2021年 IWCの新作時計まとめ

FEATURE2021年新作時計
2021.04.09

ビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブソーバーXPL

ビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブソーバーXPL

IWC「ビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブソーバーXPL」
自動巻き(Cal.32115)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。セラタニウム(直径44mm、厚さ12.09mm)。10気圧防水。

 耐衝撃性能を大幅に向上させるショックアブソーバーシステムを搭載した「ビッグ・パイロット・ウォッチ・ショックアブソーバーXPL」が発表された。先端素材の開発や重力加速度による影響からの保護など、最先端技術の開発・研究部門として発足した「IWCエクスペリメンタル」が手掛けた初めてのモデルで、XPLは実験を意味する「experimental」を意味する。今作で着目されたのは耐衝撃加速度である。

 軍用超音速ジェット機を含む航空機パイロットが晒される環境や衝撃を調査した結果、極限環境下にある金属製機器に囲まれた狭いコックピットでは、それらと装着する時計の衝突が避けられず、耐衝撃性の物理的な限界を引き上げることが重要な機能要件であることが分かっていた。時計が衝撃を受けると、ムーブメントの構成部品に大きな重力加速がかかる。この時に、繊細な部品で屈曲、破損、脱落が発生することでムーブメントの機能が損なわれてしまう。今作はこの問題を解決するために開発されたもので、ムーブメント全体を、衝撃が加わった際の応力が縦横に均一に分散するように入念に設計したスプリングで保持する方式が取られている。このスプリングは、高度な製造プロセスが必要な非結晶性の微細構造を持つバルク金属ガラス(BMG)で作られており、従来の金属素材をはるかに上回る弾性を備える。スプリングが変形すると、ケースとムーブメントの相対的な位置関係が変わってしまうため、これを許容できるように設計した新開発の巻き真が実装されている。

 衝撃加速度が同じであれば、物体は軽い方が発生する応力が小さくなる。また、スプリングに接続された物体では、衝撃時にスプリングを縮ませる量も小さくなる。よって、耐衝撃性を高めるためにはムーブメント自体の軽量化が必要である。そこで、今作に搭載されるCal.32115は、地板やパーツが航空宇宙産業でも採用される軽量かつ高剛性なアルミ合金で作られたカスタムメイドの軽量構造を備える。

 これら技術の技術によって、ケンブリッジ大学のキャベンディッシュ研究所で行われた衝撃試験で、3万gを超える衝撃加速度にも耐え抜くことが確認された。

 ケースは、IWCが特許を持つチタン合金をベースとしたセラタニウムである。これは、チタンと同程度に軽量かつ堅牢で、セラミックスのように硬く傷が付きにくい性質を持つ。加工時に高温熱処理を施すことで表面にセラミックスの特性が備わり、独特のマットブラックに仕上がっている。

 今作は、IWCブティックまたはIWCカスタマーサービス限定で、年間10本の限定生産となる。

Cal.32115