ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで発表された2026年新作時計のうち、ケース径38mm以下の注目腕時計5本を紹介する。現代の男性向けモデルの標準は直径40mm前後というのが多く、直径38mmを下回ると小ぶり腕時計に分類される。昨今は、より小径なモデルが主流だった時代のトリビュートや、ユニセックスモデルの拡充などの背景により、ケース径38mm以下のモデルが充実してきており、その中でも注目のモデルを紹介してゆく。

Text by Shin-ichi Sato
[2026年4月28日公開記事]
注目度の高まる小ぶりな腕時計に注目して紹介
今回は、現代の男性向けモデルの標準となる直径40mmよりも小ぶりな、ケース径38mm以下のモデルに注目しよう。昨今は、より小径なモデルが主流だった時代のトリビュートや、ユニセックスモデルの拡充などの背景により、小ぶりな新作が多く発表されている。小径ケースは大ぶりなものに比べて装着感が良い場合が多く、また、手首の細いユーザーにとっても喜ばしい傾向だ。そこで、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで発表された2026年新作時計のうち、ケース径38mm以下の注目腕時計5本を紹介してゆこう。
カルティエ「ロードスター」Ref.CRWSRD0019
最初に紹介するのは、待望の復活を遂げたカルティエ「ロードスター」のうち、ミディアムモデルにあたるRef.CRWSRD0019である。ロードスターは2002年に登場したコレクションであり、流線形のトノー型ケースや、リュウズからベゼル、凸型のレンズへとつながるラインが特徴であった。今般の復活では、これらのアイコニックなスタイリングを継承しつつ、改良も加えられている。従来モデルではラグの先端にネジを取り付けていたが、新デザインではそれらを廃したうえでベゼル四隅にリベットを与え、より洗練された印象に仕上げているのだ。

自動巻き(Cal.1899 MC)。SSケース(縦42.5×横34.92mm、厚さ9.7mm)。10気圧防水。予価154万4400円(税込み)。10月発売予定。(問)カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00
紹介するミディアムモデルのケースサイズは、縦42.5mm、横34.92mmと小振りで、ユニセックスで楽しむことができるサイズ感である。ステンレススティールモデルのRef.CRWSRD0019は、時分秒針とローマンインデックスがブルーで、落ち着いた光沢感のあるオパライン文字盤とのコントラストの映える仕上がりだ。ローマンインデックス部には、同心円状のパターンが施され、視覚的な変化を加えつつ、反射を抑えて視認性も確保する仕立てとなる。
スポーティーな3連タイプのブレスレットには「クイックスイッチ」を採用し、ワンタッチでケースから脱着可能で、付属のアリゲーターレザーストラップと付け替えて楽しむことができる。こちらも、現代のニーズに合わせた改良と言えるだろう。
紹介するステンレススティールモデルのほか、18Kイエローゴールド、ステンレススティールと18Kイエローゴールドのコンビネーションモデルがラインナップされている。
ブルガリ「オクト フィニッシモ」Ref.104351
ブルガリの誇る薄型コレクション「オクト フィニッシモ」にも、コンパクトなケース径37mmモデルが追加された。「オクト」は、古代ローマ建築に着想を得た幾何学的な八角形のシェイプを持ち、多数のファセットを組み合わせることで立体感を強調した造形が特徴だ。“フィニッシモ”はイタリア語で“非常に薄い”ことを意味し、オクト フィニッシモは薄い仕立てでありながら、オクトコレクションに共通する立体感や存在感を備える点が魅力である。

自動巻き(Cal.BVF100)。毎時2万1600振動。パワーリザーブ約72時間。Tiケース(直径37mm)。30m防水。予価270万6000円(税込み)。2026年9月発売予定。(問)ブルガリ・ジャパン Tel.0120-030-142
本記事で取り上げるのは、今般発表されたケース径37mmモデルの中でも、コレクションを代表する存在と言えるチタン製のオクト フィニッシモRef.104351だ。ブレスレットはコンパクトなケースに最適化されており、ケース造形を反映した直線を基調とするデザインが特徴だ。また、軽量なチタンの採用によって全体の重量は約65gに抑えられ、小ぶりなサイズ感も相まって、良好な装着性を実現している。さらに、チタン特有のダークな色調は、建築物を思わせる立体感を際立たせている。

搭載するのは既存ムーブメントではない。約3年間の開発の末に誕生した、マイクロローター採用のCal.BVF100だ。直径31mm、厚さわずか2.35mmにまでサイズを抑えつつ、パワーリザーブは約72時間である。このスペックは、直径40mmのオクト フィニッシモに搭載されるCal.BVL138に比べて約12時間も長いもので、設計の最適化の賜物であろう。
このように、従来のオクトコレクションの持つ立体感を備えつつ、小ぶりかつ薄く軽量に仕立てられ、実用性も高い仕上がりであり、要注目なモデルとなっている。
ショパール「L.U.C 1860」Ref.168860-3005
完成度の高いドレスウォッチとして評価の高い、ショパール「L.U.C 1860」にも新作が追加された。ショパールは、1860年創業という長い歴史を持つが、自社製ムーブメントまで手掛けるマニュファクチュールとしての名声は1996年からとなる。本年は同ブランドのマニュファクチュール設立30周年となり、L.U.C 1860の新作は、この記念モデルに位置付けられる。

