A.ランゲ&ゾーネ「オデュッセウス・クロノグラフ」について、商品開発ディレクターのアントニー・デ・ハスにインタビュー

FEATUREWatchTime
2023.05.11

ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2023で「オデュッセウス・クロノグラフ」を発表したA.ランゲ&ゾーネ。オデュッセウスは同社初のスポーツラインだ。オデュッセウス・クロノグラフは、ブランド初の自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載している。誕生の経緯について、商品開発ディレクターのアントニー・デ・ハスに尋ねた。

アントニー・デ・ハス

アントニー・デ・ハス
A.ランゲ&ゾーネ商品開発ディレクター。2004年、A.ランゲ&ゾーネに入社し、2014年より現職。商品開発ディレクターとして、ムーブメントだけでなく外装やデザインまでコントロールする。
Originally published on watchtime.net
Text by Martina Richter
2023年5月11日掲載記事


A.ランゲ&ゾーネの新時代を象徴する「オデュッセウス」コレクション

オデュッセウス・クロノグラフ

A.ランゲ&ゾーネ「オデュッセウス・クロノグラフ」
自動巻き(Cal.L156.1 DATOMATIC)。52石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42.5mm、厚さ14.2mm)。12気圧防水。世界限定100本。価格要問合せ。

WatchTime:「オデュッセウス」は、2019年にA.ランゲ&ゾーネ初のスポーツラインとして誕生しました。現在、オデュッセウスはコレクション全体の中でどのような役割を担っているのでしょうか?

アントニー・デ・ハス:オデュッセウスを発表したことは、私たちにおける新時代の幕開けでした。私たちの目標は、高級機械式時計の見事な職人技と洗練された技術を見逃したくない、アクティブなライフスタイルの顧客のために、スポーティでエレガントなタイムピースをデザインすることでした。

オデュッセウスは他のコレクションと大きく異なりますが、細部に至るまで純粋なA.ランゲ&ゾーネのDNAが息づいているのです。

A.ランゲ&ゾーネのDNAは、自社製ムーブメントや精巧な職人技、文字盤、針、タイポグラフィなどのデザイン要素に表れています。ツァイトヴェルクと同様、オデュッセウスも発表当時は驚きを持って迎えられましたが、現在ではどちらも私たちのコレクションに欠かせないものとなっています。

オデュッセウス・クロノグラフ

オデュッセウス・クロノグラフでは、オデュッセウスの特徴である日付と曜日表示を生かすため、積算カウンターではなくセンター積算計が採用された。


初の自動巻きクロノグラフムーブメントCal.L156.1 DATOMATIC

Cal.L156.1 DATOMATIC

A.ランゲ&ゾーネ初の自動巻きクロノグラフムーブメント、Cal.L156.1 DATOMATIC。中央に配置された2本のクロノグラフ針をリセットする「ダイナミックリセット機能」などを有する。

WatchTime:オデュッセウス・クロノグラフの最も大きな特徴は、クロノグラフ針の「ダイナミックリセット機能」だと思います。これはA.ランゲ&ゾーネの新しい境地を切り開き、高級腕時計製造のさらなる発展への意欲を示したものだと理解しています。

搭載されたCal.L156.1 DATOMATICは、ムーブメント開発の新たなプラットフォームとなるのでしょうか? そしてそれは今後どのようなものになっていきますか?

アントニー・デ・ハス:A.ランゲ&ゾーネでは、自社でムーブメントを開発・製造していることが高く評価されている、という認識を日々新たにしています。ほぼすべてのモデルに、それぞれに合わせて開発されたカスタムメイドのムーブメントを搭載しています。このようにして、私たちは比較的短期間の間に71点もの自社製ムーブメントを世に送り出してきました。どれも、革新的で高水準な技術と最高レベルの職人技を合わせ持つ、比類なきものです。

オデュッセウスの構想の段階で、私たちはこのシリーズに大きな可能性を感じ、派生モデルについても考えていました。約6年前、オデュッセウスコレクションのリリースよりも早い段階からクロノグラフバージョンの開発に着手しています。

Cal.L156.1 DATOMATICは、A.ランゲ&ゾーネの13番目のクロノグラフムーブメントですが、クロノグラフとしては初の自動巻きです。また、オデュッセウスはブランドで最も新しいコレクションであるため、さらなるサプライズが期待されるのは当然です。つまり、ワクワクするようなことがこれからも続くということです。


A.ランゲ&ゾーネ流のスポーティウォッチ

オデュッセウス・クロノグラフ

槍形の針とアウトサイズデイト、曜日表示が備えられた整然とした文字盤は、優れた視認性を確保している。

WatchTime:A.ランゲ&ゾーネの高級腕時計製造とスポーティなクロノグラフの条件は、どのように調和しているのでしょうか?

アントニー・デ・ハス:A.ランゲ&ゾーネのすべての時計がそうであるように、開発はまず時計の中身からスタートします。スポーティな時計への要求に応えるため、Cal.L156.1 DATOMATICにはバランスブリッジを採用しました。調速機構は最適な精度を確保するために設計され、2万8800振動/時の振動数を持っています。これらによって、時計の堅牢性と耐衝撃性を高めているのです。

また、スポーティなデザインでありながら、他の自社製ムーブメントと同様に卓越したクラフツマンシップによる装飾が施されています。ただし、いくつかスタイルとして異なるところもあり、テンプ受けにはおなじみの花のモチーフではなく、防水性を連想させる波模様がエングレービングされています。



Contact info: A.ランゲ&ゾーネ Tel.0120-23-1845


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