秋田県皆瀬に工房を構えるミナセは、日本の匠の技をコンセプトに据えた「提げ時計」を披露した。ザラツ研磨を施した12角形のケースに、蒔絵や日本刀の黒錆(くろさび)といった伝統技術を盛り込んだ、日本らしい感性や美意識を体現するアートピースである。海を渡る蝶である「アサギマダラ」と「鳳凰(ほうおう)」をモチーフとした2モデルが、それぞれステンレススティール、18Kゴールドのバリエーションで用意される。なお、すべてのモデルが完全受注品だ。

日本の匠の技を凝縮した、ミナセならではの提げ時計
国産時計ブランドのミナセは、“タイムレス ジャパノロジー”と銘打つ新たなコレクションを発表した。今回、同ブランドは日本特有の匠の技を独自の解釈で表現するにあたり、腕時計ではなく「提げ時計」を選択。ザラツ研磨、蒔絵、そして日本刀の黒錆といった伝統技術が、12角形のフォルムへと凝縮されている。

手巻き(Cal.KT5002)。パワーリザーブ約162時間。SSケース(直径39mm、厚さ約11.0mm)。770万円(税込み)。完全受注生産品。

手巻き(Cal.KT5002)。パワーリザーブ約162時間。18Kゴールドケース(直径39mm、厚さ約11.0mm)。要価格問い合わせ。完全受注生産品。
本コレクションのハイライトのひとつが、漆芸作家・箱瀬淳一が手掛けた蒔絵ダイアルだ。「アサギマダラ」と「鳳凰」という2種類のモチーフが精緻な職人技によって描かれている。
アサギマダラは、海を超えて1500kmもの旅をする蝶であり、提げ時計が文化の橋渡し役になってほしいという、職人の願いが込められた意匠である。特徴的な純白の羽を表現するため、うずらの卵殻を細かく砕いて配置する「卵殻」という高度な技法が用いられている。

手巻き(Cal.KT5002)。パワーリザーブ約162時間。SSケース(直径39mm、厚さ約11.0mm)。770万円(税込み)。完全受注生産品。

手巻き(Cal.KT5002)。パワーリザーブ約162時間。18Kゴールドケース(直径39mm、厚さ約11.0mm)。要価格問い合わせ。完全受注生産品。
一方の鳳凰モデルでは、天下泰平を告げるとされてきた伝説的な霊鳥が、肉眼では捉えきれないほどのうぶ毛に至るまで精密に描かれている。数カ月におよぶ工程の最後に眼が描き入れられており、あたかも生命が宿ったかのような、圧倒的な存在感がダイアル上に表現された。

また、ケースバックや提げ紐を通す吊環(提げ環)にも、日本古来のクラフツマンシップが息づいている。素材には、たたら製鉄によって精錬された貴重な「玉鋼(たまはがね)」を使用。これを刀匠の石田國壽が鍛え上げ、日本刀の茎(なかご)に見られる黒錆(くろさび)を施している。
この黒錆は手で触れ、手入れを重ねることで、50年から100年という長い歳月をかけて紫がかった深い黒(羊羹色)へと変化していくという。世代を超えて“愛でる”ことで完成する、ロマンあふれる仕様と言える。


12角形のミドルケースの素材には、ステンレススティールまたは18Kゴールドが用意される。この多角形のフォルムは、ザラツ研磨によって生み出されたシャープなエッジや歪みのない表面を際立たせる造形となっている。ケース内にはクロノードのCal.C101をベースとした手巻きムーブメント、Cal.KT5002を搭載する。約162時間という長期的なパワーリザーブを誇り、手巻き式時計としての優れた実用性も備えている。

なお、すべてのモデルは完全受注生産品であり、受注から手元に届くまで、約半年から1年程度の期間が必要となる。



