復活なったロレックス「ヨットマスター II」は何が変わった?【2026年新作時計の深掘り】

2026.04.26

スイス・ジュネーブで開催されていたウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで、ロレックスは「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」を2型発表した。2007~2024年まで製造されていた同名コレクションの復活となったこの新作時計を深掘りしていく。

ロレックス ヨットマスターII

鶴岡智恵子(クロノス日本版):写真・文
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2026年4月26日公開記事]


ヨットマスター IIが2年ぶりに復活

 2007~2024年にかけて、ロレックスが製造していた「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II(以下ヨットマスター II)」。ヨットレースでの使用を想定したプロフェッショナルモデルで、「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ(以下デイトナ)」に搭載されていたムーブメントをベースに、10~1分のカウントダウンができるレガッタクロノグラフ機構を持つ腕時計であった。

 2023年にデイトナがムーブメントとともに刷新されると、翌年にヨットマスター IIは生産終了。しかし2026年、同名コレクションとして復活した。

ロレックス「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」Ref.126680

ロレックス「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」Ref.126680
自動巻き(Cal.4162)。47石。28800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径44mm)。100m防水。300万5200円(税込み)。
ロレックス「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」Ref.126688

ロレックス「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」Ref.126688
自動巻き(Cal.4162)。47石。28800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYGケース(直径44mm)。100m防水。857万5600円(税込み)。

 レガッタクロノグラフ機構はそのままに、いったいこのコレクションはどのように変わったのかを、本記事ではひもといていく。


操作性が向上したレガッタクロノグラフ機構

ロレックス「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」

直径44mmという大ぶりなケースや肉厚のアウターベゼルといったスタイルは以前のそのまま。しかしベゼルおよび文字盤のアワーマーカーの内側に設けられていたカウントダウンスケールは外周のフランジに配されるなど、デザインは大きく刷新された。

 ヨットマスター II最大の特徴と言えば、カウントダウンができるレガッタクロノグラフ機構だ。この機構は、前述の通りヨットレース用のタイマーである。ヨットは帆船であるため、風や波によって大きく動いてしまう。ゆえに決められた地点からの一斉スタートが難しく、スタートの合図以降に決められた地点を通過するというルールがある。この合図までにカウントダウンが行われ、競技者にそのカウントダウンを正確に把握させるのがレガッタクロノグラフだ。珍しい機構ではあるものの、ロレックスのみならず、パネライやオメガ、コルムなどといった時計ブランドが手掛けてきた歴史がある。

ロレックス「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」

2024年まで製造されていたヨットマスター II。操作は煩雑ながら、ロレックスらしくベゼルやリュウズの回し心地は良好であったため、操作する楽しみという点で良い時計であった。

 ロレックスはデイトナのムーブメントをベースに、このレガッタクロノグラフを与えるために、リングコマンド式ベゼルという機能を採用していた。ベゼルの位置によってリュウズの操作系統を変更するというものだ。ベゼルが通常位置にある場合、リュウズは主ゼンマイの巻き上げや時分針の操作を担う。しかしベゼルを定位置から90°回転させ、プッシュボタンを押すと、リュウズは矢印の付いたカウントダウン用の針の操作に使われるようになる。任意のスケールまでカウントダウン針をセットし、ベゼルを定位置に戻したうえでクロノグラフをスタートさせると、カウントダウンが開始する。

 この操作は煩雑であることに加えて、ねじ込み式リュウズのねじ込み忘れが発生しそうだというリスクがある(個人的には、ロレックスらしくベゼルの回し心地がよく、操作する楽しみにつながっていると感じていたものだが)。そこで新作ヨットマスター IIではリングコマンド式ベゼルがなくなり、カウントダウンがリセットされている状態で4時位置のプッシュボタンを押すだけで、カウントダウン針の設定が行えるようになったのだ。

一般的なクロノグラフではリセットの機能のみが与えられることの多い4時位置のプッシュボタンがカウントダウン針の操作用に。なお、プッシュボタンを押すごとに1分ずつ針が進む。

 ユニークなのが、カウントダウン秒針がスタートすると、センターのクロノグラフ秒針が反時計回りに回転するという機能だ。スモールセコンドの方は正方向に回転しているため、クロノグラフホイールの方に何らかの歯車を噛ませて逆回転させていると思われる。

 前作に引き続き、シンクロナイゼーション機能も加えられた。カウントダウン計測中、実際のレースのタイマーとのズレが生じた時に使うものだ。計測中に4時位置のプッシュボタンを押すことでクロノグラフ秒針がリセットされ、プッシュボタンを離すと再び動き出し、カウントダウン針は最も近い分スケールに移動する。

 このように、煩雑だった操作をよりシンプルに、しかしヨットレースに必要な機能はそのままにしたのが、新作ヨットマスター IIである。


デザインの刷新にも注目したい

ロレックス ヨットマスターII

文字盤に備わった“立体感”が新作時計のトピックのひとつだ。視覚的に奥行きが感じられるというのは高級感につながる。

 新作ヨットマスター IIは機構のみならず、デザインが刷新されたことにも注目したい。

 カウントダウンスケールがフランジに配されたことと併せて、このフランジがベースの文字盤から段差をつけて設けられているのだ。また、これまでプリントされてフラットであった6時位置のスモールセコンドにはメタルの縁取りが設けられており(別体かどうかは聞いておらず……)、従来モデルと比べて立体感がいや増している。なお、18Kイエローゴールドモデルのインダイアルは外装と合わせたカラーリングであったが、本作からはステンレススティールモデル同様、ツヤのあるブルーに彩られている。

「オイスター パーペチュアル サブマリーナー(以下サブマリーナー)」などといった、ダイバーズウォッチのデザインに寄せられたことも特筆すべき点だ。アウターベゼルにはサブマリーナーと同様に60分までのダイビングスケールがあしらわれ、また、時針はベンツ針となった。

ロレックス ヨットマスターII

これまでカウントダウン針にはレッドが用いられてきた18Kイエローゴールドモデルだが、イエローゴールドとブルーの2色に統一された。なお、従来にはあったエバーロレゾールモデルなどは今回ラインナップには加えられなかった。

 ケースサイズは変わらず直径44mmとなるものの、近年のロレックスのプロフェッショナルモデル同様、切り落とされたラグが採用されている。全長がコンパクトになり、重量のあるモデルながら、着用感が良いことが推測される。

ロレックス ヨットマスターII

前作を手に取ったのが3年以上前のため、ケースの厚みやリュウズガードの大きさが変わっているか分からない。しかし以前と比べてコンパクトになっているのではと感じた。ずっしりとした重み、肉厚のベゼルなどは相変わらず。


ロレックスを代表するクロノグラフモデルとして

 刷新されての再登場となった「オイスター パーペチュアル ヨットマスター II」について取材のうえ、紹介した。

 プロフェッショナルモデルの中では市場の過熱と少し遠いところにいたヨットマスター II。しかしながらユニークなクロノグラフとして、ロレックスの技術力が反映されたモデルであると言える。今回リリースされた新作は、いっそう進化した技術力の下に製造されていることが分かる。この進化の程を知るためにも、すでにヨットマスター IIを所有していてもしていなくても、ぜひ一度本作を手に取ってみてほしい(また過度な品薄になりませんようにと祈りつつ)。


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