スイス・ジュネーブの旧市街に位置する、F.P.ジュルヌのブティックとレストランを訪問

2026.02.11

F.P.ジュルヌが3番目にオープンした直営ブティックが、ジュネーブの旧市街にある。F.P.ジュルヌ本社のお膝元にある店舗だが、世界中に顧客を持つだけあって、その間口は実に広い。ジュネーブに行く機会がある人は、ふらっと寄って時計を見るだけでも、F.P.ジュルヌの世界観に浸れるはずだ。

F.P.ジュルヌ ジュネーブ ブティック

奥山栄一、三田村優:写真
Photographs by Eiichi Okuyama, Yu Mitamura
広田雅将(本誌):取材・文
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2026年3月号掲載記事]


ロンジュマール広場に面した「F.P.ジュルヌ ジュネーブ ブティック」

F.P.ジュルヌ ジュネーブ ブティック

F.P.ジュルヌのジュネーブ ブティックは、ロンジュマール広場に面した、ホテル・ロンジュマールの1階にある。2007年4月のオープン以来、基本的な造作は不変だが、10周年を機にリニューアルされている。F.P.ジュルヌは生産本数が少ないだけあってすぐに買える時計ではないが、ふらっと立ち寄って店頭にある時計を鑑賞するにはうってつけの場所だ。住所:Place de Longemalle 13, CH-1204, Geneva, Switzerland/電話番号:+41 22 810 33 33/E-Mai:l geneve@fpjourne.com/営業時間:月曜から金曜は午前10時から午後6時半まで、土曜は午前10時から午後5時まで営業。日曜定休。

「F.P. ジュルヌのジュネーブ ブティックとは、ミラノにおけるスカラ座のようなものです」

 こう語るのは、マネージャーのトニー・タンコフだ。ジュネーブの歴史的な中心地であるロンジュマール広場に面したこのブティックが開設されたのは2007年4月。

F.P.ジュルヌ ジュネーブ ブティック

F.P.ジュルヌ ジュネーブ ブティック

「ここにブティックを置いたのは私たちが初でした。その後、各社が店を展開するようになり、今や時計通りのようになりましたね」(タンコフ)

 規模こそ大きくはないが、F.P. ジュルヌのブティックは顧客の厚さと広さでよく知られている。「このブティックはお客様のレベルが高いのです。というのも、全世界からお見えになるからですね。中には信じられないようなお客様も、20から30名ほどいらっしゃいますよ」。確かに、F.P. ジュルヌの時計を買うなら、お膝元のジュネーブで、と考える人がいるのは分かる。

F.P.ジュルヌ ジュネーブ ブティック

F.P.ジュルヌ ジュネーブ ブティック

 このブティックのスタンスは、良いお客様との出会いを広げていくこと、だという。「私たちは、時計を投資価値ではなく、本当に好きな人たちに販売したいのです。ですから、顧客の友人という方は大いに歓迎ですね。そして、古いお客様と新しいお客様が分かり合えればいい」。ジュネーブのブティックが、気軽に入れる佇まいを維持し続ける理由だ。

 正直、日本に住むコレクターであれば、東京ブティックという選択肢がある。世界で初めてオープンした日本のブティックは、他のブティックとは扱いがもうひとつ異なる。しかし、F.P. ジュルヌの本社があるジュネーブに立ち寄る機会があれば、このブティックは訪問する価値は大いにあるだろう。

F.P.ジュルヌ ジュネーブ ブティック

2007年から店長を務めるのがトニー・タンコフ(右)だ。「F.P.ジュルヌの腕時計をお買い求めくださったお客様のお子様もいらっしゃるようになりましたね」。彼らのフレンドリーな接客が、世界中にVIP顧客を抱える所以か。
クロノメーター・スヴラン

クロノメーター・スヴラン
2005年にリリースされたクロノメーター・スヴランは、F.P.ジュルヌのアイコンにして、永遠の定番である。もちろん、すぐに買える腕時計ではないが、触ると人気の理由は分かるはず。装着感に優れるF.P.ジュルヌのコレクションにあって、本作は頭ひとつ抜きんでている。手巻き(Cal.1304)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約56時間。Ptケース(直径40mm、厚さ8.6mm)。3気圧防水。参考商品。
トゥールビヨン・スヴラン ジョワイユリー ディアモン

トゥールビヨン・スヴラン ジョワイユリー ディアモン
トゥールビヨン・スヴランをベースに合計93個、ケースに22.59ctのバゲットカットのダイヤモンドをあしらった超大作。文字盤に対して垂直になるように配されたトゥールビヨンキャリッジの回転速度は、前作の倍である30秒に速められた。手巻き(Cal.1519)。32石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約80時間。Ptケース(直径44mm、厚さ13.76mm)。3気圧防水。参考商品。
エレガント “ジーノ ドリーム”

エレガント “ジーノ ドリーム”
こちらはタイタリットケースのモデル。バゲットセッティングに見える石留めは、爪を使ったもの。軟らかいチタン系素材だと強固に支えられないためだが、飛び出した爪をデザイン上のアクセントとしている。新開発の黒く光る夜光塗料を文字盤全面に塗布して、実用性を高めている。クォーツ(Cal.1210)。Titalytケース(縦48×横40mm、厚さ7.35mm)。3気圧防水。参考商品。
エレガント “ジーノ ドリーム”

