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GMT機構 第1回「GMTという原点」(1/3)

ショパール「L.U.C GMT ワン」
GMT機構を搭載する「L.U.C GMT ワン」(2016年)は、12時間で1週するメインの時針でローカルタイム、24時間で1周するもう一つの時針(オレンジ針)でホームタイムを表示。時差のある旅先では、まず2時位置のリュウズでメインの針を現在地のローカルタイムにセットし、4時位置のリュウズでオレンジのGMT針をホームタイムに調整して使う。自社製自動巻きムーブメント「Cal.L.U.C 01.10-L」を搭載。
菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

 あらゆる時計の基本的な機能は、時刻の表示にある。当たり前すぎて、そこに示されている時刻とは何ぞやと考えることは、ほとんどないだろう。だが、時計の時刻は、実は極めて人工的なものである。時刻は1日を24時間に均等に分割した平均太陽時という仮想のスタンダードであり、しかもふつうに使うのは、ある国や地域が現時点で便宜的に採用している「標準時」だ。日本なら日本標準時だが、ヨーロッパやアメリカなどの別の地域ではもちろん標準時も異なる。

 遠距離の海外旅行の場合は、日本との時差を計算して時計の針を現地の標準時に合わせるのは、旅慣れた者でもやっかいな時がある。今やGPS電波時計やスマートフォンではいとも簡単に済んでしまう調整であっても、ふつうの時計だとそうはいかない。そこで、これから話を進めるのが、時刻の範囲を世界にまで広げ、2つ以上の地域の時刻表示が可能な、いわばグローバルな時計についてである。

 この種の時計名あるいは機能名には、「GMT」や「ワールドタイム」をはじめとして、「デュルタイム」「トラベルタイム」といった言葉が使われいるが、ここでは一括して「GMT機構」というカテゴリーで扱うことにする。なぜなら、それぞれが違った仕方で世界時間を表示するにしても、根本原理はどれも一緒だからだ。ちなみに「GMT」に関連する類語に「UT(世界時)」と「UTC(協定世界時)」があるが、それぞれを定義して使分けながら語ると煩雑になるので、「GMT」以外は使わないことにする。

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