今年もウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで、豊富な新作モデルをリリースするシャネル。すでに「J12」にとってサイズの挑戦と位置付けられた直径28mmケースのモデルは紹介したが、続いて本記事では、カプセルコレクションやトゥールビヨンを擁した特別なJ12等、シャネルの現代のウォッチメイキングを表す新作時計の数々を取り上げる。
Photographs & Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年4月15日公開記事]
「CHANEL COCO GAME CAPSULE COLLECTION」
シャネルのウォッチメイキングの使命──無限の創造性や卓越した技術、特別な素材を融合させ、単に時を知るためだけのツールではない、魅力的なタイムピースを生み出すこと──を存分に味わえるのが、カプセルコレクションだ。今年のテーマは「ゲーム」。創業者であるマドモアゼル シャネルを、ルールを操り、テンポを作り出すクイーンと位置付け、時と遊び、戯れることを宣言。ゲームの世界のグラフィックコードに着想を得たウォッチメイキング クリエイション スタジオ ディレクターのアルノー シャスタンは、ゲームのあらゆる側面を探求、再解釈し、「CHANEL COCO GAME CAPSULE COLLECTION」として限定ウォッチのコレクションをリリースした。
高級時計の世界では型破りなテーマだが、シャネルのウォッチメイキングの在り方は引き継がれた。同ブランドの象徴的なラインのあしらい方や、ブラックとホワイトを基調としたデザインコードが、反映されている。
世界限定10本が生産される「ガブリエル ウォッチ」は、ダイナミックに時計から飛び出したガブリエル シャネルの姿に目を奪われる。

クォーツ。18KWGケース(直径43mm)。30m防水。世界限定10本。4851万円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
黒で縁取りした白いツイードのスーツをまとい、片手をポケットに入れるという象徴的なポーズをした彼女の視線の先には、小さな文字盤が配されている。ガブリエル シャネルが、ウォッチメイキングのルールを巧みに操る様を表現しているのだ。
意匠と同様に驚かされるのが、この表現を生み出すクラフツマンシップである。18Kホワイトゴールド製のガブリエル シャネルの彫刻がまとうスーツのツイード模様は、ツイードセッティングと呼ばれる技法で製造されており、461個、実に約4.41カラットのダイヤモンドとゴールドによって織物の質感を再現している。また、ガブリエル シャネルの髪、帽子、スーツのトリムはブラックラッカーで色付けされ、119個(約1.76カラット)のブリリアントカット ダイヤモンドがオニキスプレートを囲う。なお、バックルにも41個(約0.25カラット)のブリリアントカット ダイヤモンドがあしらわれた。これらのダイヤモンドは、スイスに位置するシャネルのウォッチ マニュファクチュールにて行われており、特にツイードスーツのセッティングは、熟練したセッター2名が、10回の試作を経て完成させるに至ったものだ。
ブラックマットのグログラン ストラップは裏地がカーフスキンとなっており、快適な着用感が推察される。
「ガブリエル ロングネックレス」は、ネックレス型の時計だ。

クォーツ。18KWGケース(文字盤の直径10mm、チェーンの長さ350mm)。30m防水。世界限定5点。8943万円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
シャネルのコードカラーである、ホワイトとブラックで表現した本作は、18Kホワイトゴールド製のガブリエル シャネルが座った台座に時刻を表示する文字盤を秘めていることが特徴だ。スーツと帽子をまとって足を組んだその佇まいは、彼女の魅力と自信にあふれた姿を映し出している。
ブラックラッカーで縁取りしたガブリエル シャネルのスーツは、731個(約4.44カラット)のダイヤモンドのセッティングによってツイードが表現されるという贅沢な仕様だ。なお、帽子とスーツ、スリングバックのトリム、そしてガブリエル シャネルが座るベースにブラックラッカー仕上げが施されており、そのベースには64個(約1.1カラット)のブリリアントカット ダイヤモンドがセッティングされた。同じくブラックラッカー仕上げの18Kホワイトゴールド製ケースにはベゼルと文字盤にオニキスビーズ256個がポンポンアタッチメントされ、18Kホワイトゴールド製チェーンにも300個(約4.4ct)のブリリアントカット ダイヤモンドとオニキスビーズ46個が、そしてセンターに約0.5カラットのブリリアント カットダイヤモンドがひとつあしらわれている。
ユニークなネックレス型の時計にも注目したい。

クォーツ。18KWG×Tiケース(文字盤のサイズ10.65mm、チェーンの長さ338mm)。30m防水。4257万円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
ビデオゲームの世界から飛び出したような、マドモアゼル シャネルが愛らしい本作。ピクセルアート風の「COCO GAME ロング ネックレス」は、そのデザインの実現のための技術開発に4カ月の期間を要したという。
ボタンとイヤリング、瞳はブラックコーティングを施したチタンが、そしてそれ以外は18Kホワイトゴールドで製造された彼女には、全体で193個のダイヤモンドがセッティングされている。ホワイトラッカーとブラックのコントラストが生かされており、創意工夫にあふれたタイムピースに仕上がっている。
八角形のブラックのラインが印象的なシークレットリング「プルミエール COCO GAME リング」は、ダイヤモンドを回転させることで、ふたつの表情を楽しむことができるモデルである。

