的に把握できる。
ベゼルのデザインも一新されている。従来のカウントダウンスケールはダイアル外周のフランジへと移動し、双方向回転式のブルーセラクロムベゼルインサートは、新たに60分までのスケールへと変更された。この変更により、2つのブイ間のセーリング時間などが計測可能になっただけでなく、時計全体がいっそうダイバーズウォッチ然としたフェイスを備えることとなった。

これらの複雑なメカニズムの核となるのが、最新の自社製ムーブメントCal.4162だ。カウントダウン機能は、コラムホイールと垂直クラッチを組み合わせた堅牢なメカニズムによって制御されており、正確な計測のスタートを実現している。また、特許取得の「クロナジー エスケープメント」の搭載によって、高いエネルギー効率と信頼性を両立。香箱の構造を最適化したことで、約72時間のロングパワーリザーブを確保している。
「オイスター パーペチュアル デイデイト 40」
1956年に誕生した「デイデイト」は、その名の通り、ダイアルの12時位置に弧を描く小窓で曜日をフルスペルで表示する機構を持ち、貴金属のみをケースに用いてきた格式高いコレクションだ。その新作として、新素材「ジュビリーゴールド」を外装に用いたプレシャスなモデルが登場した。

自動巻き(Cal.3255)。31石。28800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18Kジュビリーゴールドケース(直径40mm)。100m防水。要価格問い合わせ。
本作におけるハイライトであるジュビリーゴールドは、ロレックスが独自に構想、開発、製造した全く新しい18Kゴールド合金である。淡いイエロー、温かみのあるグレー、そして柔らかなピンクのトーンを帯びており、これまでのゴールド素材のすべての要素を兼ね備えながら、それらとは異なる輝きと質感を有している。
本作では、このジュビリーゴールドを用いた外装に、石英の一種である天然石、ライトグリーンアベンチュリンから切り出されたダイアルを採用することで、エクスクルーシブなゴールドの輝きをいっそう引き立てている。

ブレスレットには、1956年の初代モデルとともに発表されて以来、デイデイトと一部の貴金属製デイトジャストのみに採用が許される「プレジデントブレスレット」を備える。3列の半円形リンクで構成されるこのブレスレットにも18Kジュビリーゴールドが惜しみなく用いられ、コンシールドタイプのクラウンクラスプが取り付けられている。

ムーブメントは、既存モデルから引き続きCal.3255を搭載する。磁場に強いクロナジー エスケープメントやブルー パラクロム・ヘアスプリング、高性能パラフレックス ショックアブソーバーなどが組み込まれており、信頼性が確保されている。パワーリザーブは約70時間を有する。
「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」
クロノグラフウォッチ「コスモグラフ デイトナ」には、伝統的なエナメルダイアルが目を引く新バリエーションが追加された。オイスタースチールとプラチナを組み合わせた、コレクション史上初となる「ロレジウム」仕様で展開される。

自動巻き(Cal.4131)。47石。28800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SS×Ptケース(直径40mm)。100m防水。要価格問い合わせ。
本作のホワイトエナメルダイアルは、水と混合したエナメルパウダーを塗布し、800℃以上の窯で焼き上げる伝統的なグラン・フー・エナメルの技法を用いている。ただし、本作では従来の金属製ベースではなく、メインダイアルと3つのカウンター用のセラミック製プレートに直接エナメルを施し、ガラス化の焼成後に真鍮のベースへセットするという、極めて特殊かつ難易度の高い製造工程を経ている。

このしっとりとした質感のダイアルに合わせて、ベゼルもメタリックな光沢が与えられた新仕様となっている。これは、タングステンカーバイドを豊富に含むジルコニアから特別に開発された、アンスラサイトカラーのセラクロムベゼルインサートによるものだ。

搭載するムーブメントは、コラムホイールと垂直クラッチによって、極めて高精度なクロノグラフの作動を実現したCal.4131だ。特別仕様として、透かし彫りが施されたイエローゴールド製のローターが取り付けられている。

「オイスター パーペチュアル」
オイスター パーペチュアルの小径モデルにおける新たな選択肢として、18Kイエローゴールド製の「オイスター パーペチュアル 28」と、18Kエバーローズゴールド製の「オイスター パーペチュアル 34」がラインナップに加わった。
自動巻き(Cal.2232)。31石。28800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KYGケース(直径28mm)。100m防水。445万8300円(税込み)。
自動巻き(Cal.2232)。31石。28800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KERGケース(直径34mm)。100m防水。565万700円(税込み)。
華やかなこれら2モデルで特筆すべきは、ベゼルを除くケースとブレスレットの全面に、サテン仕上げを施した金無垢ウォッチである点だ。この、フルゴールドの外装とサテン仕上げの組み合わせは、ロレックス史上初めての仕様であり、佇まいに繊細なタッチを添えるとともに、ポリッシュ仕上げのベゼルを際立たせている。
また、ダイアルの3、6、9時位置のアワーマーカーに天然石を取り入れている点も、これまでのロレックスのウォッチメイキングで見られなかった装飾である。28mmモデルにはグリーンストーンラッカーダイアルに多彩な緑のトーンを見せるヘリオトロープを、34mmモデルにはブルーストーンラッカーダイアルに濃淡の青が交錯するデュモルティエライトが組み合わされている。

内部には、特許取得のシリコン製シロキシ・ヘアスプリングや常磁性のニッケル・リン合金製ガンギ車を組み込み、約55時間のパワーリザーブを確保した完全自社製ムーブメントCal.2232が収められており、洗練を極めた美学と最新の時計製造技術が見事に融合を果たしている。



