煮詰められたディテールに27万円超えも納得。「タイメックス アトリエ GMT24 M1a」を実機レビュー

2026.03.10

タイメックスの新コレクション「タイメックス アトリエ」の「GMT24 M1a」をインプレッションする。タイメックス アトリエは、“普段使いのラグジュアリーを体現する”ことがコンセプトとなっており、質感の異なるパーツで構成された文字盤や、立体感に富んだケース造形とブレスレットが特徴となっている。今回は、本作の魅力であるディテールに注目し、コンセプトに合った仕上がりとなっているかレビューしてゆこう。

タイメックス アトリエ GMT

タイメックス「タイメックス アトリエ GMT24 M1a」Ref.TW2Y72300
自動巻き(LANDERON製)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径40mm、厚さ12.7mm)。100m防水。27万5000円(税込み)。
佐藤しんいち:文・写真
Text and Photographs by Shin-ichi Sato
[2026年3月10日公開記事]


タイメックスの新コレクション「タイメックス アトリエ」

 今回インプレッションするのは、タイメックスが2026年1月に発表した新コレクション「タイメックス アトリエ」の「GMT24 M1a」である。タイメックス アトリエは、“普段使いのラグジュアリーを体現する”ことがコンセプトである。タイメックスは、タイメックス アトリエを企画するにあたって、ブランドの核となる理念である「独立性」「高い品質」「時代を超えるデザイン」を継承しながら、価値の追求を次章へ進めることを掲げている。生産数や複雑さで競うのではなく、デザインと各コンポーネントへの配慮の総体として価値を生み出し、これを“普段使いのラグジュアリー”として提案しているのだ。

 タイメックス アトリエのデビューにあたって、今回インプレッションする24時間針によるGMT表記を備えたGMT M1aと、基本デザインを共有するダイバーズウォッチデザインの「マリーン M1a」の2モデルがラインナップされた。

 本作がコンセプトを反映できているか否かは、「デザインと各コンポーネントへの配慮の総体と言えるかどうか」を検討するのが良いだろう。今回のインプレッションでは、この点について注目してゆく。

「情報量が多くて見栄えが良い」デザイン

 本作を一言で評すると、“情報量が多くて見栄えが良い”。情報量が多いとは、プラモデルやイラストに対して使われる表現で、実物に存在しそうな部品の接合部の造形や微小な凹凸、テクスチャーの表現を盛り込むことで、目に入ってくるディテールの量を増やし、質を高めていることを指す。本作を手に取って、最初に注目したいのは風防を含めた文字盤のディテールである。文字盤のベースとなる部分は艶のあるブラックの仕立てで、サテン仕上げでメタリックな質感のリングが縁取るデザインとなっている。インデックスはこのリングにつながっており、文字盤のベースとの高低差が強調されている。

タイメックス アトリエ GMT

艶のある文字盤のベース、メタルの質感を取り入れた文字盤縁のリング、おそらくメッキ仕上げの24時間表記リングと、質感が多彩で、変化に富んでいる。視認性も良好だ。なお今回は、GMT針を日本時間の24時間表示として活用した。

 さらにその外周には、ガンメタリックカラーで艶のある、おそらくメッキ仕上げの24時間表記リングが配される。見返しに当たるこのリングはすり鉢状になっており、文字盤ベースへ向けて高低差を設けて、立体感を生み出している。

 最外周には、5分の1秒まで刻まれたスケールが配されている。この秒スケールの見え方に影響を与えるのがボックス型のサファイアクリスタル風防で、秒スケールの部分は風防の湾曲した部分にあたるため歪んで見え、見る角度によって変化が生じる。

 このように、本作は部品の高低差や質感の違いをふんだんに取り込み、変化に富んだ文字盤デザインを実現している。

立体感に富んだ特徴的なサイドビュー

 次に目を奪われるのがケースサイドの造形だ。ガンメタルカラーのIPコーティングが施されたミドルケースに、U字型のラグが取り付いたような構造が特徴である。ラグ、ミドルケースの縁にはポリッシュの面取りを施し、この構造を際立たせている。さらに、リュウズガードもU字型の部品を取り付けたデザインだ。なかなか凝っている。

タイメックス アトリエ GMT

特徴的なケース造形が楽しめるサイドビュー。U字型のラグの内側にはポリッシュ仕上げの面取りが施されており、デザイン上のアクセントとなっている。また、ボックス型のサファイアクリスタルの立体感も、本作にクラシカルな趣を加えている。

