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GMT機構 第5回「ワールドタイム Part.2」(1/3)

菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

 GMT、デュアルタイム、ワールドタイムなど、機能や表示スタイルは異なっても、これらをGMT機構に基づく時計として一括して扱ってきたのは、繰り返しになるが、24分割された世界のタイムゾーン(時間帯)と、1時間単位の「時差」を基本原理としているからだが、これまで触れてこなかった点がある。それは、「分」の扱いについてだ。時計における世界時間のシステムでは、地域に応じて「時差」はあったとしても、「分」はどこでも共通と考える。たとえば、時差が8時間ある東京とパリでは、東京が20時10分なら、パリは12時10分であり、あくまでも“10分”は同じなのだ。

 分針が1本のモデルの場合、タイムゾーンの差異に関わりなく、ホームタイムとローカルタイムの分は分針を共用して読み取る。ダイアルに二つの時刻表示があり、それぞれに分針が付くタイプのデュアルタイムの場合、2本の分針はつねに連動しており、任意に移動させることは元よりできない仕組みになってる。

 ところで実際の世界はどうかというと、UTC(協定世界時)を基準とする標準時が現在およそ40もある。これらの中には「時差」以下の30分や15分の「分差」を定めた地域が存在している。現状では、30分は、フランス領ポリネシア、カナダ・ニューファンドランド島、ベネズエラ、イラン、アフガニスタン、インド、スリランカ、ミャンマー、北朝鮮、オーストラリア中部およびロードハウ島など、15分はネパール、オーストラリアのユークラなど、ニュージーランドのチャタム島といった具合である。ただし、各地で採用される標準時は政治などで変わる可能性もある。

 GMT機構に基づく機械式のGMTウォッチでは、1時間刻みの「時差」ならともかく、こうした「分差」にまで細かく対応することまではしていなかった。技術的に不可能というよりは、24タイムゾーンで世界主要都市の時刻をほぼほぼカバーできるので、機械式ではそれ以上を網羅する実用機能は不要と考えられてきたのだろう。

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