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天文表示第1回「ムーンフェイズ機構 Part.1」(1/3)

ブレゲ「No.5」&「クラシック 7787」
(左)アブラアン-ルイ・ブレゲは、懐中時計にムーンフェイズ表示を取り入れた先駆者。1794年に販売された有名な「ブレゲNo.5」は、現在の腕時計に多用されているのと同じスタイルのムーンフェイズ表示(月齢目盛り付き)をすでに装備。ツインバレル自動巻き、パワーリザーブ約60時間。
(右)アブラアン-ルイ・ブレゲ時代の意匠からインスパイアされた2017年発表の「クラシック7787」。ゴールドの月を“顔(フェイス)”に見立てた、どこか茶目っ気のあるムーンフェイズ表示はブレゲの伝統。自動巻き。18KWG(直径39mm)。
菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara


 時計の時刻情報は「平均太陽時」といって、まず1日を24時間と定め、それを等分して示したもの。一種の約束事として使うために考え出された人工的な時間であり、実際の太陽の時間を忠実に反映しているわけではない。この人工的な「平均太陽時」と実際の「真太陽時」とのずれを「均時差(イクエーション・オブ・タイム)」と呼ぶが、これについては後に別途項目を設けて詳しく述べることにする。

 このような時刻情報に対して、実際の月の満ち欠けを時計機構で忠実に再現すべく考え出されたのが「ムーンフェイズ」だ。「ムーンフェイズ–moon phase–」というこの言葉は「月相」を意味し、文字通り満月や上弦、下弦といった月の形、つまり位相(フェイズ)を指す。時計によってはこれに「ムーンエイジ-moon age-」を加えたものもある。こちらは「月齢」、つまり新月から始まって次の新月までの1周期の日数をカレンダーのように数で表す機能が付属する。ムーンフェイズの表示窓の周囲に配された数字目盛りと月のモチーフを照合して、今日の月の相が新月から何日目なのかが分かるのだ。

 表示窓に見え隠れする月は、腕時計のダイアルに魅力的なアニメーション効果をもたらし、今日でも私たちの目を楽しませるが、機械式時計の天文表示としては古くからあるものだ。現在一般的に見られるような、ディスクを用い半円の窓の中を月が移動していく表示は、筆者の知る限り、16世紀ヨーロッパの置き時計ですでに発見できる。18世紀以降の懐中時計では、ブレゲの創業者で時計師のアブラアン-ルイ・ブレゲが18世紀終わりから19世紀初頭にかけての諸作にムーンフェイズ表示を多用したことはよく知られた話だ。そして、当時のブレゲが用いていた機構は、今でも一般的なムーンフェイズ表示に使われている。

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