ジャガー・ルクルトの技術力を象徴する3つのコレクション「レベルソ」「マスター」「メモボックス」

FEATUREWatchTime
2022.11.16

アントワーヌ・ルクルトが設立した時計工房を起源とするルクルト社と、時計師エドモン・ジャガー率いるジャガー社が協力体制を敷いたことで、1833年に誕生したジャガー・ルクルト。パテック フィリップやヴァシュロン・コンスタンタンといった有名ブランドへ長年ムーブメントを供給した実績を持ち、自社開発のムーブメントは現在、ゆうに1000を超える。今回はそんな実力派ブランド、ジャガー・ルクルトの技術力を象徴する3つのコレクションを紹介する。

ジャガー・ルクルトの工房

スイス・ジュウ渓谷のル・サンティエにあるジャガー・ルクルトの工房。ル・サンティエはアントワーヌ・ルクルトが工房を設立した、ブランド誕生の地である。
Originally published on watchtime.net
Text by Alexander Krupp
2022年11月16日掲載記事


反転式ケースを備える「レベルソ」

レベルソ・トリビュート・スモールセコンド

レベルソ・トリビュート・スモールセコンド
手巻き(Cal.822/2)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(縦45.6×横27.4mm、厚さ8.5mm)。3気圧防水。99万4400円(税込み)。

 ルクルトのビジネスパートナーであった時計商セザール・ド・トレーの提案で、インドでポロをする英国将校のために開発された、角型の反転式ケースを備える腕時計「レベルソ」。ステンレススティール製のケースを裏返すという発想は、現在よりも破損しやすかった当時の腕時計の風防を保護するために生み出されたものである。

 レベルソは当初、ルクルトだけでなく、パテック フィリップやカルティエ、モバード、ファーブル・ルーバなど、他の有名時計ブランドからも販売された。1940年代に生産を終了した後、ジャガー・ルクルトは72年からレベルソを独占的に再販した。80年代におとずれた機械式時計の復興とともに、現在もジャガー・ルクルトのブランドイメージを形成するアイコンとなっている。

 ケースバックに、エングレービングやエナメル塗装などのカスタマイズができるスペースが用意されているのは、初期の頃と同様だ。しかし現代では、両面に時刻表示面を持つレベルソが増えている。これは風防が傷に強いサファイアクリスタルへと代わり、破損の心配がなくなったためだ。現在のレベルソは、ポロなどの激しいスポーツシーンよりも、エレガントな高級時計として好まれるようになっている。

ジャガー・ルクルトの看板モデル「レベルソ」の魅力や特徴を解説
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洗練されたエレガントさを持つ「マスター」

マスター・ウルトラスリム・トゥールビヨン・ムーン

マスター・ウルトラスリム・トゥールビヨン・ムーン
自動巻き(Cal.983)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KPGケース(直径41.5mm、厚さ12.1mm)。5気圧防水。1029万6000円(税込み)。

 レベルソとは対照的に、「マスター」コレクションはクラシックなラウンド型ウォッチに特化している。しかし、こちらもエレガントな佇まいと複雑機構の搭載を両立させ、シンプルな2針モデルからパーペチュアルカレンダー搭載のトゥールビヨン、回転する星図盤を備えたモデルなど、幅広く展開している。「マスター」の名にふさわしい理由があるのだ。

 その一例に、トゥールビヨンとムーンフェイズ表示を組み合わせた「マスター・ウルトラスリム・トゥールビヨン・ムーン」がある。ムーンフェイズ表示は北半球の月相を表示するものだが、これを取り囲むリングは、左側に南半球の月相、右側に月齢を表示する目盛りも兼ね備えている。外周の日付表示には、ジャガー・ルクルトを象徴するジャンピングデイト機構を採用。日付の表示針がトゥールビヨンを遮ることがないよう、毎月15日から16日に変わる際には針が約90度ジャンプする。

 ケースバックはトランスパレント式で、機械の駆動が鑑賞可能。防水性能は50気圧を誇る。


アラーム機能を搭載した「メモボックス」

ポラリス・マリナー・ メモボックス

ポラリス・マリナー・メモボックス
自動巻き(Cal.956)。24石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約44時間。SSケース(直径42mm、厚さ15.63mm)。30気圧防水。211万2000円(税込み)。

 ジャガー・ルクルトは、1950年に初めてアラーム機能を搭載した腕時計である「メモボックス」を発表した。59年の「メモボックス・ディープシー」は、アラーム音の鳴る初めての防水時計であった。65年には、ダイビングスケールリングを内蔵した「メモボックス・ポラリス」が発表されている。その3年後、ディテールに変更を加えたモデルが続き、スポーティーな要素が取り込まれた。

「ポラリス・マリナー・メモボックス」は、この68年のモデルの復刻版だ。ステンレススティール製ケースは30気圧の防水性能を誇る。巻き上げと時間・日付表示調整を担う、従来の3時位置のリュウズに加え、その上下にふたつのリュウズが備わっている。

 2時位置のリュウズはインナーダイビングベゼルを分針と合わせ、4時位置のリュウズは中央内側の文字盤を回転させて、アラーム時刻を設定するためのものだ。約45時間のパワーリザーブを保持する自社製の自動巻きキャリバー956は、2008年に完成したものである。アラームが作動すると、小さなハンマーがブロンズのベルを力強く打ち鳴らす。



Contact info: ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833


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