 この造形と呼応するように、ブレスレットのリンクのサイドにも彫り込みが施されている。サイドの端面はサテン仕上げで、一方の溝底は梨地仕上げとすることで、造形にコントラストを加えている。

 ケースサイドから連なる彫り込みのある造形は、事前の予想よりもインパクトがあった。見る角度を変えるとエッジの表れ方が変わり、影の生じ方も変わって、立体感に富んだ仕上がりとなっている。

手首にフィットするケース形状とブレスレット

 着用感は平均点以上。ラグが短く、手首に沿うような形状のためフィット感が良い。手首周長約18cmの筆者よりも手首の細いユーザーにもフィットするだろう。時計仕上がり厚さは12.7mmである。これにはボックス型サファイアクリスタル風防の厚さも含まれており、ケースはもう少し薄く、重心が低く抑えられていることも、着用感の向上に寄与している。

タイメックス アトリエ GMT

春に向けて軽やかなシャンブレーシャツと組み合わせた。カジュアルな装いとのマッチングはもちろん、シックな色合いのため、ビジネスシーンにも好適なデザインであった。活躍できる場面は多そうだ。

 ブレスレットは薄い仕立てで、可動域も広く、フィット感に優れる。バックルはスリムなバタフライ型で、デスクワーク時にも邪魔になりにくい。ブレスレットやバックルが軽量なことは軽快な着用感につながっているのだが、一方で、ややヘッドヘビーなバランスになってしまっている。タイトフィットに調整したくなったが、本作はバックルでの調整機構を持たないため、着用感は“平均点以上”という評価に留めた。

タイメックス アトリエ GMT

特徴的なケースサイドの造形が見えるサイドビュー。短く、手首に沿って曲げたラグによって、手首との隙間が小さく、フィット感に優れる。また、時計全体が薄い仕立てで、シャツへの収まりも良好であった。

 なお本作は、ブレスレットの長さ調整(リンクの取り外し)方式が凝ったものとなっている。リンクを接続する軸部分にバネが仕込んであり、サイドのリンクを引っ張ってねじることで、リンクを取り外すのだ。作業をお願いした技術者いわく「初めて見た。コツをつかめば簡単で、しっかりと固定もできる。頻繁に操作しなければバネが弱くなることもなさそう」とのことであった。頻繁な操作は避けるべきだが、1年に1回程度の調整であれば耐久性への悪影響を抑えつつ、快適に長く愛用できるのではないだろうか。

タイメックス アトリエ GMT

薄い仕立てのバタフライ型バックル。デスクワーク時に引っ掛かりが少なくて快適である。着脱も安心感があった。

 ブレスレットは工具不要で取り外しができるインターチェンジャブルタイプとなっており、バリエーションとして用意されているラバーストラップや、一般的なレザーストラップに交換して楽しむのも良いだろう。

ハッキリとしたコントラストで視認性は良好

 視認性は良好である。ブラックの文字盤のベースは、艶はあるが光を吸収するような仕上がりで、奥行きを感じさせるものであり、時分針やGMT針が浮かぶように見える。そのため、暗い室内でも強い光が射し込む屋外でも、視認性が保たれていた。斜めから文字盤をのぞいた際も、針が指し示す箇所が明確だ。オレンジのGMT針はモノトーンの文字盤の中で差し色となっており、視認性も良い。一方で、文字盤最外周に配された5分の1秒のスケールに秒針が届いておらず、細かな刻みのスケールが機能を果たしていない。見た目だけのデザインとなっている点が残念であった。


ディテールが煮詰められたデザインが楽しめる1本

 インプレッションにおいて細かく見てきたように、さまざまな質感を持つパーツで構成された文字盤、立体的で独自性のあるケース、ケースと呼応したブレスレットと、細部まで煮詰められているのを感じられるデザインである。最初に述べたように、各ディテールが情報量を増やし、見栄えの良さにつながっている。この情報量の多さが視認性を邪魔することもなく、特殊なケース造形でも着用感が良かったため、実用性を保っている点が高評価であった。

 プライスタグに書かれた、タイメックスの中では高価格帯となる27万5000円(税込み)という数字をどのように受け止めるかは難しいところだ。筆者の感想を述べれば、細部に至るまでしっかりとコストがかかっていることが見て取れ、独自性もあることから、このデザインが好みであれば、納得感のある仕上がりと言えるのではないだろうか。

 本作のコンセプトに通ずる各ディテールは、写真よりも実物を見た方が魅力を感じ取りやすい。店頭でぜひ手に取って見てほしい。



Contact info: 株式会社ウエニ貿易 Tel.03-5815-3277


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