クォーツ。18KWGケース(幅19.7×高さ15.2mm、奥行き8.9mm)。30m防水。3916万円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
表側は、サファイアクリスタルの下にダイヤモンドを敷き詰めた中で浮かび上がる0.90カラットのひとつのバゲットカット ダイヤモンドが、裏側には、周囲をブラックで縁取ったダイヤモンドが、プルミエールの文字盤を潜めているのだ。リング全体にもブリリアントカット ダイヤモンドがちりばめられており、文字盤、リング全体、そしてケースバックに至るまでが、きらめきに満ちている。
サファイアクリスタルやダイヤモンドを巧みに用いることで、ムーブメントが意匠の一部として機能しているのが「J12 X-RAY COCO GAME」だ。

手巻き(Cal. 3.1)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。サファイアクリスタル×18KWGケース(直径38mm)。30m防水。世界限定12本。1億4476万円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
本作はサファイアクリスタル、18Kホワイトゴールド、ダイヤモンド、そしてシャネルの自社製ムーブメントCal.3.1の輪列が、モダンに調和する。
スケルトナイズされたムーブメントは、スイスのラ ショー ド フォンにあるシャネルのウォッチ マニュファクチュールで、約1週間をかけて組み立てられるものだ。約55時間のパワーリザーブやフリースプラングテンプが備わっているところに、美観のみならず、性能にも配慮する作り手の意図が見受けられる。
グラフィカルなラインを強調するように、ベゼルやブレスレットの中央のリンクは、ゴールドをブラックコーティングしたラインで縁取り、その間にバゲットカット ダイヤモンドを並べることで、クリアな輝きを一層引き立てた。ダイヤモンドのみならず、ムーブメントのサファイアクリスタル製のプレート、日の裏車のブリッジや歯車のブリッジが光を取り込み、ブラックのラインと明暗のコントラストを演出する。文字盤にもバゲットカット ダイヤモンドのインデックスがセットされているため、手元で抜群の存在感を示すであろう。
COCO GAME ロング ネックレスでも見られたピクセルアート調のマドモアゼル シャネルを、チャームで楽しめるのが「J12 COCO GAME チャーム」だ。

自動巻き(Cal. 12.2)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。高耐性ホワイトセラミック×SSケース(直径33mm)。50m防水。世界限定55本。2046万円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
リュウズから吊り下げられたマドモアゼルはステンレススティール製で、その部分はピクセルパターンをブラックとホワイトのラッカーで歪みなく装飾されている。なお、エッジを立てつつ滑らかさも追求されたチャームは、シャネルのウォッチ マニュファクチュールで10カ月間の開発期間を経て実現された。
ベゼルには46個(約3.6カラット)、インデックスには12個(約0.2カラット)のバゲットカット ダイヤモンドが、そしてチャームには2個(約0.01カラット)のブリリアントカット ダイヤモンドがあしらわれていることも特筆すべき点だ。
ムーブメントはシャネルがケニッシと共同開発した自動巻きのCal. 12.2。COSC認定かつパワーリザーブ約50時間と、本作に優れた実用性を添えるムーブメントである。
同じくJ12より、ピクセル化されたマドモアゼル シャネルが秒針として文字盤を駆け巡る「J12 COCO GAME」は、一際ユニークだ。

自動巻き(Cal. 12.1)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。高耐性ブラックセラミック×SSケース(直径38mm)。50m防水。世界限定55本。2640万円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
マドモアゼルのこのモチーフは、軽量さとバランスのためにカーボンプレートからレーザーカットで精密に切り出されている。とはいえ通常よりも大きく重量のある針を、従来のムーブメントのトルクで回転させなければならない。本作にも、シャネル のウォッチ マニュファクチュールの職人らによる、10カ月の開発期間が要された。
本作にもベゼルとインデックスにバゲットカット ダイヤモンドがセッティングされるほか、リュウズにも約0.16カラットのブリリアントカット ダイヤモンドが配される。
「ボーイフレンド COCO GAME」の文字盤には、ハートのクイーンとして転写されたマドモアゼル シャネルの姿が見て取れる。

クォーツ。SSケース(縦34.6×横26.7mm、厚さ7.3mm)。30m防水。世界限定55本。1107万7000円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
ブラックとホワイトのポートレートが描き出すのは、黒で縁取りしたアイコニックなツイードのスーツ、カンカン帽、そして重ね着けしたパールネックレスを身に着けるマドモアゼル。トランプのカードをイメージした、ふたつのハート型のメタルパーツがアクセントになっている。ケースとベゼル、リュウズはブラックコーティングが施されており、文字盤およびマットホワイトのカーフスキンストラップとコントラストを生み出している。
貴石のセッティングにも、コントラストが描かれた。ベゼルには38個(約1.47カラット)のバゲットカット ダイヤモンドが配されているのに対し、リュウズにはブラックスピネルがカボションセットされている。
カプセルコレクションは、フランス・パリのヴァンドーム広場に拠点を置くシャネルのウォッチメイキング クリエイション スタジオでデザインされ、ラ ショー ド フォンのマニュファクチュールで組み立てられている。
すべてウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブでのリリースと同時となる、4月14日(火)発売だ。
今回も快作ぞろいのシャネルのカプセルコレクション。さらに驚かされるのは、文字盤が秘められたチェスボードもリリースされていることだ。