自動巻き(Cal.L.U.C 96.40-L)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。ルーセントスティール™製ケース(直径36.5mm、厚さ 8.20mm)。30m防水。421万3000円(税込み)。(問)ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922
2023年デビューのL.U.C 1860は、マニュファクチュール初の自社製ムーブメントを搭載した初代「L.U.C」をインスピレーション源としたドレスウォッチである。今般発表された新作のケースはルーセントスティール™製で、直径36.5mm、厚さは8.20mmと、小径・薄型のドレッシーな仕立てとなっている。
記念モデルのための特別な意匠として、文字盤にはマニュファクチュールの近くを流れる、アリューズ川から着想を得たブルーが採用されている。また、ブランドロゴから放射状に広がるギヨシェ彫りのサンバースト模様は、初代L.U.Cを彷彿とさせる仕上がりだ。組み合わされるライトグレーのストラップとサイドを抑えた文字盤のブルーのコーディネートは、ドレッシーな仕立てにモダンなテイストを加えている。

搭載される薄型のCal.L.U.C 96.40-Lは、極めて高いレベルの仕上げが施されるとして、好事家から高く評価されるムーブメントだ。マイクロローターの採用により、ムーブメント厚さは3.30mmに抑えられており、これが本作のシルエットを実現する重要な要素となっている。また、薄型でありながら、スイス公式クロノメーター検定協会認定のCOSCクロノメーターかつ、ツインバレルの採用による約65時間のパワーリザーブを確保しており、現代的な性能を有している。
ジャガー・ルクルト「マスター・コントロール・クロノメーター・デイト」Ref.Q4158120
本年も超弩級のコンプリケーションを発表したジャガー・ルクルトであるが、それ以外にも注目を集めたのが、「マスターコレクション」に追加された「マスター・コントロール・クロノメーター」である。くさび型インデックスとアラビックインデックスの組み合わせなど、従来の「マスター・コントロール」との共通点を持ちつつ、最も大きく異なるのが、新採用のブレスレット一体型のケースだ。

自動巻き(Cal.899)。32石。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径38mm、厚さ7.9mm)。5気圧防水。248万6000円(税込み)。(問)ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833
発表された新作のうち、「マスター・コントロール・クロノメーター・デイト」はケース径38mmと、コンパクトなスタイリングが特徴だ。ケースからブレスレットにつながるシルエットの持つスポーティーさと、厚さ7.9mmの極めて薄い仕立てによるエレガントさが共存しており、今後人気を集めそうだ。
文字盤デザインは、中央に時分秒、3時位置に日付表示を配したシンプルなデザインで、ビジネスからカジュアルまで幅広くマッチしそうだ。取り上げたステンレススティールモデルは、サンレイ仕上げを施したブルーグレーグラデーション文字盤のコーディネートとなる。サンレイ仕上げによる放射状の光の反射と、外周に向かってダークに変化する色調が組み合わさり、奥行き感と表情が豊かなデザインとなっている。
オリス「オリス スター エディション」Ref.733 7813 4151-07 5 17 02
ここまで直径38mmを基準として選出してきた。この数値は、現代基準で小ぶりなサイズ感となる目安として受け入れていただけることだろう。一方で、この基準は時代によって変化しており、例えば1960年代では35mm前後が男性向けの標準サイズとして扱われていた。

自動巻き(Cal.Oris 733)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約41時間。SSケース(直径35.0mm、厚さ11.1mm)。5気圧防水。36万3000円(税込み)。(問)オリスジャパン Tel.03-6260-6876
このような、“当時の基準では標準的だが現代基準で小ぶり”というサイズ感を提案している新作が、オリスの「オリス スター エディション」である。本作は、1966年発表の「オリス スター」を復刻したモデルだ。ではなぜ、オリスはこのモデルを復刻したのかについて、歴史を振り返りつつ解説する。
スイスでは、1930年代にスイス時計法が制定され、価格や生産、ムーブメント供給を統制することで過当競争を抑制した一方、技術革新の自由が制限されていた。当時のオリスでも、より高精度が期待できるスイスレバー脱進機の導入を制限されてしまい、ピンレバー脱進機を使わざるをえない状態にあった。この状況を打破するため、法学者ロルフ・ポートマン博士を1956年に招聘。ポートマン博士の規制撤廃への尽力の結果、1965年に同法は廃止されることとなった。新技術の導入が可能となったオリスは、1966年にスイスレバー脱進機を採用し、高い精度を実現したフラッグシップモデルのオリス スターを発表したのであった。そして2026年の今年は、オリス スターの発表60周年にあたり、記念モデルとしてオリス スター エディションが企画されたのだ。

本作のケース直径は35.0mmで、モダニズムデザインを感じさせるバレル型が特徴だ。ケースには放射状にヘアライン仕上げが施され、エッジ部はポリッシュ仕上げとなり、曲線を主体としたシルエットでありながらシャープな印象に仕立てられている。また、太いツインバトンインデックスと、その形状と呼応するスクエア型の時分針によって、力強さのある文字盤デザインとなっている。ここに、視認性を助ける十字のデザインと、3時位置の非対称のデイト窓が配され、これらがアクセントとなっている。




