パテック フィリップの新作「カラトラバ 6119」をマニアックに掘り下げ解説

FEATUREその他
2021.04.16

Ref.6119は往年のRef.96Dを思わせるデザイン

 この新しいムーブメントを載せるカラトラバ 6119は、リファレンスが示すとおり、カラトラバ 5119(2006年)の後継機である。ベゼルに施されたクル・ド・パリと2ピースのケース、そして風防を支えるチムニー(煙突)は、確かに5119に共通するものだ。しかし、全体のデザインは3919譲りの細身なものから、96系のカラトラバを思わせるものに改められた。近いデザインを挙げるならば、往年のカラトラバ 96D(1934年)だろうか。インデックスはローマ数字から、パテック フィリップお得意のバーに変更され、ラグもカーブしたものとなった。クルー・ド・パリを施したベゼルも、時計の立体感を強調すべく、わずかに斜面が着けられている。

カラトラバ 6119R

パテック フィリップ「カラトラバ 6119G」
18KWGモデル。文字盤はサテン仕上げのチャコールグレーで、スモールセコンドには同心円模様が施される。個人的な感想を言うと、モダンになったデザインには、強いサテン仕上げの文字盤が似合っているように思う。手巻き(Cal.30-255 PS)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KWG(直径39mm、厚さ8.1mm)。3気圧防水。339万9000円(税込み)。

 目新しさを感じさせるのは、上面を平たく整形した、多角形のドーフィン針と、5分ごとに施されたカボション状のミニッツインデックスである。写真で見ると違和感があったものの、実物は時計のデザインにうまくなじんでいた。これは、周囲をダイヤモンドカットして仕上げた、スモールセコンドも同様だ。

 外装の仕上げについては何も言うことがない。パテック フィリップはバフを弱く当ててケースを仕上げるため、面の歪みはかなり小さい。そもそもの加工精度が高ければこそだが、機械で作り込んだという硬さを感じさせないのはさすがにパテック フィリップである。ロゴも同社の時計としては珍しい「厚盛り」だ。5119や7119ではムラがある個体も見られたが、6119のシルバー文字盤に施された黒いロゴは、グランドセイコーもかくやという立体感を備えている。一方、グレー文字盤のロゴは、パテック フィリップお得意のごく浅いプリントで表現された。薄さと鮮やかさを両立したシルバーの印字は、まず他社では見られないものだ。

 パテック フィリップだから良いのは当然、と言われればそれまでだが、Ref.6119は想像以上に良い時計だった。古典的なムーブメントマニアならば、Cal.30-255の造形に注文を付けたくなるかもしれない。ただ、薄くて実用的な3針手巻き時計と考えれば、カラトラバ 6119は、理想的な1本ではないか。自動巻きがないから維持も容易だし、理論上は、精度も自動巻き並みに出るはずだ。パテック フィリップの常で価格は安くないが、この質を考えればやむなし。リュウズを触った後、改めてレポートしたい。



Contact info: パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
Tel.03-3255-8109


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