ダイバーズウォッチ第3回「 ダイバーズウォッチの定義」

FEATURE時計機構論
2017.08.22

ベル&ロス「BR 03-92 ダイバー」
2017年発表の最新作は「BR 03-92」のスタイリッシュなスクエア型ケースをベースにし、プロのダイバーの協力を得て開発され、同シリーズ初の本格ダイバーズウォッチ。縦42×横42mmのSSケースは、裏蓋を1.8mmから2.8mmに、サファイアガラスを1.50mmから2.85mmへと増強して防水性が300mへと向上している。逆回転防止ベゼルをはじめ耐磁性、視認性など、ISO6425に準拠する。自動巻き。

ハミルトン「カーキ ネイビー オープンウォーター チタニウム」
ルーツは、第2次大戦時にアメリカ海軍特殊潜水部隊用に作られた防水時計。その2016年発表の最新モデルは、国際規格ISO6425に準拠する本格ダイバーズウォッチだ。伝統のリュウズカバーが備わる直径46mmのケースは、軽く腐食にも強いチタンを使ってモダンなデザインに仕立てられ、驚異の1000m防水を実現。ヘリウム・エスケープバルブも装備する。自動巻き。約80時間パワーリザーブ。


 ダイバーズウォッチは、防水性能以外にもさまざまな耐性が求められ、なおかつ複雑な手順による厳格な試験も必要なので、メーカーにとってはハードルはけっこう高い。それにダイバーズウォッチのほとんどが量産品の部類に入るから、量産に見合った生産コストの管理も不可欠だ。

 ところで、このISO 6425準拠自体も、ISOが強制するものではなく、準拠するかどうかはメーカーの自主性に任されているという事情がある。スイスの時計メーカーが「ダイバーズウォッチ」と称して発表する本格的な潜水用防水時計がすべてこの規格に準拠していているわけではないのは、そうしたさまざまな理由が関係している。

 市場を見渡すと、先にあげた「日常生活強化防水」ではなく、必ずしもISO 6425準拠するわけでもないが、それでいて本格ダイバーズウォッチという位置づけのモデルは少なくない。ユーザーにとっては少々混乱する。参考までに、現行品でISO 6425規格の準拠を時計メーカーがきちんと表明する正真正銘のダイバーズウォッチの例としては、以下のものがある。

カルティエ「カリブル ドゥ カルティエ ダイバー」(300m)
ヴィクトリノックス「I.N.O.X.プロフェッショナルダイバー」(200m)
ベル&ロス「BR 03-92 ダイバー」(300m)
ハミルトン「カーキネイビー・オープンウォーター」(300m)