エレガント “ジーノ ドリーム”
フランソワ-ポール・ジュルヌの盟友にして、ビジネスパートナーだった“ジーノ”の名で皆に親しまれたセルジュ・キュクロヴィッチ。彼を追悼して作られたのが、エレガントのいわゆるレインボーカラーだ。その鮮やかな色味は、カラフルな服装を好んだジーノの姿を彷彿とさせる。ベゼルにはあえて貴石や半貴石ではなく、彩色したサファイアクリスタルを採用。色味を安定させただけでなく、価格も抑えている。参考商品。


ドミニク・ゴーティエがシェフを務める「F.P.ジュルヌ レストラン」

F.P.ジュルヌ レストラン

レストラン内には、F.P.ジュルヌの傑作時計にまつわるビジュアルが至る所に飾られており、F.P.ジュルヌ愛好家には間違いなく特別なスペースである。「F.P.Journe Le Restaurant」。住所:Rue du Rhône 49, CH-1204, Geneva, Switzerland/電話番号:+41 22 320 49 49/E-Mail:contact@fpjourne-le-restaurant.ch/営業時間:月曜~木曜はランチ(11:45-13:15)とディナー(18:45-20:30)。金曜はランチ(11:45-13:15)のみ。要予約。

 ウォッチメーカーとして大きな成功を収めたフランソワ-ポール・ジュルヌ。しかし彼の趣味は一貫して変わっていない。時計、お酒、そして食だ。かつてレストランを所有していた彼は、自分の好みを実現できる店を、ジュネーブの旧市街にオープンさせた。

F.P.ジュルヌ レストラン

 2023年11月1日、スイス・ジュネーブのローヌ通り49番地に、F.P.ジュルヌのレストランがオープンした。パートナーに選んだのは、スイスきっての名シェフであるドミニク・ゴーティエだ。14歳で料理学校の門を叩いた彼は、25歳でジュネーブの名門ホテルであるボー・リヴァージュに入り、副料理長として10年、料理長を22年務めた。コロナ禍で経営母体が変わったのを機に、声をかけたのはフランソワ-ポール・ジュルヌである。

フランソワ-ポール・ジュルヌとドミニク・ゴーティエ

フランソワ-ポール・ジュルヌとドミニク・ゴーティエはとにかく気が合う。「ふたりの共通点は何ですか?」と尋ねると「ずばり性格だね」(ゴーティエ)。「俺たちは意思が強いし、発明好き、そしてチームが長続きしてうまく機能していることかな」(ジュルヌ)。

F.P.ジュルヌ レストラン

ジュネーブ旧市街のローヌ通り49番地に位置するF.P.ジュルヌのレストラン。

「常に給仕が後ろに立っているような感じではなく、格式張らない環境で美食を楽しめる場所が作りたかった。それに、格式張った雰囲気は今の時代に合っていないしね」。15分の会話で意気投合した彼らは、1912年建築のレストランの雰囲気を生かしつつ、全く新しい店をオープンさせた。

F.P.ジュルヌ レストラン

訪問時のメニューは、右から、パッションフルーツのソースをあしらったサマーフィッシュの刺し身。アタリは強めだが、ごまのパンとよく合う。中央はズッキーニに、ヨーロッパ手長エビのスフレをあしらったシグネチャーメニュー。「白ワインを省いてごく軽く作ってある」とのこと。左のメインはジュネーブ産の豚。食感と風味は見事であったが、メニュー名を失念してしまった。2026年1月のメニューでジュルヌの推しは「マダガスカル産ワイルドペッパーとグリルしたエシャロットを添えた、シンメンタール牛のビーフ」とのこと。

F.P.ジュルヌ レストラン

使用されるカトラリーにはムーブメントパーツがあしらわれている。

「私は調理場にいるのが好きだし、フランソワ-ポールは常に工房にいるのを好んでいるといった共通点もあるしね」(ゴーティエ)。時計にちなんだ装飾や時計師の名前を冠したテーブルが置かれたレストランだが、その狙いは時計好きではない。「観光客ではなく、地元の顧客のためのレストランだよ。ジュネーブの人は金曜日の夜になると山の方に行くので、月曜日にならないとレストランに帰ってこない。だから金曜日はランチ営業のみなんだ」。

ドミニク・ゴーティエ

スイスきっての名シェフであるドミニク・ゴーティエ。

 地中海料理をベースに、ゴーティエの経験と地元の食材を組み合わせた料理は、ベースがしっかりしていながら、どこにも似ていないもの。ジュルヌが彼をパートナーに選んだのも納得だ。

 このレストラン、開設1年目にしてミシュランの星付きだ。訪問希望の方にはぜひ事前予約をお勧めしたい。

F.P.ジュルヌ レストラン

(左)ワインはジュルヌの好みであるシャトー・ド・スガン。メルロー49%、カベルネ・ソーヴィニヨン51%の、品はあるがタンニンが柔らかく、飲み飽きないワインだ。右のワインはレストランオリジナルのエチケット付き。なおこのレストランは、地元産36カ月熟成のグリュイエールも絶品である。(右)アラカルトもあるが、お勧めはコース。スペシャリテを含むメニューを堪能できる。

F.P.ジュルヌ レストラン

F.P.ジュルヌ レストランの特徴が、時計師の名が冠された各テーブルだ。かのアブラアン-ルイ・ブレゲはもちろん、ジュルヌ本人の卓もある。運が良ければジュルヌ本人に会えるかもしれない。



Contact info:F.P.ジュルヌ東京ブティック Tel.03-5468-0931


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