世界限定1点のみが製造されるこの「THE CHESSBOARD」は、シャネルの世界を象徴する、ヴァンドーム広場の円柱、トルソー、“キング”のライオンといった、32個の駒のひとつひとつに、18Kゴールド、セラミックス、ダイヤモンドが精緻に組み合せられている。そしてホワイトとブラック、それぞれのクイーンであるマドモアゼル シャネルのコマの台座には、直径25mmの時計の文字盤が隠されている。このマドモアゼルの2体は、ダイヤモンドとオニキスで装飾された18Kホワイトゴールド製のチェーンをセットすることで、ネックレスとして着用することができる。

冒頭でも記した、シャネルの「単に時を知るためだけのツールではない、魅力的なタイムピースを生み出す」という使命を象徴するかのような作品と言える。
「J12 ダイヤモンド トゥールビヨン キャリバー 5」

手巻き(Cal. 5)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KWG×サファイアクリスタルケース(直径38mm)。50m防水。世界限定12本。2億1296万円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
フライングトゥールビヨンのキャリッジに26個(約0.06カラット)と約0.18カラットの特別カットされたダイヤモンドを載せるという、驚くべきアイデアを実現したシャネルの自社開発ムーブメント「キャリバー 5」。この傑出したフライングトゥールビヨンを載せた新作が「J12 ダイヤモンド トゥールビヨン キャリバー 5」だ。
文字盤にも敷き詰められた38個(約1.36カラット)のバゲットカット ダイヤモンドが、トゥールビヨンのキャリッジの回転と呼応するかのように6時位置に近づくにつれて大きくなるという、アルノー シャスタンの究極のデザインが採用されている。キャリッジの美観を際立たせるこのセッティングは、完成までに6カ月もの作業時間が費やされた。キャリッジにあしらわれた65面のファセットを持つダイヤモンドが、まばゆい輝きを放ちながら回転する様は、シャネルのクリエイションだからこその傑作だということを実感させるだろう。
「J12 SUPERLEGGERA キャリバー 12.1」

自動巻き(Cal. 12.1)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。高耐性ブラックセラミック×SSケース(直径42mm)。200m防水。229万9000円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
シャネルの「J12 SUPERLEGGERA キャリバー 12.1」は、2005年から同ブランドが打ち出しているコレクションのうちのひとつだ。1950年代の最高水準のレーシングカーの世界観を体現しており、レーシングスピリットを感じさせるスポーティーな意匠や、超軽量ボディとアルミニウム製シャシを象徴する“Superleggera”のロゴを特徴とする。
これまでいくつかのモデルがリリースされてきたが、2026年の最新作は「J12 キャリバー 12.1」をベースに、速度計を思わせるサテンに仕上げられた硬化ステンレススティール製ベゼルをあしらった意匠とともに登場した。
マットなブラック セラミックスの外装が際立たせるスポーティーな文字盤には、中央のサーキュラーサテン仕上げと、外周のスネイル仕上げ施されることで、視覚的な奥行きが演出されている。また、4時位置のデイト窓やデイトを指し示す赤い矢印も目を引く。
ヘアライン仕上げのブレスレットのセンターリンクは、両サイドがポリッシュされており、アクティブな印象が強調された。
耐傷性に優れたセラミックスを外装にまとうのみならず200m防水を有するため、デイリーユースはもちろん、アクティブに使いたいシーンでも手元を彩ってくれるに違いない。
「J12 GOLDEN BLACK」

自動巻き(Cal. 12.1)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。高耐性マットブラックセラミック×SSケース(直径42mm)。200m防水。202万4000円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。
シャネルを象徴するカラーのひとつであるブラックの中で、さりげなくゴールドカラーが輝く「J12 GOLDEN BLACK」が2型登場した。ひとつはケニッシとの共同開発による、信頼性の高い自動巻きムーブメントCal. 12.1を搭載した「J12 GOLDEN BLACK キャリバー 12.1」と、今年新しく登場した直径28mmケースを有する「J12 GOLDEN BLACK 28MM」だ。
J12 GOLDEN BLACK キャリバー 12.1はマットに仕上げられたブラックセラミックスが、ゴールドの差し色と相まって落ち着いた存在感を手元に示す。J12 GOLDEN BLACK 28MMの方はポリッシュに仕上げられており、漆黒の中にも光をまとうという演出がなされている。
ペアウォッチとしても好適な組み合わせではないだろうか。

クォーツ。高耐性ブラックセラミック×SSケース(直径28mm)。30m防水。112万2000円(税込み)。2026年4月14日(火)発売。




